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ツキ「話戻るけど、旧校舎の2階には本当にいらないガラクタしか置いてないから誰も行かないでしょ。」

チヨ「そうだね。ってか、旧校舎立ち入り禁止なら封鎖しろって思うけど未だに入れるのも謎だよね。」

ツキ「うん。うちの学校先生の目がいき届く生徒数と校舎を異様に推してるじゃん?」

チヨ「たしかに。入学式に校長がアットホームでみんな仲良しとか言ってたもんね。1学年3クラスって言うほど少なくはない気もするけど。」

ツキ「でも、むかしは1学年10クラスぐらいあったらしいよ。」

チヨ「少子化じゃない?」

ツキ「いや、なんか募集減らしてるんだって。」

チヨ「資金不足?」

ツキ「よくわかんないけど。お金がないからアットホームって言い訳してるだけっぽいよね〜。」

チヨ「たしかに。」

ツキ「で、やたら新校舎も狭くて目が行き届く広さにしたら備品置ききんなくなったんだって。だめじゃん。」

ツキ「ね。でさ、私が旧校舎で聞いたひた点々って音は足音にも、何かが滴るような音にも聞こえたんだけど。」

チヨ「うわ、ありがち。」

ツキ「そう、あたしもありがちだって思った。」

チヨ「これ、絶対どこから血が滴ってる音パターンだ!」

ツキ「みたらやばいのわかってるけどさ、確かめないの怖いじゃん?」

チヨ「うん。」

ツキ「恐る恐るそっちをみたら少しだけドアが空いてたの。ドアに近づこうとしたら、

どこかからズドン!!!ってすごい音がして超ビビった。」

チヨ「ふーん。」

ツキ「ポルターガイストきた!と思って覗いてみたら、床に何か丸いものが転がってたの。」

チヨ「丸いもの?」

ツキ「なんだろうとじっとみたら…人の顔だったの。」

チヨ「はぁ?そんな小説みたいなことある?暗いから見間違えたんじゃ?」

ツキ「あるんだよ!あれは絶対顔だった!」

千代田さんは納得いかないように首を傾げた。

ツキ「あたしびっくりして急いで走って逃げようとしたら奥でガタガタって音がして、あーーーーみたいな大声もして。」

月岡さんは一息に捲し立て、疲れたのか一度お茶を飲んだ。

ツキ「で、やばい捕まったら殺されるって逃げ出したんだけど、それから追ってくるような感じはなくて。」

チヨ「なんだろう?」

ツキ「都市伝説で似たようなのないし。妖怪でいない?」

チヨ「そんな妖怪聞いたこと無いけど。っていうか殺人犯とかだったらどうするよ?つっちゃんやばくない?」

ツキ「それは、ないかな〜。だって生首、血出てなかったし。死んだばかりって感じじゃなかったから。」

意外と冷静に確認はしているみたいだ。

ツキ「それにわざわざ旧校舎に隠れる意味わかんないじゃん。」

チヨ「確かに。校舎裏には山あるし隠れるならそっちだよね。」

旧校舎裏は、鬱蒼とした山になっている。昔はちゃんと生徒達によって手入れされ、課外活動の時間には生徒が登ったりもしていた。生徒数が激減してからだろうか。手入れはされなくなり、木も草も伸び放題で、今は誰も足を踏み入れない。しかし、昔の名残で登山道らしき道はあるので、隠れるなら山はぴったりなのだ。

ツキ「あたし、絶対お化けだと思う。」

チヨ「ふーん。」

普段から妖怪ばかり調べている千代田さんは少しも怖がった様子はない。

チヨ「ってか、バーコードリーダー無くて私も怒られるの嫌だからとってくるね。」

ツキ「いや、待って!?」

ドアに手をかけた千代田さんを月岡さんが止める。

ツキ「ちー本気?」

チヨ「え?」

ツキ「いやいやいや、あたしがこんな体験した後に行く?」

チヨ「お化けなら大丈夫じゃん。」

ツキ「いやいやいやいやいや。」

チヨ「何?」

ツキ「ダメダメ。諦めて怒られよう。」

チヨ「いやだよ。私悪くないし。」

ツキ「行かせないから!」

月岡さんがドアの前に立ち塞がった。

チヨ「えー」

顔を顰める千代田さん。

ツキ「あ、アカリちゃんから伝えてもらうってのはどう?」

月岡さんはポンと手を叩いて言った。

アカリちゃん。皆んながアカリちゃんと呼ぶので苗字はわからないが、紅林さんの後輩で少し天然な女の子だ。色々なジャンルの本を読んでいるが、強いて言えばホラーが好きらしい。素直で元気なアカリちゃんを、紅林さんは好いており、仲良くしている。

チヨ「あのまつりちゃんお気に入りのアカリちゃん?」

ツキ「そう、アカリちゃんから月岡先輩がバーコードリーダー壊しちゃったみたいなんですねど、怒らないであげてくださいって言われたら怒れないでしょ。」

チヨ「卑怯だなつっちゃん。逆に怒られそうだよ。まつりちゃん卑怯な真似嫌いだから。」

ツキ「確かに…。」

月岡さんが探偵のように腕を組み、顎に手を当てて何事か考えている。ドア前から離れないので、千代田さんもどうしたものかと思案している様子だ。二人がシンと静かにしていると

ザッ!!

と外から音がした。

ツキ「あれ?なんかいま変な音しなかった?」

チヨ「気のせいじゃない?」

千代田さんが耳を澄ます。

ザクっ!!

やはり音はしている。

ツキ「ほら!やば!!お化け?」

チヨ「外からしたね。旧校舎の方かな。」

ツキ「わーーー!やっぱり!」

慌てる月岡さんに千代田さんは冷めている。

チヨ「はぁ。どうせ運動部でしょ。わたしお化けよりまつりちゃんの方が怖いから、取りに…」

ツキ「駄目だって!!!」

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