表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/93

5 三年生

「いやー、びっくりしたわー。いろんな意味でやばい奴ら入ってきたねー」


 後輩たちが道場を後にする背中を見届けながら、みどりが言う。

 戸締りをして、鍵の返却に行っている素子を待っていた。


「あんまり喧嘩しすぎて部活に支障出ないでほしいけどね。総体までそんなに時間ないし」

 もう1人の3年生部員である津田沙帆つださほが言った。彼女は3年生の中で最も背が低い。


「まあ、あんたも人のこと言えないでしょ? 1年のときに、中学の新人戦のことずっと根に持ってたじゃん」

「今は別にちゃんと仲良くチームメイトしてるからいいじゃん! それより素子戻ってきたよ」


 悪戯っぽく笑うみどりに沙帆は憤慨する。しかしそれ以上言い争いをすることはなかった。体育教官室から出てくる素子を視認して、2人はスクールバッグを肩にかけ直す。


 もうすでに日は落ちて、等間隔に設置された街灯が3人を照らしている。合流した3人は、話しながら歩きだす。


「本当にどうなることかヒヤヒヤしたよ。衝撃的すぎて言葉が出なかった。

 正直、永倉がキレたのは止めるべきだったかもしれないけどね。2年は完全にビビってたし」

「沙帆はよく黙ってたよね。あそこでえみが梓に手を出してたら、止めなきゃいけなかったと思うよ。

 まあ、最後は素子がどうにかしてくれたから良かったけどね」

「うーん、あの沈黙を破れるのは素子しかいなかったよね。っていうか、永倉を止めなかったのって、敢えてなの?」


 沙帆が素子に問いかける。相変わらずの無表情で素子は答えた。


「止めてもあの子は絶対に言う性格でしょ。結果的に山崎さんの心境に変化があったならそれでいいと思う」


 校門では、聡子がそわそわと落ち着きなく姉を待っていた。それを視認した素子は、「じゃあ」と、2人に言うと足早にそちらへ向かっていった。


「相変わらず食えないやつめ」

「ほんとそれな」

 沙帆の言葉に、素子を小学生のときから知っているみどりが同意した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ