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異世界召喚物語  作者: お犬様
9/21

発動条件と制御方法

しかし、勇者の力の発動条件ってのは何なんだ?


自室に戻り、ベッドに横たわった時に抱いた疑問だった。ユウマはあの時の事を思い出してみた。リメークにパンチを入れたあの時を。


「俺が殴った時…殴った瞬間はリメークは自分の掌の異変に気付いてなかったよな。てことは、触れた後に時間差で効果が…?あークソ、駄目だ。1人で考えてても答えが見えねえ。この力を知る人物に聞くしか…」


その時、ガルズの娘さんはまだ生きているだろうか、という考えが頭の中を過ぎった。初代アラムを討ち取った勇者の娘。その力の概要を知っていてもおかしくはない。例え知らなかったとしても、天元の剣の情報は少しは知っているはずだ。


「…でも、生きてるかな?」


少なくとも100歳は越えているはずだ。ガルズがアラムを討ち取ったのは100年前。ガルズの娘が当時5歳と推定すると、現在は105歳という事になる。


「明日、ガルズさん…昔の人に敬称つけるのなんか変だな。ガルズの娘さんの所に行きたいな。詳細を知ってそうなのは…ログメルかモヤンか?でもログメルの体の事知ってからだとなんか聞き辛いな…うん、消去法でモヤンだな。モヤンに聞いてみよう。」


ユウマよりも年下ながらに、しっかりとしていて情報にも疎くないモヤンが適任だった。


「さて、寝るかね。」


異世界に来て初めての夜。はっきり言って眠れるか不安ではあったが、ラズリが整えてくれたベッドはとても快適で直ぐに眠りへと誘われた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ユウマ」


「んにゃ。」


異世界に来て2日目を迎えた。どうやら深い眠りにつけていたようだ。目を開けると案外メイド服が似合うラピスが横に立っていた。


「起きたかいユウマ。朝食だよ。」


「ラピスさんか。わざわざ起こしに来てくれてたのか?」


「うん、早く食堂に来てな。」


「分かった。着替えたら行きます。あ、そうそう、ラピスさん。」


「ん?どうしたんだい?」


「メイド服…似合いますね。」


ラピスは照れ隠しをしたのか、将又純粋に嬉しかったのか「ふふ、」と笑った。


「ありがとうね。なんだか照れるよ。それじゃあ、待ってるからね。」


出ていったラピスを見送って、ユウマは部屋のクローゼットを開けた。シンプルなデザインの洋服が何着も入っている。


「さて、これに着替えてさっさと行こう。」



ユウマは早々と着替えを済ませ、食堂へ向かった。



まずは皆に挨拶をし、席に座る。そして料理が運ばれるのを待ち、「いただきます」と食材への感謝を忘れずに平らげる。 勿論食後も「ご馳走様。」とちゃんと唱える。ユウマはこの食材と作ってくれた人への感謝を唱えるのを1度も忘れたことは無かった。そんな自慢話は控えるとして、ユウマは仕事に戻ろうとするモヤンを呼び止めた。


「おーい、モヤッとボール。」


「くっ…反応してしまう自分が憎いです。えーと、何の御用ですか?」


「ガルズの娘さんってまだご健在?ちょっと話がしたくてさ。」


「ええ、年老いてはいらっしゃいますが未だご健在だった筈です。住宅街の1番大きい家に住んでますよ。ユウマさんでも多分見つけられると思います。」


「多分100歳は越えてるよな。ボケてたりしないかな…」


「ええ、ですが歳の割に元気ですし若々しいですからその辺は大丈夫だと思います。お気を付けて。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「えーと、住宅街の1番大きい家…ここかな?」


モヤンに教えて貰った通り住宅街へと向かうと、20分ほどで辿り着いた。確かに大きい家だ。


元の世界とは違いインターフォンが無いため、ユウマは扉をノックした。すると弱々しい足音が聞こえ、扉がガチャリと開いた。


「…?誰じゃ。儂はここら一帯の奴らとは面識があると思っとったが、お前は知らぬな。」


中から出てきたのは70を越えていると思われる老婆。実際は100歳越えなのだが。


「そうだな…勇者って言ったら分かる?」


「…ほう、お前が新しい勇者って訳かい。お上がり。」


老婆はユウマを頭から足まで見渡して、嬉しそうにユウマを招き入れた。


「えーと、まずは自己紹介を。俺は戸部優馬だ。ユウマって呼んでくれ。筋肉バカのリメークって奴にはドベって呼ばれてるがな。」


「うむ、儂はアルズじゃ。それより、リメークが筋肉バカ?あのぼうやはそんなに逞しくなったのかい?」


「アルズさんね、ガルズさんと名前似てるな…ん?俺が知ってるリメークはそういう奴だけど」


アルズの言葉に無理解を示すユウマ。まるで弱々しかった頃があった様な言い方だ。


「リメーク坊やは病弱だったと思ったんじゃが、成長したんだね。あたしゃ自分の孫のように嬉しいよ。」


「アイツが病弱って中々想像出来ねえな…おっと、俺は身内の幼少期の話を聞きに来たんじゃねえんだよアルズさん。もっと大事なことを聞きに来たんだ。」


「ほう、儂に答えられる範囲でなら答えてやるぞ。」


「率直に言うとだな?勇者の力の発動条件と制御の仕方を知りたい。それと天元の剣についても、だ。」


「ふむふむ、良かろう。儂も父に色々聞いていた身じゃ。ほれ、一旦外に出るぞ。」


「…?よく分からんけど分かった。」


アルズは「どっこいしょ」と腰を上げ、ユウマを先導する形で外へと向かった。辿り着いたのは庭に聳え立つ大きな木の前。


「…で、この木に何をしろと?」


ごもっともな質問だ。こんな木を見に来るためだけにわざわざ外へ出た訳では無いだろう。


「まあ焦るでないよ。この木は特殊な性質でね?勇者の力を受けてもびくともしないんじゃよ。」


「なるほど、俺に勇者の力をぶっ放せってか。」


「察しがいいのう。 うむ、まずは1つ目の力の出し方を教えてやろう。これは簡単じゃ。『セイン』と唱え、拳を標的に突き付けるだけじゃ。」


「セイン…あ。」


リメークにパンチを入れた時、「セイ!」という掛け声を発した事を思い出した。


「そうか…セインか。アルズさん、制御の仕方は?」


「うむ。ユウマは勉強熱心だのう。言っとくが、儂は大雑把な説明しかできんぞ?他にも気を付けることはあるかもしれん。まず、標的に突き付ける前に拳を握るんじゃ。」


アルズさんの言った通りに拳を握る。


「その拳の握り加減で勇者の力の増減が出来るんじゃよ。握る力が弱いほど勇者の力が強まる。逆に握る力が強いとどうなる?答えてみよ。ユウマ。」


「勇者の力が弱まる。だろ?なんかボケ防止みたいな制御方法だな。そんなんでいいのか?」


ユウマの軽口にアルズは頷き、顔に浮かぶシワを更に寄せて笑った。


「それは否定出来んな。儂も欲しい能力じゃ。…さ、1つ目の勇者の力について教えてやれることはもうない筈じゃ。木に向かって…うむ。一応弱めに勇者の力を撃ってみてくれるか?儂はまだ死にたくはないんでな。」


「おう、拳の握り加減を強くすれば力は弱まるんだったな。それじゃ失礼して…」


ユウマは拳の握る力を調整して、木に突き付けた。


「セイン!」


弱々しい炎がユウマの拳の周りに発生した。アルズが言った通り木は焦げたり、燃えたりはしなかった。ガルズもここで練習していたのだろうか。


「すっげ…俺の手から…なんか出た。」


アルズは「そうじゃな。」と何かを提案しようとしていた。


「父上のようにはいかんか。お前は力を完璧に扱えるようになりたいんじゃろ?ならば毎日ここに来て練習すれば良かろう。2つ目と3つ目の力の出し方は…まず1つ目を極めてからじゃな。」





たまにページ分け(『ーーーーーーーー』←みたいなやつ)をしてますが、この物語は1話1話が内容薄いと思うのであまり使う機会はないと思います。

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