第2話#真智
「真智ー!おはよ!」
「花澄。はよ。」
「真智が朝からガッコきてるなんてめずらしーね。
今日は雑誌モデルの仕事休みなんだ?」
「うん。でも久しぶりに早く起きたらねみ〜・・・ふあ〜」
「おっきなアクビ(笑)」
今日はなんとなく大学に来てみた。
花澄とは取る授業がいつもかぶってていつのまにか仲良くなった。
彼女はオレが同性愛者とは知らない。
この事を知っているのはウチで飼っている猫のニャン太だけだ。
「てかお前!この前オレの素敵なダチの小川の事フッたらしーな!
可哀想な事すんなよ〜、も〜。アイツの落ちこみ様すごかったんだぞ。」
「だって〜、好きでもないのに付き合えないでしょ!
そんな事したら相手に失礼だよ!」
「・・・お前、意外と古風だな。今時さ〜両想いじゃなくても付き合うのがフツーなのに。
そっから恋に発展するもんじゃん?」
「とにかく!あたしには心に決めた人がいるのっ!
誰が何と言おうが今は誰とも付き合う気はなーいーの!!!」
花澄の事を詳しく説明すると、言わば学校のマドンナ的存在だ。
上品な顔立ち。
幼さが残る声。
髪は腰くらいの長さで淡い栗色にゆるめのパーマをかけている。
服装も男が好きそうなクラシカルなパステルカラーを基調とした服が多い。
彼女の事を狙っている男は数えきれないぐらいいる。
「その心にきめた人にはお前の気持ち伝えたの?」
「・・・まだ。片思いの乙女には自分を磨く準備期間が必要なの!
真智みたいなのにはわかんないよ!鈍感だから。」
「鈍感で悪かったな!」
お前なら大丈夫だって。
どこにこんな美人ふる奴がいんだよ・・・。
ここにいるけど。
花澄はいい女だよ。
だからオレはお前には幸せになってもらいたい。
「ワールドエンド、またなんかやったらしーぞ。」
友達の小川っちと食堂で昼ごはんを食ってると興奮した様子で雑誌を見せてきた。
言っておくが、友達は友達であって恋愛感情は全くない。
「小川っち、花澄に振られて元気ないかと思ったけど元気なんじゃん。」
「ったりめーだ!!一回振られたぐらいで俺はあきらめん!」
「すげーな。その根性。で?ワールドエンドが何だって?」
「これ!見てみろよ!今日発売のmonday!ライブ中に暴動が起きて中止だって。
前代身問じゃね?」
「あ〜オレこいつら苦手!特にボーカルの女が態度でかいのが気にくわん!」
「俺も!でも美人なとこがそそられる〜!」
「小川っち、花澄に言いつけるぞ。」
「そ!それだけは!!・・・てゆーかお前のモデルの先輩いんじゃん。
どの雑誌にも引っ張りダコの・・・えっとなんだっけ?」
「豪センパイ?」
「あ!そうそう!その先輩の妹らしーな。何かのスクープ誌で読んだんだけど。
お前知ってた?」
「え・・・豪センパイの妹って誰が?」
「だから!ワールドエンドのボーカル。」
あの時はまさかお前が豪センパイの妹とは思いもしなかったけど
オレ達を引き合わせてくれたセンパイに感謝したい。
夏もあと少しで終わろうとしていた。
第2話を最後まで読んでくれた方、どうもありがとうございます。
基本的に私としては花澄みたいなタイプ、好きです。
花澄のモデルはエビちゃんです・・・(汗)