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そうして君は僕を知る  作者: 琉慧
第二部 私(ぼく)を知る人、知らぬ人
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第二十話 球技大会 2

 バドミントンとバレーボールは体育館内で行われており、その内バレーボールは試合時間が最も多くなる事を見越して体育館に二面、屋外に二面、コートが用意されている。 バドミントンは三コートのみだけれど、バレーほど試合時間は長くないので、最終リーグも含めて二日間あれば余裕を持って回す事が出来るだろう。


 そうして、先程勝利した僕達の戦績は二戦二勝。 調子良い滑り出しと言って差し支え無いだろう。 しかし、思ったよりもバドミントンというものは運動量が多いスポーツであり、試合が終わった直後は気候の関係も相まって汗が止まらない。


 僕は頭からしたたり落ちる汗の相手をしつつ、次の試合まで他の競技の邪魔にならないよう、古谷さんと共に体育館の壁際に座って休憩していた。 気温的に暑いのは暑いけれど、体育館両側面の前後にある大扉が四つ全て開放されていて、時おり北の大扉の方から涼風りょうふうが室内へ吹きつけて空気が循環しているお陰で、蒸し暑さというものはあまり感じられない。

 それからほどほどに汗も引いた頃、僕と古谷さんはバドミントンの試合を観戦しながら言葉を交し合っていた。


「――でも、バドミントンって思ってたより結構体力使うよね。 正直ここまで激しいスポーツだとは思わなかったよ」


「ですよね。 二試合目でも少し疲労が溜まってきてるので、次の試合からは性根を入れて頑張らないと体が付いてこなさそうです」


「まぁ、次の試合まで十五分ぐらいは休めるし、今の内に体を休ませておいて、次の試合も頑張ろうよ」


「ですね。 ……それにしても今日、暑いですよね。 まださっきの試合の熱が抜け切ってなくて、体が火照ってます」


 そう言いながら古谷さんは「ふぅ」と一息つきながら体操服の胸元辺りを指でつまんで前後にぱたぱたと動かし、服の中にこもっているであろう熱気を体の外に放出させていた。 僕は何気なくその動作を見ていたけれど、ふとした拍子に彼女の胸元が大っぴらに見えてしまいそうになって、慌てて真反対側に首を回した。


「ん、どうかしましたか? ユキくん」

「いや。 本当、暑いよね、今日」


 我ながら何とも辿辿たどたどしい語調に情けなささえ覚えた。 しかし、古谷さんの言った通り今日は――いや、近頃から、日に日に暑さが増しているように思われる。 ただ、湿気があまり無い事と、先述した通り体育館の風通しが良い事も幸いして、体育館内の気温は運動さえしていなければ汗を掻かない程度の快適さを保っている。


 それでも屋内の体育館でこの気温なのだから、直射日光をまともに受けながら競技を進行している屋外の選手達は僕達以上の熱気にさらされている事だろう。 それを思えば、屋外の選手達にはいささかの後ろ暗い気持ちを抱いてしまうものの、やはり屋内競技で良かったなと、一人静かに首肯しゅこうを果たした。


 それからまたしばらくの間、古谷さんと会話を交わしている最中に、グラウンドの方から何やらときの声が聞こえて来た。 どうやら屋外の競技も炎天下に負けぬほどの熱気に包まれ、大いに盛り上がっているらしい。


「外の競技、盛り上がってるみたいですね」

 古谷さんも先の声が耳に残ったのか、先の僕の思考と同様の事を述べている。


「そうだね。 まだ試合まで時間もあるし、外の競技でも観てみる?」

 僕自身も外の様子が少し気になっていたので、彼女にそう持ち掛けた。

「そうですね」と僕の提案を承諾した古谷さんを確認した後、僕達は体育館側面の大扉からバルコニーへと足を運んだ。


 当高校の体育館は、階層で言えば二階にある。 一階には、柔道場や卓球場、食堂などがあり、体育館はそれらの真上に位置している。 そしてグラウンドは体育館の北側に広がっている。 だから体育館側面北側のバルコニーに出れば、高い位置からグラウンドが一望出来るのだ。


 そうした見通しの良い場所ともあってか、僕達がバルコニーに出た時には既に、体育館内で試合待ちの生徒達が十人程度、一.二メートルほどの外周壁に肘を預けながら外の競技を観戦していた。 僕達も空いたスペースからグラウンドを望んでみると、ちょうどドッジボールの試合の真っ最中のようだった。 コートの中には、片方が三名残っており、もう片方が一名のみ。 よく目を凝らして見ると、状況がかんばしく無いであろう残された一名の生徒は――三郎太に違いなかった。

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