表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移!  作者: 中原
18章
64/67

3話

「本当はスマートに勝ちたかったんだが、まあいいか」


 俺が頭をフル回転させ勝てる手段を考えていると、入間が風の剣を構えた。

 できればもう少し待って欲しいのだが、真剣勝負に待ったはない。

 入間の周りにいくつもの小さな風の弾が出現した。


「じゃあな」


 風の弾が飛んできた。

 土の壁で防せぎたくない。防げば入間の攻撃が見えなくなる。

 十数飛んでくる弾を俺は避けたり、炎をぶつけたりして相殺する。


「それじゃ足りないか」


 再び入間の周りに風の弾が出来上がり、俺へと放たれた。

 倍に増えた風弾が襲いかかってくる。


「ぐっ!」


 その1つを避けきれず喰らってしまった。

 鈍器で殴られたような衝撃が頭に走る。

 ヤバイ。バランスを崩してしまった。

 こうなったら次の攻撃を避けるのは不可能だ。

 俺はたまらず土の壁を作りガードする。

 ドンドン! と風弾が壁を叩く音が聞こえる。

 しかしその音が途切れる。

 そして次の瞬間、土の壁が崩れた。

 大きな風の塊が壁を壊したのだ。


「くっ!」


 俺は剣と剣をクロスさせ風の塊を押し返す。


「うおおおおお!」


 風を止めようと足に力を込めるが、床がめくれて行くだけで止まらない。

 このままじゃダメだ! 屋上から投げ出されてしまう!

 止めれないなら逸らすしかない!

 俺は2本の剣を使い風の塊を持ち上げ上方向逸らす。


「はあっ!」


 落ちるギリギリのところで風の塊を上に逸らすことに成功した。

 よし!


「安心するのは早くないか?」

「!!」


 前から数十もの風弾が迫っていた。

 気を抜いていた俺は避けきれない。

 ドン! ドン!! ドン!!!

 風弾で全身を強く打ち付けられた俺は、屋上から投げ出された。

 や、やばい……さすがにこの高さから地面に堕ちたら骨折じゃ済まない。


「はっ!」


 俺は土の剣で地面を隆起させ、そこに着地し落下の衝撃をやわらげた。


「痛っ……」


 風に打ち付けられた痛みで頭がクラクラする。


「力の違いがわかっただろう」


 少し上から声。見上げると入間が俺のすぐ上で宙に浮いていた。

 風の力で空も飛べるのか。


「降参して世界征服を手伝うと誓え」

「断る」

「ならその剣を寄越せ。それで赦してやる」

「それも断る!」

「貴様。この状況がわかっていないのか?」

「わかってるさ」

「では何故だ? 剣を渡すだけでいいんだ。かなりの譲歩だと思うが」

「決まってるだろ。剣を渡したら入間を止められなくなるからね」

「馬鹿が」

「ぐああああっ!」


 俺の周りにかまいたちが起きる。

 身体中が風の牙に切り裂かれる。


「無意味な意地を張るな。無駄死にするだけだぞ」


 入間が言う。

 意地を張るだけ無駄か。そうかも。入間に勝てるところがないもん。


『イオリ! もういい! 僕らを渡すんだ!』

『そうしろっ。死んだら元も子もないっ。生きていればきっとまたチャンスが来る』


 剣達が俺の心配をしてくれている。

 その優しい言葉に甘えたくなる。

 でもそれはできない。

 入間は今日ここで止めなきゃいけないんだ!

 このくらいの事で諦めるわけにはいかない!

 俺の体はまだ動くし、魔力もまだある!

 だったらやる事は1つ!

 カッと目を開き、炎の剣にありったけの魔力を集める。

 剣から炎が吹き上げる。


「はぁっ!」


 俺は炎の渦を剣先から出して入間に攻撃した。


「何っ!?」


 油断していた入間に炎が直撃し、上空へと吹き飛んで行く。

 でもこれで終わりではないだろう。それくらい実力差がある。

 上を見ていると屋上から塔を登ってきたアリアさんが顔を出した。

 勝ったんだ。


「イオリ!」

「アリアさん。もう少し待ってて」


 俺は地面から伸ばしていた柱を下ろし、地上に降りた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ