表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移!  作者: 中原
12章
50/67

2話

 伊織が化け物扱いされショックを受けている頃。アリアとジルは地下を歩いていた。


「上が騒がしいですね」

「本当ね」

「もしかしてイオリさんがやられているのでは?」

「ないでしょう。むしろイオリにやられた敵が逃げ出してるんじゃないの」

「なるほど。確かに足音的にその可能性が高いですね」


 上の事は気にせずさらに進んで行くと、突き当たりにドアが現れた。

 そのドアを少しだけ開き、中の様子を伺う。

 だだっ広い部屋。けれど人の姿はない。

 2人は中に入り部屋の中を進む。

 物が何1つなく何に使用する部屋かわからない。

 がらんどうな部屋だ。


「何の部屋かしら?」


 アリアが呟く。


「実践形式の訓練をする部屋だ」


 そう答えたのは、野太い声をした恰幅のいい男だった。

 男はアリア達を追って部屋に入って来た。

 2人はバッと振り返る。


「お前らだな。侵入者というのは?」


 男が聞くとアリアが答える。


「ええ。そうよ。ていうかそれ以外なくない?」

「ふっ。そうだな。馬鹿な事を聞いた」


 ジルが自分の周りに球状のバリアを展開する。

 そんな臨戦態勢に入ったジルの一歩前にアリアは出た。


「ジルは見てて。私1人で戦うから」

「大丈夫ですか?」


 相手が弱くないのをジルは感じ取っていた。


「どうかしらね。でも、今の自分の実力を知りたいの」

「わかりました。危なくなったら加勢します」

「ありがとう」


 アリアは1人で敵に近づいて行く。


「2人まとめて来ないのか」

「ええ。私だけで十分そうだから」

「舐められたもんだな」


 相手は地面に手を着き、地面から剣を作り出した。


「土使いね」


 アリアも剣を抜き対峙する。

 張り詰めた空気が部屋を満たして行く。

 先に動いたのはアリアだった。

 敵との間合いを一気に詰めると水の剣を振る。

 敵も同時に剣を振り、剣と剣がぶつかる。

 2人が後ろに弾ける。


「やるな」


 太刀筋を見て敵が唸る。


「こんなので驚いて貰っても困るわ!」


 アリアは踏み込むと同時に突きを繰り出した。

 敵が突きをギリギリのところで避ける。

 それを見てアリアはすぐに切り技に繋ぎ、剣を薙ぐ。


「チィ!」


 止まることのないアリアの連続攻撃に相手は反撃には出ることを諦め、後ろへと逃げる。


「逃がさないわよ!」


 逃げていく敵に向けアリアは剣先から水弾を放った。

 敵は剣を盾に変形させ水弾を防ぐ。


「ぐっ……!」


 水弾の衝撃を盾では防ぎきれず苦痛の声を漏らす。

 敵の動きが一瞬止まる。その間にアリアは敵の後ろへと回り込み、水の剣を首元に突きつける。


「まだやる?」


 事実上の勝利宣言。

 それを受け入れるように敵はそっと地面に盾を置く。


「なるほど。強いな」

「どうも」

「……しかし甘いな!」


 敵は地面に手を伸ばすとアリアが立っている場所の地面を隆起させ、岩槍を作り出した。


「くっ……」


 油断していたアリアだったが、咄嗟にバク転をして槍を回避する。


「貰った!」


 接近して来た敵がアリアの脳天に向け剣を振り下ろす。

 当たる直前でアリアは水の剣で相手の刀を受け止めた。

 鍔迫り合いになる。


「チィ! 防いだか」

「やることが汚いわね……」

「戦いにキレイも汚いもないだろう」

「なるほど。一理あるかもね」


アリアは剣を押し返す。


「けど、そういう人に正々堂々戦って勝つのが好きなのよね!」


 アリアは全身のバネを使って敵の剣を弾く。


「何!?」


 剣を弾かれ腹部がガラ空きになる。

 アリアはそこに向け水弾を打ち込む。

防ぎきれなかった相手は弾け飛び、壁に叩きつけられ気絶した。


「ふぅ……」


 敵が戦闘不能になったのを見てアリアは一息吐いた。


『どんどん扱いが上手くなっていきますね』

(まだまだよ。イオリとジルには程遠いもの)

『ふふ。きちんと現在位置を見れてるようですね。安心しました』


 戦いが終わりアリアは剣を鞘に納めた。


「やりましたね。アリアさん」

「ちょっとハラハラさせちゃったかしら?」

「いえ。余裕を持って戦ってたので全然ハラハラしませんでしたよ」

「そう? ならよかったわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ