表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/44

第二十四話 初めてのデート(中)


  <喫茶店を出た後>



 喫茶店を出て、僕達はとても疲れていた。


 蛇足ながら、彼女から貰ったお金で。

表向き、僕が料金を支払った形にして置いたのは、勿論もちろんである。




「あ〜、疲れたね。

千早ちゃん……」


「うん……」




 喫茶店で、周囲の視線を浴びながら、二人で一つの飲み物を飲んだ。


 周りからの視線が突き刺さり、とても痛かった。


 そんな、ある意味さらし者になっていたので、とっても疲れた。




「ねえ、なおくん」


「ん、どうしたの?」


「食休みに、近くの運動公園でユックリしない?」


「うん、良いよ〜」




 すると、おもむろに千早ちゃんが、そんな事を言ってきた。

確かに、食べたばかりでユックリしたいし。

それ以前に、汽車に乗ったのと、さっきの事で何だか疲れてしまった。


 そんな訳で、彼女の提案どおり、運動公園で休むことにした。



 ・・・




「はぁ〜、千早ちゃん気持ち良いね〜」


「うん、気持ち良いね」




 運動公園に行くと、芝生と林の緑が五月の空にえており。

丁度、気持ちの風が、公園の中を吹いていた。


 二人共、その気持ちの良い風を身に受けると、同時に声を上げる。


 この公園は、昔からココにあり。

僕の時代に、広場に遊具が増えた以外は基本的には同じである。


 基本的は、子供を遊ばせる芝生の広場が中心になっていて。

他にも、サッカーグラウンドや野球場、テニスコートなどが有り。

後、結構広い林が有って、中には遊歩道が通っており、散歩が楽しめる。


 そして僕達は、その遊歩道を、一緒に手をつなぎ歩いていた。


 人気は全く無い訳ではないが、喫茶店での事で何だか吹っ切れた所もあり。

人の目が余り気にならなくなった。




「もぉ〜、こっちこっち〜」


(バタバタバタ〜)




 二人手を繋ぎ、並んで歩いていると。

横を、先ほどとは違う、別の女子高生の集団が駆けて行った。


 聞こえる声は。

“キャッキャ、ウフフ”と、形容したくなる様な声である。


 しかし、さっきのたちとは違うデザインだけど。

やはりセーラー服だよなぁ〜。




「もぉ、なおくん! また何を見ているのよ〜」


(グイッ)


(ぷにゅっ)




 そんな事を思いつつ、僕が通った娘たちを見ていたら。

またもや千早ちゃんがヤキモチを焼く。


 しかも、握っていた手を一旦離し、それから腕を組みながら僕を引っ張ったのだ。


 それに強く引かれた為、肘に彼女の柔らかい物がダイレクトに当たる。




「あ、ゴメンゴメン。

いやね、あの娘たちの制服を見ていたんだよ、僕の時代と違うんだなって」


「どう言う事なの?」




 そんな千早ちゃんに、慌てて弁解するが。

彼女は、そんな僕に不審そうに言う。




「僕の時代の制服は。

ああ言うセーラー服よりも、ブレザーの方が多いんだよね」


「ブレザーと言うと、ネクタイしてジャケットを羽織はおる?」


「そう」




 僕の言葉に、彼女の機嫌が少しは変わる。




「それにスカート丈も、あんなに長くなく、これくらい」


「えっ!」




 僕が、手を自分の太ももの中間くらいで示すと。

千早ちゃんが、驚いた顔になる。




「……そんなに短いの、制服のスカートが……」


「うん」




 驚愕きょうがくの顔をしている、彼女に更に追い打ちを掛ける。




「さっき駅に居た、不良たちを覚えている」


「あの、駅前で座り込んでいた?」


「地面に直に、あぐらをいて座っていたのも居たよね」


「うん、お行儀が悪いよね」


「あれね、僕の時代だと、女子がソレをやるんだよ」


「ええっ!」




 僕が言った内容に、彼女がもっと驚いた。


 この時代の良い所のお嬢さんである、千早ちゃんからすると。

考えられない事だろう。




「じゃ、じゃあ、スカートの中が見えるちゃうよ〜」




 短いスカートでそんな事をすれば、当然、そうなると考えるであろう。




「あ、大丈夫だよ。

もちろん、中にショートパンツや、見せパンとか穿いているから」


「あ〜、な〜んだ〜、良かった。

でも、見せパンて何?」


「“見せても良いパンツ”の略だよ。

まあ、アンダースコートとかブルマーみたいな物だと思って構わないよ。

あ、そうそう、僕の時代だと、ブルマーは絶滅してしまったんだよね」


「えっ? そうなの」




 僕がそう答えると、一応、安心するけど。

次の言葉に反応して、千早ちゃんが聞いてくる。




「うん、この時代から約二十年後くらいに、ブルマー禁止の運動が全国的に出て。

それで、だんだん廃止される事になったんだ」


「そうなの、良かった〜」


「どうして?」


「だって、ブルマーって恥ずかしいんだもの。

体の線がハッキリ出てしまうし〜」


「そうなの、僕は残念だけどなぁ〜」


「もぉ〜、なおくんのH」




 僕が残念そうに言うと、彼女が膨れてしまった。





 ****************





 私となおくんは、色々と話をしながら、林の中を散歩していた。


挿絵(By みてみん)




「ねえ千早ちゃん、あそこのベンチに座らない?」


「あ、うん」




 林の中を散歩していると、途中で開けた所に出て。

そこに一脚だけ、ベンチが置いてあった。


 そこで、なおくんが座ろうと言って来たのである。


 野外に有る割に、意外とキレイなベンチに二人で座る。


 当然、私は彼と腕を組んだままだ。




「風が気持ち良いね」


「うん、気持ち良い……」




 二人でベンチに座ったら、なおくんがそう言ってくるので。

私も同意する。


 林の開けた場所にあるので、上にポッカリと空が見えていて。

太陽が有る位置には、丁度、木の葉が重なっているので。

陽光がキラキラと見えている。


 程よい加減の陽の光を受け、更に気持ちの良い風を受けていたら。

食後であるのと、周囲の視線を浴びて疲れた所為せいもあり。

妙に眠くなってきた。




「ふぁ〜っ」


「ん、眠くなったの?」


「あっ、ごめんなさい」


「良いよ、しかし可愛いアクビだね」




 眠くなり、思わずアクビが出てきたので、急いで手で口を隠してつつ彼に謝るが。

そんな事を言って、なおくんは気にはしなかった。




「何なら、ここで寝ても良いから」


「えっ、でも……」


「僕も何だか疲れたから、少し休みたいしね」




 なおくんが、私を見てながら言う。


 私を見るその瞳は、とても優しい。




「なおくん、ごめんね」


「ううん、僕も休みたかったから」




 私は、なおくんに甘えて、少し仮眠する事にした。


 今の体勢は、なおくんと腕を組んだ状態なので。

当然、その状態で寝るとなると、彼の肩に頭を預ける事になる。


 私は少し遠慮しながらも、なおくんにもたれた。



 ーーこうしていると、気持ち良いなぁ……。



 見た目以上に大きく、頼りがいのある彼の体の感触を感じながら。

私は次第に、夢の世界へと旅立って行った。


 <参考>

・ブルマー

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%BC#%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%A8%E5%BB%83%E6%AD%A2


・見せパン

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E3%81%9B%E3%83%91%E3%83%B3


・平成時代の制服の変遷

https://www.furyu.jp/news/2019/02/gtl64.html

※この調査では、現在、膝丈スカートが主流ですが。

作中では、話の都合でマイクロミニと言うことになっております。


・ブルマの興亡史

https://honeshabri.hatenablog.com/entry/history_of__bloomers


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姉さん先輩に可愛がられる、後輩男子のイチャイチャした物語です。
図書室の天然天使
男として生きるのに疲れた少年が、女の子に肉体転移して。
その可愛い弟を可愛がる物語。

優しいお姉ちゃんと可愛い弟
姉弟物の短編が多いので、どうか、お越し下さい。

星空プロフィール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ