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あの世行きの列車


 先日、中学時代の友人と久しぶりに再会する機会があった。

 友人は今、東京の大学に通っているらしく、バイトやサークル活動、中学時代の思い出話など色々な話をしてくれた。だが、お酒が程よく回ってきた頃、ちょっとおかしな話が出た。

「おい。聞いて。俺見ちゃったんだよねぇ。あの世行きの電車」

 最初は一体何を言っているんだと思った。

 彼曰く、去年の夏に男女四人グループで千葉県の心霊スポットまで車を走らせたそうだ。かなり田舎の方だったらしく、夜になると辺りは殆ど真っ暗で、人の気配などまるでなかったそうだ。四人はカーナビだけを頼りに田んぼばかりが広がる夜道を走っていた。

 しかし、行けども行けども目的地の心霊スポットには辿り着かない。それどころか、同じ道を何度も何度もループしている。真っ暗な中、ループしていることに気がづけたのは、その道の途中に古びた踏切があったからだ。車内は軽いパニック状態になりつつあった。

 だがその時、何度も通過している踏切が、突然けたたましく鳴り、バーが降りてきたのだそうだ。時刻は夜中の2時を過ぎていた。その田舎の終電は23時45分。こんな時間に電車は走らない。友人は、おかしいとは思ったらしいが、工事用の車両か、貨物列車か何かだろうと思ったそうだ。

 しかし、そこに現れたのはどちらでもなかった。掠れた汽笛の音が鳴り響き、弱々しい光が右側からゆっくりやって来た。

 それは、今までに見たこともない車両だったという。車体はすべて黒く塗り潰され、長さも三両ほどしかなかった。それが、強風というわけでもないのに徐行運転しながら四人の前を通過したのだ。

 車内は裸電球のようなものにぼんやりと照らされており、何人か人が乗っているのが見えたのだが、その乗客らしき人影は、皆一様に下を向き、窓にへばりついてぶるぶると痙攣したように肩を震わせていたらしい。それは狂っているようにも、泣いているようにも、笑いを堪えている様にも見えたとか……

 電車が通りすぎると、何事もなかったかのように踏切のバーが上がり、四人は再び車を走らせた。すると、どういう訳か、すんなりと目的地の近くまできてしまった。しかし、かといって、あんなものを見た直後に心霊スポットになど行けるはずもなく、その日はすぐにお開きになったのだという。

 友人は言う。

「どう見ても生きた人じゃなかったねぇー。あれの後追っかけたら、どこに行けたのかなぁー? お前も気をつけろよ」

中学生の時に友達から聞いた話を参考にしています。

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