表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みつばち  作者: 凛屡
8/8

第8話#トラウマ

あの月が見えなかった日から1週間。

蜜とメールをするようになった。


でもやっぱり彼女はみんなの人気者だから、送って、返事がきて、また送って、終わり。


芸能人の友達が出来て、少し有頂天になってんのかな。


なんか・・・


彼女の中にある闇が、いつか蜜を支配してしまいそうな気がする。


「なに考えてんだろ、あたし。考えすぎだよねっ!うん!そうだよ!」




バイトがない昼下がりの日曜。


熱いコーヒーを口に流し込みながらそんな事を考える。


「気分転換に買い物でも行こっ!もう冬物買っとかなきゃな。」


お気に入りの服に着替えていざ、出発!!!





休日の街はものすごく人が多い。どこを見ても人、人。人!

たぶん空から見たら、アリんこがぎっしりつまってるんだろな〜。。。


「あ〜イヤな想像しちゃった。やめよ!

最初は本屋にでも行こうかな。あのマンガの続き出てるかもっ。」



本屋とCD屋が合体している店内に入ると、聞いたことのある声がスピーカーから流れていた。

ワールドエンドのかなりうるさめの新曲。


蜜のしゃがれてつぶれた声がシャウトする。



「今頃何してんのかな〜・・・」

「アレ!?君、この前の??」

「えっ?」


ボーっと立ったままのあたしの横から明るい男の子の声がした。


「オレ!あ〜覚えてないよな〜。この前ワールドエンドのボーカルと豪センパイのうちに来た時にいたんだけど。」

「・・・・あっ!!!あのときの!」

「そうそう!思い出してくれた??」

「は、はい!」


確か蜜の好きな人の家にいた人だよね・・・ビックリした〜。


「まさかこんなとこで再会するとは思わなかったわ〜。なに?買い物?」

「はい・・・。」

「オレも!せっかくバイト休みだから遊ぶぞ〜!と思ってきたんだけど、友達にはドタキャンされるわ、人多すぎて酔うわマジ最悪!ちょっとここで非難中」

「は、はあ・・・」

「ねえ!ヒマ?一人?」

「はい、ひ、一人ですけど・・・」

「じゃあ暇つぶしに付き合ってよ!オレちょ〜ヒマ!いろいろ話してみたいしさっ」

「えっっっ!??」

「けって〜い★まずは腹ごしらえだな!ウン。どっか食べにいこ〜ぜ!」


なっ・・!!?なんなの〜??この展開っ!!



こ、こ、こ、困ります〜〜〜〜〜〜!!!!!!

てか・・・・イヤ〜〜〜〜〜!!




無理やり引っ張られてこられたトコは街から少し離れた静かなオープンカフェ。


彼はオーダーしたパスタランチを15分もかからないくらいの速さで完食して


最後にオレンジジュースをゴキュっと飲んだ。


「紅茶だけでいいの??強引に連れてきちゃったしオレ払うからなんか食べたら?」

「あ、だ・・大丈夫です!お、おかまいなく!」

「なんかカチンコチンじゃね?(笑)別に緊張とかしなくていいよ?

まあ、人気読者モデルのオレと一緒に飯食ってて緊張するのはわかるけど・・・

なんちゃって★(笑)」

「え!モ、モデルさんなんですか?ごめんなさい、し、知りませんでした。」

「どえっ!!?なんだよ〜超恥ずかしいじゃんオレ〜!!」

「ごっ!ごめんなさい!!」

「プっ。ウソだよ!気にしないで。オレももっとがんばんなきゃな〜。

天狗になってたわ!!」


なんかこの人の笑顔、癒されるなあ。


よく見るとイケメンだし★


あたし・・・もう大丈夫なのかな。


「オレ、和泉 真智。23歳。大学生兼、雑誌の読者モデルしてるんだ。」

「え・・・イズミマチさん??」

「うん!変わった名前でしょ。でもオレは気にいってるんだけどね。」

「変わってるけど・・・いい名前だと思います!」

「だろっ??ありがと!そっちは?」

「あたしは・・・佐藤 遥っていいます。20歳でフリーターです。」

「遥ちゃんか!よろしくね!ところで、あのワールドエンドのボーカルと友達なの??」

「あ・・・はい。・・い、いや知り合いです。」

「知り合い?」

「はい。彼女達のライブに行った事がキッカケで・・・」

「ふーん。でもこの前いきなり来た時はオレかなりびびったよ(笑)」

「あたしも!・・です。急に好きな人ん家に行くって蜜がいうから・・・」

「え・・・好きな人?」

「はい。あの家にいた方です。」

「・・・・マジで?」



カフェから出て、ざわついてる街を一巡りすると

あたし達は別れた。


彼、イズミくんは途中から真剣な顔をして黙りこんだかと思うと、

また満面の笑みを浮かべてたわいもない話で笑わせてくれた。


「あ〜やっぱまだ直ってないか・・」


家に帰りついて洗面台に向かって自分を見る。


首にじんましんの跡が残っている。



男性恐怖症。


小さい頃に隣に住んでた30前後の男の人に拉致されて以来、知らない男の人が怖い。


極度ではない。


友達の彼氏、人が大勢いるところなら平気。


でも二人っきりになると怖くなってじんましんが出てしまう。



でもイズミくんはなんか怖くなかった。


じんましんは出たけど、隣にいてイヤじゃなかったのに。


「直ったかもって思ったんだけどな〜。ダメか。」



ピピピ・・・



「メール・・誰だろ。蜜??」



(よ。今歌番組の待ち時間。腹減ったー。歌わせる前になんか食わせろよっつーの。

あのハゲデイレクター。)



「プっ・・こんな事メールするんだ。でもよかった。元気そう。」


(さっきね、この前蜜の好きな人の家行ったでしょ?その時にいた男の子とばったり会ったんだよ!!すごいビックリ★これから歌番がんばってね!)



(おー。テキトーだけどな。また気向いたらアンタん家行くかも〜。またオムライス食わせろよー。じゃあなー)




蜜。


ずっとあの頃のまんま変わらないで・・・


ずっとかっこいい蜜でいてね。





「好きな人って・・・だってあの二人・・・兄妹だろ・・」




今から本格的に寒い寒い冬が来る。


全身に突き刺さるような


あの痛い風が


今年も吹き荒れる。







時間があいてしまいました・・。

これからは闇期になります。それぞれの思いがどうなるか・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ