表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/41

1

ミーンミーン


 茹だるような暑さに、蝉の声が響いている。

人がいない図書館。入ってすぐに五山送り火や、灯籠流しなど夏の写真集が置かれている。貸出カウンターには壊れたバーコードリーダーが置きっぱなしだ。しかしそんな光景に目もくれず、冷気が漏れる部屋へと向かう。


 ハリガネを使って鍵を開け、ガララと図書準備室のドアを開けると、空調の音がゴーと鳴っている。そして、室外機から水が漏れるコッコッと言う音が室内に静かに流れている。


「やぁ。紅林さん。夏なのにご苦労様。

中2の頃からだから3年目だね。」

綺麗なサラサラの髪がエアコンの風に靡いている。

「…。」

「僕もだけど、君も物好きだね。こんな時期に忍び込むなんてさ。」

壁にかけられたリモコンは20℃と表示されている。浅葱君は機械の操作が下手なのだ。操作して26℃まで設定を上げ、また考え込んだ。

「おかしい。」

「どうしたの?」

毎年この時期は裏口から忍び込んでいたのに、玄関の鍵が空いていた。

「うん?」

いつもの推理モードに入りかけていると、浅葱君は心配そうに話しかけた。

「大丈夫?」

「いや、まぁ気にしすぎかもしれない。」

浅葱君の困った顔をみて、ハッとする。

「気にしすぎ?」

「忘れてくれ。」

両手をヒラヒラとふる。浅葱君は話を変えように、後ろの段ボールを指さした。

「そういえば、一昨日準備室に大量のミステリー本が入ってきたんだけど。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ