メイド
王女ログメルとの話を終え部屋から出ると、モヤンが扉の前で待機していた。
「あ、モヤブリンだ」
「なんか変わってませんか?…まあ良いです。ところで、どうします?貴方の部屋を用意してありますが、見に行きましょうか?」
「なに?ログメルと話してる間に俺の部屋用意してくれてたの?マジ助かるよ。有能だなお前」
「部屋を掃除したりベッドを整えたりしたのはメイドのラズリですから、彼女にお礼を言ってあげてくださいね。」
「メイドさんが居るのか…ラズリって人が今どこに居るかわかるか?」
「うーん…多分まだ後片付けをしてるんじゃないでしょうか?取り敢えずユウマさんのお部屋に案内しますよ。」
「お前すっかり案内役になったな」
「役職上は門番なんですけどね。ですが外は兄に任せておけば安心なので僕は室内での仕事が多いです」
「…それって門番なの?リメークに任せとけば安心なのは否定しねえが…てかさ、この宮殿めっちゃ広いな。迷子になりそうだ」
「確かに広くて迷いそうですが、床に目印があるのでそれを辿っていけば迷う事はありませんよ。さあ、この先の部屋です。きっとラズリも居ると思います。」
床を見てみると確かに目印の様な点があった。
「お、これか。こんな目印があるなら方向音痴でも多分迷わないよな…あれ、さっき普通にスルーしちゃったけどお前が呼び捨てするのって珍しくね?ラズリって年下?」
「いえ、僕とラズリは同い年ですよ。僕が知っている範囲で年齢が若い順に並べると、ラズリ 僕、ユウマさん、 ラピスさん、リメーク兄さん、ログメル王女の順になります」
「俺含めて未成年者多くね?大丈夫なの?そしてラピスさんってのは…ラズリの姉さんかな、名前的に」
それよりもログメルがリメークよりも年上な事に驚いたが敢えて触れなかった。
「王女様の推薦で僕達が選ばれたので多分問題ないかと。あとラピスさんはラズリのお姉さんで間違ってないですよ。それではごゆっくり」
ユウマは「じゃあな」と手を振ると自分の部屋となる空間の扉を豪快に開けた。すると藍色の落ち着いた髪色で、メイド服を着た可愛らしい少女が立っており
「きゃい!」
「…きゃい?」
「申し訳ございません!えーと、ユウマ…様? その…少し驚いてしまって」
「こちらこそいきなり開けて悪かったよ。それで、君がラズリ?」
「はい!私がラズリです!えーと、モヤンから聞いたんですね?」
「そうそう、俺の部屋用意してくれてたんだって?本当に有難うな。」
ラズリは満面の笑みを見せた。礼を言われ嬉しかったのだろう。
「いえ、メイドとしての仕事に務めさせて頂いただけですから。あっユウマさん。会ったばかりですが、そろそろご飯の時間なので食堂に行きましょ?」
「どっかのモヤモヤしてる奴とは大違いだな。ラズリは元気一杯で話してて楽しい。」
「モヤモヤ…?あっ、お褒めの言葉有難うございます!ユウマさんは食堂の場所知らないですよね?ご案内しましょうか?いいえ、させてください。」
と言ってユウマの手を取った。ユウマは『女の子に手を握られる』という事が初めてだった為かなり動揺したが、悟られてはいけない、と動揺を隠した。
「なんか強引だな…ま、まあ案内は頼むよ。ラズリ」
話の進み具合遅くてすみません