剣の在処
涙を拭き、落ち着きを見せたログメルにユウマは問いかけた。
「契約したは良いけど…そんで?その天元の剣ってのはどこにあるんだ?」
「あっ、説明忘れてた。ちょっと待っててくれる?今から地図出すから」
そう言うとログメルはガサゴソと地図を探し始め、「あった!ほら見て」とユウマに紙面を向けた。
「あの…非常に言い難いんだが。ログメル。逆だ。これは裏面だ」
「あっ…ごめんなさい。ほら見て」
「可愛いから良いけど…あっ聞きたいことあるんだけど質問していい?」
「可愛いとかやめてよ…馬鹿。」
ログメルには『可愛い』という単語しか聞き取れていない様だった。なのでユウマはため息をつき、
「いや馬鹿って…あれ、聞こえてる?もしもしログメルさん?質問したい事があるんだけど」
「え?なに?何が聞きたいの?」
「ほら、俺が目覚めた時にさ、語りかけてきたじゃん。あれどうやんの?」
「ああ、あれはね。私の特権だよ?正しくは王の座に就く者の、だけど」
「ほーん、つまりあれはログメルぴょんにしか出来ないんだね」
「なんか呼び方すっごい変わってない? …まあ良いか。そう、だからユウマにも出来ないんだよ。凄いでしょ?」
「うん…あれすっごい便利だよな。風呂から上がった時タオル無かったら大声上げて『タオル持ってきてー!』って言わなくても1人にだけ通じれば持ってきて貰えるからな。まあ俺は全裸でブラブラさせながら取りに行くが」
「…想像力豊かみたいだしおまけに最後らへん凄いこと聞こえた気がするけど私はそんな事には使わないよ?というか初めて使ったんだけどね。なんだか疲れちゃった」
「そっか…体力いるのか。そういえば俺に語りかけてくれてたとき声が途切れ途切れだったもんな。…てかめっちゃ話逸れてる!天元の剣の場所教えてちょんまげ…」
「ちょんまげ?って…なに?」
「ん、ちょんまげ知らない?ほら、お殿様がしてる髪型だよ。」
「おとの…さま…ごめんね。分からない。あ、また話が逸れる前に…天元の剣の位置だけど、えーと、此処よ。『レミルスの池』の中心に飾ってあるの。うちの近衛兵長でも持つ事は出来てたからそこは貴方でも大丈夫だけど、問題はこの剣を使いこなせる人どころか振れる人が居ないことなの。だからあなたにはこの剣と心を通わせて使いこなせるようになって欲しいんだけど…」
「だけど?」
「かなりの特訓が必要。宮殿の門番をしてるリメークよりは最低限強くならなくちゃならない。」
「マジか、あんな怪物にはなりたくねえな。まあ手始めにあの足技でも教えてもらうか。」
「うん。剣の扱いには関係ないとは思うけれど、教えてもらって置いて損は無いと思うよ。そうだ。ユウマ。最後に聞きたいことが」
「どうぞ?」
「その…勇者の力は目覚めそう?」
「いや、分からねえ。そもそもどんな事が出来るのか、そしてどうやったら力を得れるのか…まあ努力はしてみるよ、それじゃあな。王女様?」
「そっか…うん、健闘を祈ってるよ。勇者様。」
話がひと段落ついたので、ログメルは手を振り、とても可愛らしい笑顔で優馬を見送った。
会話が多めだった気がする(いつも通り平常運転です)