特訓Ⅱ
その一方、リラはと言うと…
「いっくよー!超魔術ー!」
魔術と言うのは幻聴か分からないがその魔法は先程帝斗が放った術を遥かに超えていて、魔法威力メーターは中級の黄ラインを突破した。
『え、うそ』
皆台詞が被ったのは言うまでもない。
何故ならば、意図も簡単に魔術を使ってしまってからで、今から特訓をしようとした矢先にこの衝撃は流石にないのではないか。
「えぇ?!お前、魔術使えたの!?」
「適当にやったら出来た…え、なんでー!」
「こっちが聞きたいわ!」
あんなに不器用そうなリラが魔術を使った。俄かに夢を見ているようだ。リラは飛び跳ねて喜びを全開にしていた。ありえない。
「なんか、ぐぅーと力を抜いて一気にバァーって入れたら出来たんだけどぉ!」
「うん、分からないな」
「全くだ」
効果音で説明されても困ると言う話である。感覚でやっただけなのだろうが、表現が単純すぎてわからない。
彼女の力は無意識で働いているというのだろうかと首を傾げた。
「じゃあ私は貴方に教える事は無くなったと言う事ねー残念だわ」
残念と言う割には顔が明らかに笑顔だが、まあ、嬉しいと言う事もあるのだろうか。だが嘘を吐くのが苦手らしい。顔のまんまに出ている。
「えー!なんで、先生ーもっと教えてよぉ!」
無理を言うリラにマルデ先生は苦笑いして答えた。
「私は、中級まで面倒みる事になってるの。次の課題はSAクラスに居るミリアスって言う子に教わらなきゃいけないのよ」
「生徒が生徒を教える?!そんなのアリなのか?!」
信じられないが、マルデ先生は初級から中級まで担当をしていると言う。
上級編は先生がやっていると思いきや生徒が上級の魔法を担当しているときたものだから全く予想がつかなかった。A~SAランク担当は現在もSAクラスに居るというミリアスという青年らしい。
なんでも、魔術の一部を作り上げた天才だとか。魔法の事に関してはもしかしたらセイナより上かもしれない。
「しかもSA!?そんな奴に頼めんのかよ。俺らDクラスがよ」
やれやれと言わんばかりに首を左右に振る帝斗。
他のメンバーもうんうんと頷くばかりであった。確かに最低クラスのDクラスがSAクラスに教えてもらうのは不自然で無理な事かもしれない。
「だったらセイナさんに聞くしかないじゃない?」
ふと思い出して軽々しく呟くと一同は私を見て、その手があったかと歓声を上げた。
やっぱりDクラスはDクラスである。
マルデ先生は用事が出来たとの事で、私達はお礼を言い別れた。そしてエドが教室に行って、セイナさんを呼んできてくれた。
「あら、またなの?」
「魔術とその応用を教えてほしいんだが…」
「ええ、いいわよ。私は魔龍術の中級までしか教えられないけど…いいかしら?」
「構わない」
というよりも、そこまでは流石に一筋縄ではいかないだろう。偶然なのかわからないがリラは出来たものの、他の子たちが魔術を使えるようになるとは限らない。さすがはセイナさんだ。魔法の中では一番扱うのが困難とされる魔龍術を中級レベルまでマスターしているのだから。
感心していると、セイナはスティックを使わず手をまっすぐ伸ばした。
「スティックを使ってもいいけど、この方が威力が強いわ。物体に力を注ぎ込んで放つより己の体から発した方が効率がいいでしょう?まぁ、慣れるのに大変だけれど…」
セイナは自分の手を見て苦笑いする。
「さっそくで悪いが…俺らにまず、魔術を、魔気を教えてほしい。特にシロナとエド、癒麗には重点的に頼む。俺らは魔気は使えるから魔術だ」
帝斗がそう言うと、セイナは此方に向けて、よろしくと一礼してきたので私たちも一礼。
(魔法ね…なんか初めてだなぁ・・)
人間であるから当たり前なのだが…でも一度だけ使えた時がある。
10年前、私が6歳くらいだろうか…
普通に、地球に居た時の話であるが、その時は毎日が平和で無知な私は小学生になろうとしていた時だった。
しかし、突然だ。本当に急な惨事…突然両親を襲った悲劇。いや、両親だけじゃない、日本全体で危機が起きた時だ。
一年前に予想されていた日本隕石落下。それが本当に起こってしまうとは予想もしていなかったんだ。ただの噂で、処置も施されて、何時落ちてきても軌道が変わるから大丈夫だと思ってた。
皆だってそうだ。
まさか、この日本に隕石が落ちようなんて思っちゃいない。
でもそれは起きた。
ただの噂でしかない隕石落下が現実となって私達の目の前に降り注いだのだ。




