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とまぁ、こんな噂なんですけどと山吹は話し終えた。
「私が聞いた話では、武田先生、熊を解剖していたらしいよ。」
紅林はすでに月岡から聞いていた噂だった。
「武田先生何だと思われてるんですかね。」
山吹は苦笑いをした。
「というか、ベルの音は何なのだろうね。」
考えている紅林に対して、浅葱は怖いくらい笑顔だ。
「そんなことより、月岡さん凄いね。」
「ツキの手にかかれば人体模型もホムンクルスになってしまうみたいだな。」
言った後で紅林はしまったという顔をした。
「人体模型って?」
すかさず山吹が聞く。
「ただの例えだが?」
紅林は何故か強気だ。ガタンッ!!外の風は大きくなっている。ガタガタと窓が揺れる。ガタンと言う音に紛れて、リリリと微かな音がした。
「あれ?今聞こえましたよね?」
山吹はその音に気づいたようだ。
「なにが?」
浅葱はとぼける。
「ベルみたいな音ですよ!」
「しなかったよ。」
「そうですか?」
浅葱はしなかったよねと強めに紅林に聞いた。何か思うところがあったのか、紅林は話を逸らす。
「それよりそろそろアイスタイムにするか?」
「まじですか!やったー!」
「取りに行こう。」
「行きましょー!」
山吹のテンションが一気に上がる。
「僕は待ってるね。」
浅葱は光を背に浴びて、顔が影になっている。
「高いやつ先に選んじゃいますからね!」




