職業のシギサ
二話目です。
「どうなさいました?」
俺は何食わぬ顔でダストンの屋敷の前でうろうろとしていたメイド服の女性に声を掛ける。
現在失踪したラミカ(原因は俺)の捜索をしているのだろう。
「どちら様でしょうか?」
突然話しかけられ警戒する女性。
「申し遅れました、先日ここの領主ダストンさんから依頼を受けた税理士の者です」
と、深々と礼をする。
もちろん俺は税理士などでは無い。
どちらかと言えばそれとは真逆の仕事をしている。
まあどちらもお金をどうこうするという部分だけは同じだが。
なぜ税理士かと言えば今回ダストンに接近するのに一番な職業だったからという単純な理由である。
「こちらへどうぞ」
と、俺がダストンから依頼を受けたと聞いた途端彼女の俺に対する警戒は無くなり屋敷の中へと案内された。
ここで身分を証明する物を出せとか言われれば一発でアウトなのだがそんなことは無かった。
案外人間という生き物は抜けている。
いやそれは昔の話だったな、今はそれに該当しない人間もいる。
つまり『シロ』はこれよりも酷い。
努力無しでいきなり強者となった『シロ』達は己の力を過信し慢心している。
しかも人の上に立つためのセンスを持ち合わす『シロ』なんてほとんどいないだろう。
だから俺みたいな奴が来てもこうして簡単に通れてしまう。
普通は客人に身分の提示位はさせるように手下に指示して置くべきなのだ。
そうこうしてるうちにどこかの一室に入れられしばらく座って待っていると中年小太りした人が入ってきた。
「いやぁお待たせして申し訳ございません少し面倒が起きてまして」
頭をぺこぺこ下げ入ってきたこの中年小太りがダストンだろう。
そして面倒とはラミカのことだろう。
「始めましてゼロと申しますダストン様の──」
「いいよいいよ堅苦しい挨拶は、それよりも早速本題に入ろうじゃあないか」
そう言ってダストンは小さい封筒を内ポケットから取り出し机に置く。
「三百万ある、これでよろしく頼んだよ」
まあ当然そうなるよな。
こいつの数々の不正は少し調べれば分かる。
少しと言ってもかなりの人と金を使い裏ルートから仕入れたんだが。
またこんなに大それた不正をしているのになぜ表向きにはならないのかと言えば差し出された封筒を見れば納得だろう。
これが今回フリーの税理士と偽った理由でこいつは毎回確定申告の時フリーの税理士に金を渡して不正を免れたりしている。
・・・・・・なんと浅はかな考えだろう。
物語にの悪役にすらなり得ない。
良くてゲームのチュートリアルだろう。
こいつは本当にこんなことで不正を免れれると思っている。
こんなの誰だって考えれば十秒で思い付く。
こんな人間をはめるのなんて息をするよりも容易い。
外部に不正が漏れたと言って、各所に口止め料を払わせ、その金は最終的に俺の所に来るようにしてある。
そこに一番今回時間と金を使った。
あとはこの情報を密かにばらまけばこいつの信用は無くなり社会的地位を失くすだろう。
全く時間と労力に見合った仕事だった。
俺は頭の中で確信し話始める。
「ここだけの話なんですが実は──」
「ダストン様ラミカを捕まえました!」
「え?」
勢いよく開けられたドアには先程俺を案内したメイドがかつて俺がしたようにラミカを脇に抱えている姿がそこにはあった・・・・・・。
「やっちったっ」
本日二度目の思考が停止する。
次は一週間以内に投稿出来るように頑張って行きます。
それはさておきもうすぐ四月ですね、新生活が始まる人もいるのではないでしょうか、かくいう私ももうすぐ新たなことが始まります。
人間何かと節目に体調を崩しやすいのでお互い体調には気おつけて行きましょう。




