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異世界転移!  作者: 中原
16章
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2話

 王がレベル5の1人だと聞き、クレスは少し驚いた顔を見せた。


「なるほどね。陛下がレベル5の1人だったのか。ちょっと計画ミスったかな」

「これからもっと狂うさ」

「いや、次に狂うのは君の計画さ」


 クレスの体から電気の線が走る。

 攻撃の前兆だ。


「お前ら! 電撃が来るぞ! 構えろ!」


 セシルが兵士達に指示する。

 次の瞬間、クレスから広範囲の電撃が放たれた。


「ぐあああああ!」


 高威力の電撃が辺り一面を駆け巡る。

 電撃は兵士達のガードをやすやすと貫き、次々に倒れて行く。

 ジルはその電撃を喰らわぬよう最大限のバリアを張り、セシルは分厚い土壁で周りを囲み防いだ。


「ふぅ」


 電撃が止まりクレスが一息つく。


「結局、残ったのは2人だけか」


 立っているのはジルとセシルだけだった。

 100人ほどいた兵士達は1人残らず地面に沈んでいた。


「……腕利きの人達を集めたんですよね?」

「ああ。全員レベル4だ」

「ですよね……」


 精鋭達が赤子に見えるほど、クレスの実力は特出していた。


「魔力の量はお前と同じくらいか?」

「今のでどれくらい魔力を消費したのかわかりませんが、おそらくまだ十分残っているでしょう。そう考えると私の倍以上あるのではないでしょうか」

「化け物め」


 セシルが冷や汗を流しながら呟く。


「さて、2人とも。準備はいいかな?」


 クレスに言われセシルは手を地面につけた。

 すると土がセシルの身体中を纏い、土の鎧が完成した。


「なるほど。あの時は本気じゃなかった……と」

「そういうことだ」

「手強そうだね」


 しかしクレスから焦った様子は見られない。それどころか余裕のようなものが感じられた。

 ジルは自分の周りに展開しているバリアを薄くし、攻撃特化の態勢に。


「2人とも準備は良さそうだね。じゃあ……行くよ」


 クレスが電撃をジルに向け放った。それに反応したジルは光線をぶつける。

 2つは押し合いの末、霧散した。


「やるねえ」


 爆風で髪をなびかせながらクレスが言った。


「余裕を見せてる場合か?」

「!!」


 続け様にセシルの攻撃が。

 地面が隆起し、土槍がクレスを襲う。


「面倒な2人だ」


 クレスが数多の土槍を避けながら呟く。

 防戦一方のクレスにジルも光線で攻撃する。

 2人の息のあった波状攻撃をクレスは横に飛び、身を捩り皮一枚で躱す。


「ホント、面倒だ……」


 避けるのを諦めたのか、クレスは体の力を抜き動きを止めた。


「もらったァ!」


 セシルはここぞとばかりに複数本の土槍で攻撃する。


「ハァ!」


 ジルも幅広い光線を出す。


「スゥ……」


 クレスが息を吸い、吐き出すと同時に体から電撃を放った。

 ジルの光線を相殺し、セシルの土槍を砕きなお、その勢いは止まらず2人のところへ。


「くっ!」

「ぐぅ!」


 ジルはバリアに魔力を集中させ、セシルは腕で顔を覆いガードする。

 たった一撃で形勢は逆転した。

 2人がガードに集中している隙に、クレスがセシルとの距離を一瞬で0にしていた。


「チィ!」


 2人による肉弾戦が始まる。

 速く、重みのある拳がセシルの急所を狙い次々打ち込まれる。

 セシルはそれを去なすので精一杯だった。

 クレス優勢に戦いが進んでおり、ジルは援護をしたかった。

 しかし2人は接近していて光線は打てない。かといって肉弾戦に加わることもできない。


(多少威力は落ちますが、仕方ありませんね)


 ジルは無数の小さな光球をクレスの周りに展開し、セシルに当たらないよう操作する。


「弱い」


 クレスは近づいて来た光球全てを体から電撃を出して消し飛ばす。


(やはり無理ですか……)


「セシルさん! 彼から離れられませんか!?」

「少し待ってろ!」


 セシルは逃げようとバックステップを踏む。

 しかしクレスは逃さないようついて行き、鳩尾を打ち抜く。


「ぐっ……」


 土の鎧があるとはいえ立て続けに攻撃を受けダメージは蓄積している。

 鳩尾を殴られセシルはたたらを踏む。

 クレスは戦いを終わらせようと右腕に魔力を集中させた。

 それを見たセシルはニヤリと口の端を持ち上げた。

 クレスの左右から手の形をした土壁が現れた。


「!?」

「この状態なら手をつけずに魔法が使えるんだよ」


 合掌。

 クレスは土の手に押しつぶされる。

 もちろんそれでクレスが終わるはずはなく、すぐに土の手を壊し飛び出して来た。


「今だ! 打て!」

「はい!」


 クレスが出て来た瞬間、ジルから輝度の高い光が噴き出す。

 光線がクレスを呑み込み彼方へと吹き飛ばす。

 地面には地平線まで光線の跡が伸びていて、威力の高さを表していた。


「やったか?」

「完璧に捉えました。おそらく立てないでしょう」


(アレをまともに喰らって立てるとは思いがたいです)


 祈るように2人は地平線を見る。

 人影が見えた。

 クレスだった。

 服についたホコリを払いながら歩いてくる。


「まさか地面に手を付かなくても土魔法が使えるとはね。その鎧が擬似的に地面となってるのか。なるほどね」


 無傷。

 これにはジルも目を丸くして驚いた。


「さっきのは1番威力の高い攻撃か?」

「はい……いえ、魔力を溜めればもっと高威力のが使えます。ただ、少し時間がかかりますが」

「どれくらいかかる?」

「3分……いや、2分ください」

「あの化け物相手に2分か」

「厳しいですか?」

「いや、それくらいどうにかしよう」

「そうですか。お願いします」


 ジルはバリアを解き、その場で力を溜め始める。金色の粒子が身体の周りから立ち昇る。

 一方セシルは1人、クレスの方へと走り出した。

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