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童話・児童書などまとめ

ゾウだけどアリ

作者: リィズ・ブランディシュカ



 そのゾウは、いつも一人でいる。

 群れのゾウは離れた所から眺めるだけで、たまに笑っている。

 だから僕は、そういう事なんだと判断した。

 じゃあ、僕もアリかもしれない。




 ある日、僕は。


 自分の事をアリだと思っているゾウに出会った。


 そのゾウはとってもゾウに見えるのに、なぜか自分の事をアリだと思っている。


「アリは小さい生き物だから、私はアリだよね」


 と、上を見ながら言っている。


 ゾウの上にはもっと翼を広げた大きな恐竜がたくさん空を飛んでいた。


 僕は首をかしげてしまった。


 数日後、そのゾウにまた会った。


 そのゾウは、まだ自分の事をアリだと思っていた。


「アリはとても弱い生き物だって聞いたよ。だから弱い私はアリだよね」


 仕方がないから僕は「違うよ、君はゾウだよ」と教えてあげたけれど、そのゾウは認めようとはしなかった。


 そのゾウはなんで、アリであろうとするのだろうか。


 僕は首をかしげてしまった。


 またまた数日後、そのゾウは泥だらけでしょんぼりしながら、歩いていた。


 黒い土をかぶって、全身真っ黒だった。


「アリはとても黒い生き物だって聞いたよ、だから私はアリだよね」


 そのゾウは、今日も自分の事をアリだと言っている。


 一体どうしてそんなにもアリでいたがるんだろう。


 ゾウはゾウで、強いはずなのに。


 遠くのゾウ達がこっちをみて、笑っている。


 なぜだか、皆が笑っている。


 不思議に思った僕は、「じゃあ、僕もアリかもしれない」と言ってみた。


 そうすると、アリだと言い張るゾウはにっこり笑った。


 僕がいつも一人ぼっちでいる事を知っているその、アリだといい続けるゾウは。


「じゃあ私達、仲間だね」



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