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会話文だからか、脱線が多くてあまり話が進みません…
チヨ「そういえば、私たち当番中ずっとパソコンみてるからめちゃくちゃ真面目に仕事してるって先輩に思われてるらしいよ。」
ツキ「ワロタw」
月岡さんは言葉が出て若くてたまに理解できないことがある。まぁ、泉先生の小説でもデカンショデカンショ言ってる若者がいるからそのようなノリ?(これも月岡さんが言っていた言葉だ。)なのだろうか。
チヨ「わたしはまだしもつっちゃんなんて某掲示板でめちゃ怖読んでるだけなのにね。大学生の暇つぶしかよ。」
一瞬月岡さんが黙った。
ツキ「お?いまちーあたしに喧嘩売った?」
チヨ「売ってないよ。」
ツキ「売ったよね?」
チヨ「売ってないのに。」
ツキ「都市伝説はね!!」
チヨ「うん。」
ツキ「ぶ、ん、か!なの!!!」
チヨ「文化?」
ツキ「そう!!!文化!!!リピートアフターミー文化!」
チヨ「文化。」
ツキ「イエス!!」
チヨ「暑苦しいな。」
月岡さんはいつも元気だなぁ。
ツキ「あ、ごめん。今朝タイの都市伝説のピーガスーについて調べてて、それが超面白かったからテンション高くなっちゃって。」
チヨ「ああ、あのアグレッシブおばあちゃん。」
ツキ「そう。」
ピーガスー?そんな都市伝説があるのか。今度紅林さんに聞いてみよう。紅林さんは二人程ではないが、都市伝説や妖怪が好きみたいだ。
チヨ「日本にも似たようなのいなかった?」
ツキ「え?似たやつ?なんだろう。おばあちゃんってだけで言ったらターボばばあかな?それともマッハババア?100キロババア?」
チヨ「早いおばあちゃんいすぎw」
ターボババア!懐かしいなぁ。僕が小学生の頃流行った都市伝説じゃなかったっけ?まだ知ってる人がいるんだなぁ。
ツキ「ってか、妖怪だって民俗学なんてかっこいい名前ついて学問みたいに扱われてるけどただの歴史が古い都市伝説じゃない?そしたら柳田國男も都市伝説大好きおじさんじゃん。」
チヨ「柳田先生舐めんなよ。まじで殴るぞ。」
千代田さんは握り拳を作っている。
ツキ「ごめん、流石に言い過ぎだわ。民俗学の祖に失礼だったわ。」
チヨ「すぐ、反省するのは偉い。実際、日本の民俗学の方法は柳田國男によってもたらされたんだから。今度一つ目小僧その他貸してあげる。」
ツキ「遠野物語じゃないところに何かしらの強い意図を感じる。」
柳田國男は準備室にもたくさん置いてある。暇つぶしに日本の祭や火の昔を読んでみたが、面白かった。民俗学の書というよりは、文才がありすぎるせいか、小説を読んでいる気分だった。その方が素人にはとっつき易くていいのだが。
チヨ「ってか、わたしもごめん。都市伝説を馬鹿にしたようなこと言って。確かに、都市伝説は発生やその後の伝播を考えるのは興味深いし。そもそも話自体が面白い。」
二人とも喧嘩も仲直りもすごく早い。本気では怒ってないのだろう。友人同士の軽口といった感じか。
ツキ「わかってくれればいいんだ。なんだかんだちーも都市伝説めちゃくちゃ調べてるの知ってるし。」
チヨ「うん、また面白い話あったら話そう。」
ツキ「うん。今度コトリバコのレプリカでも作ろう。」
チヨ「作っていいのか?」
ツキ「レプリカだから。」
チヨ「まぁ、そうだな。お盆明けたらきさらぎ駅探す旅の続きしよ。」
ツキ「ってあれ?なんの話してたんだっけ?」
チヨ「つっちゃんがバーコードリーダー取りに行って忘れた言い訳聞かされてたんじゃなかった?」
ツキ「そっか!!って、言い訳ではないんだけど、続きはなすね!」
チヨ「うん。」
月岡さんは声のトーンを少し下げて話し出した。こんなに脱線したらもう全く怖くはないのだが。