第4話#豪
「センパイ!豪センパイ!」
「ん〜?なに〜?」
「オレの話聞いてました?!」
「聞いてねかった!わりっ。何だっけ?」
雑誌モデルの仕事で早くスタジオについたオレは、休憩中の豪センパイを見つけた。
すかさずセンパイの元に駆け寄って例の話題をふった。
”お前んとこのモデルの先輩の妹、ワールドエンドのボーカルだって”
昨日からオールで遊んでたらしく、センパイはかなり眠たそうだ。
オレの話も上の空状態だ。
「だ〜か〜らっ!ほんとにセンパイの妹ってワールドエンドのあのボーカルなんすか?」
「うん。ほんと〜。あれ?俺言ってなかったっけ?
お前には言った気がしてたわ〜。」
「てゆーかそんな事言っていいの?」
「いんじゃね?別に。アイツも何にも言ってこねーし。」
「でも全然似てないっすね。」
「あ〜よく言われる!・・って当たり前か!血は繋がってねーから!がはは!」
「え!!?」
「ちっさい頃に俺の母親とアイツの父親が再婚したんだ。
まだ俺が小学生高学年くらいかな。そんころから一緒に住んでたから
もうホントの兄妹みたいなもんだけど。」
「へ〜!えっ、じゃあ今も一緒に暮らしてるんですか?」
「いや〜!さすがに今はみんな別々だべー。お袋達は一緒に住んでるけど
俺は高校入ってから家出て一人暮らししだしたし。アイツも確か俺が出た後すぐ
出てったみたい。連絡とかもとんねーから詳しくはわかんねーな。」
「センパイすげ〜〜〜!オレちょっと興奮してきた!
身近に芸能人の兄妹がいたなんてっっ!」
「ちっちゃい時は可愛かったんだぜ?アイツも。おにーちゃん、おにーちゃんって。
今はあんなおっかなくなってっけど(笑)」
「ふーん、そうなんだ〜」
オレ今ちょっとムっとしてたな。
顔に出てなきゃいーけど・・・。
「あっ!そうだ。真智!今日帰り俺んち寄れ!」
「え!?」
え!??なんで急に?
まさかオレの気持ちバレたとか??!
「お前に教えて欲しいことがあんだよ。」
暦上ではもう秋だ。
黒いペンキで隙間ができないように念入りに塗られたような空に
三日月が光に包まれながら揺れている。
時折ひんやり冷たい風が頬を刺激する。
それはなんとなくオレの心臓をつつく胸騒ぎと似ていた。
「お帰り、豪〜!!」
センパイが家のドアを開けるやいなや、女の甲高い声がオレ達を出迎えた。
「サクラ来てたの?」
「うん!あ、友達?」
「仕事仲間の後輩の真智。」
「真智くん?!知ってる!よく豪と一緒に雑誌出てる人だ〜。」
「あ、あのセンパイ、こちら・・・」
「あ〜彼女の、サクラ。お前より1個上。」
何かを期待していたオレはあっけなくその一言で崩れ落ちた。
「で!なんなんですか?オレに教えて欲しいことって。」
一気に力をなくしてセンパイにたずねる。
「これだよ。このゲームの攻略法!どうしても前に進めねんだよ!
お前、前にこれクリアしたって自慢してたじゃん。教えろよ!」
「・・・・」
なんだこの仕打ちは。
オレの馬鹿〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!
「ねえねえ!真智くんもごはんまだでしょ?カレー作ったから一緒に食べてかない?」
「え!いいんですか?やった!」
「真智、メシ食ったらさっさと帰れよ〜。サクラと久々に会ったんだから
イチャイチャしてーんだからよ!」
「ちょっと豪!何言ってんの?ばか!」
「はいはい、わかりましたよ。」
サクラさんか。
なんか今まで豪センパイと付き合ってた人達とは違うな・・
なんてゆーか、地味?
でも豪センパイもなんか雰囲気が違うな。
顔ゆるんでるし。
ずっとサクラさんの側にいるし。
・・・・きっとすごい好きなんだろーな。
オレ、またもや玉砕か。
あ〜・・・胸がいてえ。
ピンポーン・・
誰だよ、人がせっかくしんみりしてたのに。
「誰だ?」
センパイが席を立つ。
まだ玄関に辿り着いてないのに呼び鈴を鳴らした客はおもむろにドアを開けた。
「!?」
「センパイ〜?誰っすか?まさか浮気相手、登場〜?みたいなっ?」
オレが身を乗り出す。
そこにはとても意外な人物が立っていた。
「み、蜜・・・?」
「よ。」
初めてお前を見た時の胸の高鳴りは忘れもしねーよ。
お前はやっぱりテレビで見る時と一緒の顔をしてた。
至上最悪に愛想のない女。
真智と豪とサクラのシーンをもうちょっと書きたかったのです・・
あのほのぼのした雰囲気を!
でも仕事疲れのため、あきらめてしまいました・・
こんな私に愛の手をください・・(切実)
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