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「埋めるんですか?」

埋めるという発想はなかったので、驚いて先生をみた。

「昨日旧校舎裏に大きい穴掘った。」

先生が指差したのは、旧校舎裏の山へと続く道。ここからだと穴はみえない。

「死体埋める犯人と同じ心理だね。」

浅葱君はニコニコとして楽しそうだ。

「焼いたらバレそうだし。」

用務員小屋の脇には焼却炉もある。しかし、あまり動いているのは見たことがない。今時、焼却炉で燃やすものもないのだろう。

「先生も発想普通じゃないですよ。」

思わずそう言う。

「ふふ。穴まで運ぶの手伝ってあげる。」

浅葱君は袋を持ち上げようとしている。一度、スカッと通り抜けた。何度か慎重に袋に触れ直すと、ゆっくり持ち上がった。浅葱君の細い腕がプルプルとしている。

「チトセ運べるのか?」

「大丈夫…。」

あまりに必死な顔に先生は笑った。

「いいよ。これぐらい軽いから自分で持つ。」

そう言って軽々と袋を持ち上げた。

「じゃあ応援してあげるね。」

フレフレと節をつけて歌うと

「紅林と見張り頼むわ。お盆だから人いないけど一応な。」

と言って優しく微笑み、ドアへ向かって行った。



 穴に袋を投げ入れている先生をみてツキのことを思い出した。

「夏休み明けにツキが変な噂広めてそう。」

ツキは口が軽い。しかも面白おかしく話すのが得意なので、すぐに生首のことは広まってしまうだろう。

「あーたしかに。」

浅葱君は苦笑いをした。

「なんの話?」

先生がスコップで土をかけながら聞く。

「昨日、学校一のおしゃべり女子が、旧校舎で生首みたらしいですよ。」

一瞬、間があって、そして思い至った先生が

「あーやべぇな。」

と頬をかいた。

「落とした人体模型だわそれ。」

「ツキのことだから都市伝説風に広めるだろうな。」

この学校の怪談はほとんど出どころがツキだ。1を100に広げる発想を持っているので、物音一つからこの世に未練を持つ少女の霊を生み出すのだ。

「うわー。肝試しとかはやりそうだな。」

先生は、手を止めて考え込んでいる。しかし、焦っているようには見えない。

「人集まったらすぐ埋めたのバレちゃうんじゃない?」

浅葱君が首をこてんと倒した。穴のところだけ、明らかに色が違う。見つかれば掘りだす生徒もいるかもしれない。

「まずいよなー。」

まるで他人事のようだ。

「あ、じゃあいい方法があるよ。」

浅葱君がにっこり笑った。

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