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地味~なお話です。
朧げな記憶をたどって、昔やったMMO日記を書いていこうと思う。
ゲーム名は伏せる。
僕がこのゲームを始めたのは、仕事にありつけずニートをしている期間暇だったからだ。
本当にそれだけの理由から始めた。
面倒くさいので、ゲーム名はMRオンラインとでもしておこう。
ちなみに、このサイトでよくあるVRMMOものの話や異世界転生やファンタジー話にしようっていうんじゃないのでご注意ください。
さて、何から話そう。
きっかけは、チャット友達がMRオンラインをやっていて、ある日誘われたのだ。
「〇×ちゃん、一緒にやらね? 」
「ええ~、オンラインゲームって面倒くさそうじゃん」
「大丈夫、俺が教えてやるから」
「なら、試しにやってみるかな」
チャット友達とは仲がよく、断れなかった。
クライアントを起動して、アカウントとパスワードを設定する。
ま、適当に設定を終えて、次はキャラの顔立ちを決める。
洋ゲーなので、顔はむさいのが多い。
どんなに工夫しても、日本のMMOのようなアニメ的な可愛さを醸すことはできそうにない。
僕は男だし、キャラも男性にすることにした。
何の変哲もない、これといって特徴のない青い髪の髭親父が完成。
ログインする。
画面が暗転して、しばらくしてゲームの画面が現れた。
広い石畳の上に俺の作成したキャラが突っ立っている。
頭の上にPIROという白い表示がある。
これが俺の分身なわけだ。
試しにマウスを操って、キャラを動かしてみる。
チャット友達のMにレクチャー受けたとおり、自由自在にくねくね歩いていた。
近くの建物に入ってみたりもした。
ベッドがあるところをみると、宿屋らしい。
カウンターの向こうに人がいる。
あっと、俺はMの言葉を思い出す。
ログインしたらその場を動くなと彼は言っていたことを。
元の場所に戻る。
しばらくして、俺に重なるようにして男のキャラが現れた。
「お前〇×か? 」
「うん、そういうお前は×〇?」
「そうだよ」
チャット友達のキャラのようだ。
名前はKill。
うわあ、中二病くさい――と密かに思うが、すぐに興味をなくして彼に言った。
「どうする? 」
「とりあえず、街を案内しよう」