Dクラス
「まあ、そんなクラスなんて入れるわけないけどね」
最初から諦めていた私である。
そんなの不可能であるし、自分は成績が悪い方なのでそこまで目指していない。目標は高く持てと言うが無理なものは無理である。というかそれを発言したやつは誰だという話だ。
私はある程度環境が整い、過ごしやすいクラスに行ければ満足なのだ。どこかの誰かさんか知らないが、俺は学園の頂点に立つんだァァァみたいな熱血糞野郎とは一緒にしないで頂きたい。冷静に行こうではないか。目立つのもあまり好まないし、やはりのんびりと過ごす日常空間を創りあげれれば問題ないのだから。
何にしろ、最初はDクラス。
いくらボロかろうが私にとってそれは意味をなさない。住めればいいという適当な考えだったのだが…後々この考えは後悔することになる。
「おはようございます。これからお世話になります春夏秋冬と申しm「いやああん!!転校生だわああああああ!!!」……何事ですか」
本当に何事である。
何故か教室に入れば、私より数センチデカいとされる、女の子に勢い良くハグされていた。何事である。
「あの…」
「何やってるんですか、リラちゃん!転校生が困ってるじゃないですか!」
ボロい扉から顔を出したのは小柄な女の子。
どうやらハグしているこの女と知り合いのようで、引き離そうとする。
しかし、何だが初対面でいきなり抱きついて来るとは思わなかった。ここは外国方式なのか?挨拶はハグという設定なのか?
「ごめんなさい、リラちゃん面倒くさい人だからいつもこうなっちゃうんです。許してあげて下さい。ええと…春夏秋冬…さんでしたよね?」
面倒くさい言っちゃったよ、扱い酷いよ!もしかして天然ドSだったりするのだろうか。それはさておきと、鞄を肩から下ろし、ゆっくりとお辞儀をした。
「はい、これからお世話になります。春夏秋冬癒麗と申します。よしなに」
初対面で、これからお世話になるということなのでしっかりと挨拶をしたら
目の前の小柄な女の子に凄く困られた。…何故だ。
「わわわ、そんなに硬くならなくてもいいですよ!歳も近いことだし!普通にしていいですよ!」
「そうよっ!これからの一生の付き合いじゃん!今からそんなんでどうするの?!」
え?一生?なんで一生…?
「一生なんて此処には居ないつもりですが・・」
「え、あれ?知らない?この学園に来た時点で貴方は地球に戻れないわよ?」
えええええええええええ!?
驚きすぎて転びそうになった。
待て待て待て、この星に来てしまった以上、地球には戻れないだって…?
そんなの知らないよ!聞いてないよ!
どうやら地球から来た人間はもう帰れないらしい。きっとこの星の情報が漏れないよう、対策をしているのだろうけど。
「ここから出れないの?」
「レイナーズの中では自由だけど、他の星に行くことが出来ないのよ。うん、情報が漏洩しないようにだろうけどね」
とんでも無い事を聞いてしまったような気がする。しかし星を出たことなんて地球では一度もないので、もし火星に移住出来ようが絶対しないだろうとは思っていたので大して大事ではなさそうだが…。
「まぁ、頑張ってやってくのね!もしかしたら出る方法があるかもしれないしさ」
「分かった。…努力するわ」
頭を抑えつつも答えた。
リアル脱出ゲームかこれは。
簡潔的な説明で納得はいかなかったが、第二の人生としてはいい場所だとは思った。無表情で頷くと、リラはキラキラと目を輝かせた。
「アネキっぽいねえー!」
「じゃあアネキと呼ばせて頂きます!」
私の第一印象は「アネキ」らしい。普通に一言喋っただけで男前と言われた。自分が女性と意識するとなんだか少しだけ悲しいような気もする。
「あっ、自己紹介遅れました!私はシロナ=ヴィーナスミルフィーゼって言います!」
「私はリラ=メルヘンズビスタって言うんだ!よろしくね!」
外国の方々だった。
ならば何故私達はこうして話せるのだろう…………あまり深く考えないようにしよう。
「よろしく」
こっちではなるべく女の子として振る舞いたい。