職業は○○○
ワード設定でよくわからないワードがありそれを付けるか否かで1時間位迷いました。
あ、今回から新シリーズです。
今回の仕事はアーリカン国ナバーロの権力者ダストンを言いくるめ政治の世界から退けるだけの実に簡単な仕事だ。
今では魔法駆動が主流のご時世だがすっかり古びていつエンジンが止まってもおかしくない今から五十年前の人類最古の電気自動車のハンドルを握る。
どこの誰か知らないが魔法とかいう兵器にも似た物を作り出してしまったおかげで今まで表面化では平等を保っていた人類も世界に魔法という文化が広がって行くうちにたちまち平等なんて言葉はこの世から消えた。
皆が使えればそれで良かったのだがどうも魔法の使用には特別な感覚が必要らしく、生まれつきそれ魔法が使えるもの、努力で使える様になるもの、努力しても全く使えないもの、大きく分けるとこの三種類に分類され、それぞれ『ホワイト』『グレー』『ブラック』と呼ばれている。
まあ一言で言うとするならば『才能』があるか否かだ。
当然その才があるものは強制的に強者、無いものは弱者となり、どこの時代でも決まって強者が世界を動かしていた。
今まであった政治体制は崩壊し魔法の才能があったシロは人間は貴族と名乗り次第に政治を動かすようになり、魔法が使える物が有利な法律を作り、世界各国で魔法が全て物をいう魔法大国が出来上がった。
それは事実上の奴隷制度復活を意味しており、時代が進むにつれて文化は退化しつつあるこのご時世に不安は否めない。
コンコン
車を近場に止め、ダストンの屋敷の高さ三メートルはあるであろう両開き木製ドアをノックする。
しばらく待っているとドアが自動で開いた。
これも魔法の力だろうな、上がれという意味だろう。
スーツを整え俺は屋敷に入ろうと一歩を踏み出す。
「あいたっ!」
なんだろう?とても幼い女性の声がしたのだが、これも魔法か何かだろうか、カフェの入店音の様に人が入ったらなるあれか?
俺はまた一歩踏み出す。
ムギュッ
あれ?なんだか床が柔らかい?
「ぎゃああああ!うそだ!?押し倒して更にふんでくるの!?この人の皮を被った鬼ぃ!」
「は?」
俺は声のする方、つまりは足元に目をやる。
そこにはうつ伏せで半泣きのメイド服を着た小さな可愛らしい女の子のケツを俺の足が踏んづけている映像がそこにはあった。
思考が停止する。
・・・・・・なんだ何が起こっている、なぜ俺は少女を屋敷の前で踏んずけているのだ。
「あのぉ〜いつまでふんでるんですか?もしかしてそう言った性癖の持ち主ですか?」
思考がまとまらずに固まっていると半泣き少女が喋る。
「あ、すまん」
と、足を退ける。
ふむ・・・・・・早速躓いた。
こいつは幼い容姿なので確定では無いが多分ダストンの元で働いている従業員だろう。
この召使いがダストンに告げ口なんてことをされれば、この仕事の完遂は極めて難しくなるだろう。
これまでどんだけ下調べしたと思っているんだ、失敗する訳にはいかない。
ならどうするか?
答えは決まっている。
「えっ・・・・・・えっ!?何!?どこ連れてくの!?」
そう、拉致だ。
表現を優しくするならば保護する。
俺は少女を脇に抱えて自分の車に全力ダッシュする。
そして車に投げ込む。
自分も車に乗り込む。
「ま、まずは落ち着こう!」
「息荒立てながら話かけないでください気持ち悪いです」
少女は少しでも距離を取るため後部座席の角に寄る。
おっと、流石に警戒されているか。
「お兄さんは怖い人じゃないんだよそんな顔に見える?」
「見える見えないでいえばゼロさん、今の自分の顔を鏡で見ることをオススメします」
少女に言われ自分の顔をルームミラーで見た。
吐息が荒い・セットした髪が崩れボサボサ・必死に慣れない作り笑顔が見事に失敗。
「・・・・・・誰だこの変出者」
「ゼロさんです。それに拉致とセクハラで顔に見合った業績をお持ちになりましたね」
「これには深い理由が・・・・・・ってあれ?なんでさっきから俺の名前知ってんの?」
「そりゃ今日この時間に屋敷に訪れる予定があったのはゼロさんだけですからね。あ、申し遅れました私ラミカと申しますダストン様にこの前買われました『ブラック』です」
少女は躊躇無くそう言った。
「お前は初対面の人に自ら奴隷と名乗る危険性を知らないのか?」
「そりゃ初対面の人に普通だったら話しませんけれど、なんかゼロさんなら話してもいいと感覚で分かったので」
「・・・・・・信用されているのは嬉しい事だな」
「あ、いえ信用は全くしていません。むしろ警戒のレベルが上がる一方です。ただ直感でこの人に話したら自分に利益がありそうだなと思っただけです」
「・・・・・・そうか」
何か遠回しにdisられた気がしなくも無いが、実際俺はお前がどんな人間なのかについては心底どうでもいいと思っている。
どうやら俺は自分主義な人間らしい。
まあこの職業をしている人間は皆こんな性格だろう。
じゃないと続かない職業だ。
ともあれ結果からこいつの直感とやらは当たっているらしい。
まあそんなことはどうでもいいのが俺だからな。
「それよりも大事なことがある」
「体は屈しても心までは屈しないっ!」
「何と勘違いした!?シリアスになりかけてた空気返して!」
「え?拉致されたということはつまりそういうことでしょう?」
「どういうことだよ」
「私の初めてが古い車の後部座席になるという」
「誰が少女の体に欲情するか!」
「こ、この人なんてことを!一応これでも成人してますよ!」
「ははっ!そんな馬鹿な」
「本当です」
「いやいや」
「本当です」
「いやだって」
「本当です」
「・・・うそ・・・だろ?」
「本当です」
つまりはこいつは俺より年上でそして第二次成長期を経て今に至ると・・・・・・。
「・・・・・・なんですか?その慈愛に満ちた目は」
「大丈夫、一部の人間には大好評だ」
「そんな好評いりません・・・・・・」
「奴隷が逃げたぞ!」
と、ダストンの屋敷でその様な声が聞こえる。
「ほら言わんこっちゃない」
ラミカが肩をすくめる。
「お前が無駄に話を引き延ばすからだろまったく・・・・・・いいか?そこで待ってろよ仕事終わらしてくる」
こいつのせいで予定は狂ったが誤差の範囲だ。
仕事に支障は無い。
そしてドアを開け出ていこうとする俺の腕をラミカが掴む
「あなたのせいで私はもう屋敷に帰っても殺されるだけなので言う通りにしますよ・・・・・・でも当然その後私を引き取ってくれますよね?」
俺はラミカの不安そうな目を見る。
こいつの居場所を無くしたのも俺だ。
ほぼ俺が悪い──いや百俺が悪い。
なのでこの問に迷うこと無き速度で言い返すことが出来る。
「あ、引き取る訳ねーじゃんいらねぇよお前なんか」
「あれぇ!?」
言ったろ俺は自分主義なんだ、他人の事は二の次。
「なら仕方ないですね最終手段です・・・・・・」
ラミカは俺とは反対のまだ開いていない車のドアに手を掛ける。
「貴方にセクハラされ拉致されたとダストン様に言ってきます・・・・・・ワンチャン助かるかもしれないので」
そう言ってラミカが開けたドアを俺は手を伸ばし再び閉める。
「よし分かった!これからもよろしくなラミカ!」
案外やるな、まさかこの俺をはめようとしてくるとは。
ダストンと会話が出来ないのが今の俺の最悪だとこいつは気がついているらしいな。
「ではではこれからよろしくです!車の中は任せてください!」
腹立つ顔だな。
こいつにはありとあらゆる重労働を強いらせてやる。
「はいはい、んじゃまた」
「あ!最後に一ついいですか?」
「なんだよ」
「お仕事って言ってましたけど一体何の仕事をしているんですか?」
「俺か?うーん難しい質問だな・・・・・・あ、そう言えばこの前名刺作ったんだった──はいこれ。今度こそまたな」
「行ってらっしゃいませ、さてとえーっと名前ゼロ十九歳、年下だったんだへぇ・・・・・・ん?シギサって職業あったっけ?」
次は1週間以内を目処に頑張ります。




