表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/41

4


「確かにな。」

「ふふ。でも、まだ泉鏡花は完全に理解できてないんだ。悔しいけど、時間はいっぱいあるから。」

時間はいっぱいあると言う浅葱君は、皮肉を言うイギリス人のように、片眉を器用に持ち上げた。洋画のような雰囲気に、私も打ち明けるなら今だ、と呑まれた。

「わたしは‥。」

「うん。」

浅葱君はゆったりと答える。シンとした準備室は、まるで教会の懺悔室のようだ。

「わたしは、明かしたい謎があったんだ。」

言ってしまうと大したことではない。しかし、私にとっては何年も澱のように積み上がった秘密であったのだ。

「謎?」

「ああ。」

「そっか。」

浅葱君の返答はそっけない。しかし、声からは優しさを感じた。

「最初はある本だけをひたすら読んだんだ。でも、分からなくて。」

はなびちゃんから貰った本。ポーの破滅の気配に満ちたその物語をなぜ私にくれたのか。

「それで本を読み始めたんだ。」

「うん。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ