学園の女の子
「相変わらずEDO君は運動系の術は得意なのね!」
「運動系の魔術はAクラス並みだってー!一つでもAクラス並みって凄いわよね!」
「でも総合点で評価されるから中々上に行けないのよね…」
「そうなのよ!厳しいわよね…」
あそこでバスケをやっている奴のファンなのか何なのかわからないが、少し離れた所で応援している女の子たち。
その子達の会話を盗み聞きしてみれば、驚く。
これでAクラス並み?評価が甘くないであろうか?
甘いと思う。確かに凄く上手いけれど、まだ動きが鈍いところもある。それにこれしきで一々術式を使っているとは…魔物と言うのはそういうものなのか?寧ろどうやって術式を使っているんですかと訪ねたい。
何にしろこれでAクラスとは思えない。Aクラスがどういう基準化はわからないが、とてもそうは見えない。
「先生、あれでAクラス並みなんですか?」
「あ?ああ、そうだな。凄いだろ!俺のお気に入りの奴でもあるんだぜ。ここまで出来るっているのは才能に恵まれてるよなあ…」
先生はあの試合を見てとても満足しているような笑みを浮かべていた。これが才能がどうとかそういう問題なのかも疑問だ。何にせよ、謎だらけだな、この学園。
「参加するんだろ?転校生にしちゃハードかもしれねえが…あそこで試合してみるか?」
「ええ、是非お願いします」
「おいお前ら!!」
試合をしている最中、先生は大声で叫び、中断させた。
空気を読めないと言って良いのだろうか。
代表的な二人がこちらに走って来た。
「何、よっしー」
随分と親しまれた呼び方だな。やっぱり生徒っぽいから距離が近いと他の生徒も感じいるのだろう。
「コイツを試合に入れてほしい」
生徒達は面を食らったかのように唖然とした。
確かに大勢の男子の中に女子が入ると言うのは驚くのは無理もないだろう。
「いやでも女子って…体育で女子なんて歴代でも一人も居ないんっすよ!?女子はお淑やかな印象を持ち、勉学や文芸に励むと聞かされていたんでそんな無理矢理…」
何だそのイメージは。しかもこれまでにこの学園では体育に女子は誰ひとり居ないだって?馬鹿な、他の女子はどうしたんだ!?
ふと、先ほどのシロナとリラや先生の言動を思い出した。そういえば、私が体育やるって言ったら動揺していた。それは、このせいか…と納得がいく。
多分彼女達も冗談で言ったつもりらしい。
しかしこの学園はどうなっている。
「先生、女子一人居ないって本当ですか?」
「ああ、俺もまさかなとは思ったんだが…引きとめたがお前がびくともしなかったもんでな。なんか女子が体育やっているところも見たかったし」
貴方引き止めたというか、もしかしてを連発してただけじゃないですか?見たかった気持ちの方が明らかに上回ってるじゃねーか。
にしても、ここの女子は本当に皆お淑やかなのか?お淑やかでも運動するだろ、普通。
「いや、女子は皆運動出来ないって訳じゃねぇんだけどよ。女子はすんげぇ人気なトコに行きたがるんだ」
人気な所?
「なんでもよ、SSクラスってあるだろ?見た事ねえけど、全員超美青年らしいんだよ。だからな、ファンクラブってーの作りやがって、女子は七割はそっちにいっちゃってんのよ。あとの一割はこういう所のファンクラブ。もう二割は他のクラブに行ってんだ」
なるほど、女子はイケメン好きと良く言うが…このことか…
つまりはSSクラスが人気すぎて女子がほとんどそのクラブの方に参加しているため、必然的にこの体育の時間は男のみの空間と化すわけだ。この体育は選択科目だから選ばなくてもいいってか。強制だったらいいのにな。
お淑やかな印象を間違えてはいないだろうか、男子諸君。ファンクラブの子たちがほぼ9割というならば肉食系女子が9割と言っても過言ではない。
恐るべし女子。
まあ、私もその女子には含まれてはいるのだが…。
「それなのにお前はそんなのには興味を持たず、この体育の授業に来るなんて不思議と思ってな」
「つまりはこの学園の女子達は面食いと言う事ですね」
「ま、そういうことだな」
ヘラリと普通に頷いた先生。なんだろう、慣れているのだろうか。そういう女子達があまりにも多すぎて慣れちゃってるんだろうか。
何にしても、とんでもない学園に来てしまったな…。