表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移!  作者: 中原
6章 クレスを捕まえろ!
26/67

2話

「貴様逃げる気か!」

「逃げるんじゃなくてクレスを追いかけてるんだ!」

「何を意味不明な事を! 誰か! 容疑者が逃げ出したぞ!」


 仲間を呼ばれる前にクレスを捕まえなくては。

 そう思い急いで角を曲がった。

 一直線に伸びる廊下の先に階段があった。上ったのか下ったのかどっちだ?

 ちょっとの間、階段を見つめながら頭を悩ませていると、上からセシル団長とアリアさんが下りてきた。

 俺を見つけたアリアさんが目を丸くした。


「何で逃げ出してるの!?」


 アリアさんの様子からしてクレスとは会ってない。という事は下に行ったのか。

 俺は階段を下りるためセシル団長の横を駆け抜けようとしたが、腕を掴まれ止められた。


「待て。今なら間に合う。戻れ」


 説明している時間はないので、掴まれた腕を振り切ろうとしたが、根でも張っているのかビクとも動かない。

 なんて力だ。

 すると後ろからガシャガシャガシャっと鎧の音が近づいてきた。


「待てー! ……っと、セシル団長! 捕らえたのですね!」

「少し気が動転しているようだ。もう少し居やすい部屋を用意してやってくれ」

「はっ! 承知しました!」


 俺は兵士に引き渡されてしまった。

 あー、もうピンチかもしれないっていうのに全然わかってない!


「ほら、行くぞ!」


 兵士に腕を引っ張られる。俺は腕を引き、拘束から逃れると2人に言った。


「クレスがこの城に侵入している! 早く追いかけないと!」

「クレスが?」

「うん。クレスが俺のいた部屋の壁を壊したんだ。やり残した事があるって言ってたからまだこの中にいるはず」

「じゃあイオリはクレスを追うため部屋を出たのね。逃げ出すためじゃないと」

「当たり前だよ!」


 逃げ出すくらいなら最初から大人しくこの城に来ていない。


「だそうです。セシル団長」

「にわかには信じられんな。この城に侵入するのは容易い事ではないと思うが。それは本当なんだな?」

「本当です。破壊された壁を見ればわかるはずです。もし俺が中から壁を壊したのなら破片は廊下側に飛び散っているはず。けど、破片は部屋の中に飛び散ってる。外から壁が壊されたからです」


 セシル団長が兵士に確認をする。


「どうなってた?」

「言われてみれば外にはほとんど破片は落ちてなかった気がします」

「……イオリの言う事を信じて見るか。俺らと鉢合わせなかったという事は、下の階に行ったんだろう。見てこよう」


 ドゴン‼︎

 その直後だった。廊下が少し揺れ、下の階から壁が壊れる音が聞こえたのは。


「チッ!」


 舌打ちをして、セシル団長が勢いよく階段を下って行く。その後に俺とアリアさんも続いた。

 セシル団長の後について下の階に降りると、兵士が2人壁に寄りかかっていた。クレスにやられたのだろう。

 2人の間にある部屋のドアには、人がゆうに入れるくらいの穴が空けられていた。

 と、その穴から出て来る男の姿が。


「クレス!」俺は叫ぶ。

「お、もう来たのか。捕まって時間稼いでくれてれば楽だったのに」

「残念だったね。そう上手く行かなくて」

「ま、人生そんなもんさ」


 肩を竦めるクレスの手には地図のような物が握られていた。


「貴様、何をしに侵入した」

「ちょっと欲しい物があったから盗みに」


 セシル団長の怒気を孕んだ声を聞いてもクレスは飄々としていた。


「盗んだ物を返せ」

「返せと言われて返すはずないよね」

「そうか。なら力づくで奪うまでだ!」

「野蛮だねー」


 セシル団長が壁に手をつけると、クレスの横の壁から柱が現れた。


「よっと」


 いきなり現れた土柱をクレスは後ろに下がり避けた。


「お返し」


 クレスの手のひらから電撃が放たれた。

 ヤバ。左右に避けるスペースがない。

 ぶつかる!

 当たる寸前、セシル団長が土壁を出して電撃を防いでくれた。

 バンッ!

 電撃が壁に当たった音がした。

 追撃がなさそうなので壁が降りて行く。

 クレスは逃げたようでそこに姿はなかった。


「逃すか!」


 セシル団長を先頭にして走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ