シャンプー中に感じる視線
よくこんなことを言う人がいる。
お風呂で頭を洗っている時、ふと誰かに見られているかのような気持ちの悪い感覚に襲われることがある、と。大抵は一人暮らしで、アパートかマンションに住んでいる。そして明らかにそこの部屋で、もしくはその土地で、過去に何かが起きている。あるいは現在進行形で起こっている。
あなたはその奇妙な視線の正体を自分の目で確かめてみたことがあるだろうか?
私はある。一度だけ。
もしシャンプー中にふと誰かの目線を感じたら、あなたはの見るべき場所は背後ではない。なぜなら、そこには絶対に何もいないからだ。
本当に見るべきは天井なのだ。だが、だからといって素直にそのまま真上を見上げてはいけない。なぜなら、そこにも誰もいないからだ。
彼らだってそこまで馬鹿ではない。一応隠れてはいるのである。
本当に勇気のある人だけ、鏡の中の天井を見てみてほしい。
鏡の世界の天井。ちょうどあなたの立っている真上辺り。きっと、そこに視線の正体はいるはずだ。大抵の場合、本来の「人間」の形から逸脱したものがへばりついている。一週間は夢に出るから、見るのはかなりの覚悟が必要だ。でもそこまで心配する必要もない。
彼らはただじっとあなたを見つめているだけで、特に攻撃を仕掛けてくるわけではないからだ。
そこにも何もいないなら、仕方がない。おそらく視線の正体はもっと厄介なものである可能性が高いので、普段何かのセンサーだと思って気にしていない、天井にへばりついているそれを取り外してみるといい。もっと恐ろしい事実に気が付くはずだ。