白紙の地図にペンを走らせて
羽の帽子の旅人は、世界中を旅してる。
それは、赤い海や青い森、虹色の大地など、普通に生きていては見れないようなものをたくさんみ見るためだ。
その日も羽の帽子の旅人は、銀色の砂漠を見に行きたいと思った。
あちこちで人の話を聞いて、情報を集めて、地図を買ったりもした。
けれど、肝心の地図は白紙だった。
だまされた。
そう気が付いた羽の帽子の旅人は、けらけらと笑いながら、白紙の地図にペンを走らせた。
銀色の砂漠には、きっとこんな生き物がいるに違いない。
想像しながら
大きな岩があって、二足歩行で地上を走る鳥もいるかもしれない。
動く花があったり、時々黒い砂嵐が吹いたりする。
ペンを走らせたら、すぐに地図はうまった。
羽の帽子の旅人は、満足にうなずいて、丁寧に地図を折りたたんだ。
だまされてつかんだハズレの地図だったけれど、そこにはたくさんの夢が詰まっていた。