表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/44

第二十三話 初めてのデート(前)




「じゃあ、千早ちゃん、ドコに行こうか?」




 駅前で、千早ちゃんに会いに来た理由を話した後。

それから、ドコに行こうかと訪ねてみる。


 本来なら、僕がエスコートしないとイケないのだろうが。

生憎あいにく、この時代の情報、特に習慣やら流行、または地理などにうといので。

下手な事はしないで、彼女に尋ねた方が無難だと判断する。




「ん〜、そうだね〜。

もうお昼だし、昼ゴハン食べよう」




 ・・・




(カラン、カラン、カラン〜)


「いらっしゃいませ〜」




 そんな訳で、千早ちゃんの提案に従い。

二人は近くの喫茶店へと入った。


 僕の時代ならファミレス、同じ喫茶店でもス○バなどのチェーン店に行くのだろうが。

確か、この頃はファミレス自体が、まだ出たての頃だから。

この辺りまでは、進出してはいないだろうし。


 当然、喫茶店も全国規模のチェーン店なんて、この当時には存在していない。


 彼女と一緒に、カウベルの音と共に中に入ると。

昼時だから大丈夫かなと心配したが、人が多いけど何とか座れそうだ。


 まあ、まだ昼になったばかりと言うのも、あるのだろう。


 店内からは、BGMのクラッシック音楽に混じり、先程の女子高生だろうか。

聞いた事がある、甘い小鳥の様なささやきが聞こえてくる。


 今みたいなチェーン店ほどでは無いが、個人経営の店にしては比較的広い方だろう。


 内装も、昔の映画で見た通りの、仕切に植木が置かれたボックス席で。

僕らは店員さんの案内で、空いている席に対面で座る。




「千早ちゃんは、良くココに来るの?」


「うん、街に出た時は良く来るよ」




 座ると同時に、僕は彼女に尋ね。

すると、千早ちゃんは直ぐにそう答える。




「ねえ、千早ちゃん、何食べる?」


「えっとねぇ〜」




 千早ちゃんが、テーブルに置いてあるメニューを見ている。

気をつかって、僕がおごると言う形を、彼女が取ってくれたので。

僕は、メニューを見ながら選ぶ千早ちゃんに、そう言った。





 ****************





「はぁ〜、美味しかった〜」


「千早ちゃん、満足した?」


「うん♪」




 出てきた物を食べ終え。

二人で、そんな会話をした。


 注文したのは、私がスパゲッティナポリタン。

なおくんが、カレーライスである。


 なおくんの話だと。

カレーならば、店による当たりハズレが少ないと言う話だ。


 最も、こう言った店で出てくるカレーは。

業務用の、すでに出来ている物を使っている場合が多いので。

“マズいはずが無い”と、彼が小声で耳打ちしてくれた。


 それから驚いたのは。

実はスパゲッティナポリタンは、本場には全く無い。

日本で創作された物だと言うのを彼から聞いて、ビックリしてしまった。




(※今では、結構、ナポリタンは日本生まれだとは知られていますが。

当時は、極一部にしか、知られたなかったみたいです)




「何だか喉が乾いたな〜」


「じゃあ、何か飲み物頼まない?

僕はカレーを食べた後だから、水だけで良いから」


「あ、なおくんアリガトウ〜。

あの〜、すいません〜」



一応、なおくんが、私におごっていると言うていよそおっているので。

 私は少し芝居をしながら、注文する為に店員さんを呼ぶ。




 ・・・




「ご注文の品です、どうぞ〜」


「……」


「……」




 注文してから、しばらくして。

店員さんが、頼んだ物を持ってきた。


 しかし、そのやって来た物を見て、私となおくんが絶句した。


 私は、メロン味のクリームソーダを頼んだけど。

出てきたのは、たしかに上にクリームが乗った、クリームソーダなのだが。


 その、何と言うか、注文した物にはストローが二本刺してあって。

しかも、刺してあるストローが、途中でクルクルと巻いていると言う物である。




「えっと……、これは……」


「はい! こちらはカップルの、お客様用サービスになっております。」




 事態が理解できない私は、目の前の店員さんに聞けば。

店員さんは、まぶしい程の営業スマイルで答える。




 “それでは、ごユックリしてください”と言う、言葉を残し。

店員さんが去っていく。


 店員さんが去り、二人は同時にメニューを見てみる。




「……あっ。

“今月は、カップルのお客様に、特別サービスを行っております”だって…」




 なおくんがメニューを見て、そう言うので。

私も確認すると、確かにそう書いてあった。



 ーーしまった〜。

  久しぶりに来たから、そんな事は分からなかったよ。



 一瞬、そう後悔したが。

しかし良く考えると、“二人でストローを使い、同じものを飲む”。

それって、マンガで度々見るシーンではないか?


 そう思うと、私は勇気を絞り出して、彼に尋ねてみる。




「……ねえ、なおくん。一緒に飲まない?」


「えっ」




 私はそう言って、出てきたクリームソーダを、席の真ん中に置き。

片方のストローを、彼に向ける。



 ーー多分、今の私は顔が真っ赤なんだろうな。



 それが分かる位、熱い顔をうつむかせつつ、なおくんに言う。




「ほら、千早ちゃんも」


「……」


「一緒に行けは恥ずかしくないから」


「う、うん……」




 なおくんがストローに口を付けた状態で。

自分から言って置きながら、何だか踏み切れない私の様子を見て、そう言ってくる。




「せえ〜のぉ」


((チューーーッ))




 なおくんの合図で、二人同時にストローに吸い付く。




(チラッ)


(チラッ)


((カーーーッ!))




 二人同時に吸い付き、思わず顔を上げたら。

間近に彼の顔が目に入ったので、更に顔が熱くなる。


 私の目に入ったなおくんの顔も、何だか赤い様にも見える。




「「「キャーーッ!」」」




 二人、見詰め合いながら、顔を熱くしていたら。

近くから、騒がしい声が聞こえてきた。




「きゃ〜、二人で同じ飲み物飲んでいる〜」


「カップルだわ、あの二人、カップルだわ」


「いや〜ん」




 見ると、さっき駅前で、なおくんが見ていたたちだ。


 そのたちが、私達を見てキャッキャ騒いでいる。


 騒いでいる、そのたちを見てだろう。

店内全員の視線が、私達に集まった。




「……」


「……」




 私達に集まる視線に、私は恥ずかしさの余り、思わず顔を伏せてしまい。

チラリと見た、なおくんも、赤い顔をを伏せていた。


 こうして私達は、周りの視線を集める。

ある意味、針のムシロの上に座った状態に、なっていたのであった。


 <参考>

・ナポリタン

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%B3


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お姉さん先輩に可愛がられる、後輩男子のイチャイチャした物語です。
図書室の天然天使
男として生きるのに疲れた少年が、女の子に肉体転移して。
その可愛い弟を可愛がる物語。

優しいお姉ちゃんと可愛い弟
姉弟物の短編が多いので、どうか、お越し下さい。

星空プロフィール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ