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そうして君は僕を知る  作者: 琉慧
第五部 太陽は月を照らして
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第五十話 ほんの些細なこと 46

 私の耳にした彼らの会話の内容の全貌ぜんぼうはこうだった――


「でももったいねーよなぁマジで、それまでいい雰囲気だったんだろ? 健太」

 健太というのは伊藤くんの名前だ。


「いやあれは絶対百パー成功する流れだったからな博人ひろと。 あそこから『やっぱ無理』とか誰でも萎えるっての……」

 博人というのは小寺くんの名前だ。


「まぁ俺ら的にはそうなってくれて助かったけどなー。 それで内海が乗り気だったら絶対そのままヤってただろ健太」


「当たり前だろ亮! その為に前日に兄貴の部屋のコンドーム一つパクって財布の中に忍ばせてたってのに。 あーあ、せっかく俺が一番最初にあの条件(・・・・)で童貞捨てれると思ってたのになー。 完全に予定狂わされたぜ」


「『この四人の中で誰が一番かわいい女で童貞捨てれるか』とか、お前もエグい事考えるよな健太」


「当然だろ修二、ただ童貞捨てるだけならギリギリ許容範囲内のブスおだてて一発ヤらせてもらうだけで済む話だからな」


「出たよ秀才イケメン様の余裕ぶっこき。 マジでいいよなーお前は。 大抵の女だったら選び放題だしさ」


「余裕じゃねーよ! テストは毎回一位取るつもりで勉強してんのに結局三年間で一回もあのA特待二人の化け物を超えた事ねーし。 それにこのスタイル維持すんのも楽じゃねーんだからな? 小顔マッサージとか筋トレとか、勉強も含めて俺が一日に何時間掛けてると思ってんだよ」


「はいはい分かった分かった。 ――でもこれで、内海が例の噂通りだったって事はほぼ確定だな」


「間違いねーだろ。 普通の女だったらぜったいそんなトコでキス拒んだりしねーし」


「レズのくせに男なんて好きになってんじゃねーよまったく……顔と頭が良すぎたらあんな変なの(・・・)になんのか?」


「ほらよく言うじゃん、『天は二物を与えず』って。 あいつは顔と頭を欲張ったから神さまがその辺で調整入れたんだよきっと。 ほんと世の中はうまく出来てるぜ」


「じゃあもしかして坂井もそのたぐい? あいつら中一の時からずっと一緒に行動してるしな。 しかも俺が男紹介してやろうかって言った時もぜんぜん興味無い素振り見せてたし、こりゃ坂井もクロっぽいな。 ひょっとしてもうあの二人でヤる事ヤってたりしてな!」


「ていうか女同士でどうやってヤんの?」


「あ、俺なんか見た事あるよ。 女と女が股をこすり合わせるやつ。 なんだっけ、貝合わせだっけか?」


「お前最近やっと親にスマホ買ってもらったと思ったらそんなのばっか見てんのかよ。 っていうか女同士でヤる時ってそういう事すんの? マジでキショいんだけど。 それ聞いたら尚更内海とヤらなくて良かったと思うわ」


「えー、別にレズでも女とヤってるのと変わりねーじゃん」


「バカ。 『昔レズの女とヤりました』なんて他の女にバレたら俺まで変な目で見られそうで嫌なんだよ。 お前はヤる事しか考えてねーからそれでもいいかも知れねーけどな!」


「女なんて多少顔が良けりゃ全員穴開いてんだからヤれりゃ一緒だって!」

「ははは! こんな会話他の女に聞かれたらドン引きだな」


「大丈夫大丈夫、今の時間こっちの階段あんま使われねーし、声が聞こえても何喋ってるかなんて誰も聞いちゃいねーよ」


「それもそうだな――あっ、やべっ、休み時間あと三分しかねーぞ! まだ制服にも着替えてねーのに」


「誰だよこんなトコでゲスい話始めたヤツ」

「はーい、俺でーす! ゲスくてごめんねー!」


「そんなだからお前はいつまで経っても彼女出来ねーんだよ博人、つかそろそろ教室に戻らねーと遅れるって、早く帰ろうぜ。 それよりどうやったら俺が内海と違和感なく別れられるかお前らも考えて――」


 ――それきり、彼らの話し声が私の耳に届く事はなかった。

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