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異世界転移!  作者: 中原
18章
65/67

4話

「チッ!」


 炎から抜け出した入間が舌打ちをしながら空から降りて来た。

 怪我はしてるがどこか動かないとかはなさそうだった。


「まぐれで当てただけで調子に乗るなよ!」


 入間が風の剣の刀身に竜巻を纏わせながら接近してくる。

 あれに触れてはいけないと頭より先に体が理解した。

 剣に力を集中させ炎を纏わせ、振り下ろしてくる剣を防ぐ。

 剣と剣の押し合いになる。


「くっ……」

「むぅ……」


 両手で剣を持つ入間の方が強く、力負けしてしまう。


「ッ!」


 俺は土の剣に魔力を注ぎ土柱を作り出し、入間を攻撃する。

 入間は土柱による攻撃を喰らう前に後ろへと下がった。

 それに合わせ土柱を追尾させる。


「喰らうか!」


風の剣を空に向けて持ち上げると入間を中心に竜巻が発生し、追ってきた土柱を粉々に砕いた。

 竜巻が消えて行く。


「どこに行った!?」


 入間は竜巻がブラインドとなり俺を見失っていた。


「後ろか!」


 竜巻が消える前に後ろに回り込んでいた俺は、炎の衝撃波を出す。

 気がついた入間は振り向きざまに剣を振り下ろす。

 三日月型の衝撃波は2つに割れ、入間の横を通過して行く。

 これだけ崩しても決まらないか!


「貰ったァ!」


 入間が剣を突き出し、一際大きな竜巻を出現させた。

 どこに動いても避けられそうにない大きさだ。

 だったら迎え撃つしかない!!

 ありったけの力を込めると剣から火柱が上がった。

 剣先から炎の渦を出す。

 炎と風がぶつかると辺りは眩い光に包まれた。


「オラアアアア!!」

「くっ……!!」


 押され気味だ。

 やはり入間の方が強いっ。

 どうしたら勝てる? 俺が入間に勝ってるところはどこだ。


『イオリ、耐えろよ!』

『ここが踏ん張りどころだよ!』


 ….あるじゃん。俺が入間に勝ってるところ。

 俺は左手に持っていた土の剣を強く握る。

 今まで両方の剣を同時に使ったことはないけどできるはず!

 土の剣を振ると、入間の周りを囲むように土が隆起し、無数の土柱が現れた。

 土柱が入間に向かって伸びて行く。


「チィ!」


 入間は俺に風を出すのをやめ、土柱の方に剣を向けようとする。しかし間に合わず、柱が入間に激突した。

 それと同時に俺も爆風に巻き込まれた。


「くぅ……」


 飛ばされないよう踏ん張り、どうにか耐えた。

 風が止み、前を見ると入間が右手をダラリと下げて立っていた。

 俺も全身に裂傷を受けているが、入間の方がダメージが大きそうだ。

 入間が片手を使えない今、接近戦が有効だ。

 痛む身体に鞭を打ち、俺は入間との距離を詰める。


「ハァッ!」


 炎の剣を振ると入間は剣を左手に持ち替え防いだ。

 剣と剣が弾けて火花を散らす。

 俺は続けて土の剣を横薙ぎに振る。

 俺は2本の剣を振るい、攻める、攻める、攻める!

 片手、しかも利き手じゃない方の手では、さすがの入間でも分が悪い。

 徐々に余裕がなくなっていってるのがわかる。

 俺の剣が入間の剣を弾いた。

 空いた胴に蹴りを繰り出したところで、入間は風を使って上に逃げた。

 俺の蹴りが空を切る。

 おしい。もう少しだったのに。


「クソ! なぜ俺が押される!」


 苛立った声を入間は出した。

 どうしてかってそんなの簡単だ。


「入間、戦う前に言ったよね。1対1じゃ勝てないって」

「それがどうした!」

「いや、その通りだなと思って」

「何!? だったら!」

「だったらどうして俺が勝ってるかって?」


 手を広げ、2本の光り輝く剣を見せる。


「簡単だよ。ここに2人も仲間がいるんだ。3対2なら俺が勝つさ」

「それは仲間ではない! 単なる武器だ!」

「そうかな? 俺は仲間だと思うよ」


 ずっと俺に力を貸してくれて、心配してくれて、助言をくれて、勇気付けてくれて、見守ってくれて……彼らが仲間じゃないならなんなんだ。

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