特訓
確かにAクラスがマスターする魔術というのは複雑であり、Dクラスの私達に取って完璧に覚えるというのは不可能に近いだろう。しかし、可能性は0ではないのだ。何に対しても、0という事はない。SSクラスに辿り着くのだって夢のまた夢ではあるけれど、可能性は0ではないのだ。
「無理だと思うけど…やってみる価値はあるんじゃない?」
「僕もそう思うよ。出来たら天才だけどさぁ…出来ないとは言えないからねぇーー」
「まあ、そうだな」
結局やることになりました。
「せんせーよろしくお願いしますー!」
早速特訓をしようと、お忙しのところのマルデ先生を顧問に練習をするようだ。数十分するとマルデ先生は来てくれた。Dクラスなんかのためにわざわざ駆けつけてくれるなんて、なんて良い先生なんだろうと感動したのは言うまでもない。
そして何も考えないでお忙しのマルデ先生を何も考えずお呼び出しする帝斗達はさすが肝が備わっているな。大切なことなので二度言いました。
嫌々引き受けてくれたのかと思いきや…何でも、彼女は大歓迎らしい。マルデ先生は満面の笑みだ。
「ええ、いいわ。貴方達勉強熱心ね。いえいえ魔法熱心って言うべきかしら?まあ、いいのだけれど…何を教えてもらいたいの?」
やはり満面の笑みだ。最近の生徒は熱心ではないのだろうか。
「出来れば魔気から魔術まで教えてください、先生」
そう帝斗が言うとマルデ先生は驚いた顔をして、本気?といつの間にか我らのリーダーになった月島帝斗は頷く。
マルデ先生は溜息を吐いて、スティックを取りだした。
「いいわ、出来るだけやってみましょう。貴方達Dクラスが魔術まで行けたらそれは相当才能があるものだけど…無理とは言えないものね。分かりました。では、初級編ではスティックが必要になります。はい、皆これを使って」
マルデ先生は私達一人一人に魔法用スティックを持たせると腕を振り上げた。
「基本的な魔法は黒白氷炎水氷風雷闇光癒草心呪龍超魔で構成される17種の中の魔が基本的な魔気ね。で、貴方達はどう?魔気は発生させられる?」
「うぅぅ、私は無理です」
「俺も無理無理ー」
「私もやったことがありません」
無理発言したのはシロナとエド。そして私。
魔気を発生させられる者はこんなに居たのかと残っている皆を見て意外だと目を丸くした。
「あら、Dクラス意外と優秀。じゃあ見せて貰いましょうかね」
そうマルデ先生は言うと帝斗が一歩足を踏み出して、やると宣言した。我らのリーダーの腕前はどのくらいなのか、見てみたい気もする。
「黒魔気!」
「黒魔気」と呼ばれた魔法はまっすぐと練習用の壁へと当たって消えた。黒い、全てを飲み込みそうなその術は誰もが息を飲んだと思った。
マルデ先生は微笑みながら拍手をしていた。
「Great!素晴らしいわ。魔気をマスターしているのね。それに神の次に難しいとされる黒魔法を使えるなんて凄いわ!なんで貴方Bクラスに行かなかったの?」
その素晴らしい能力を持っていながら何故Bクラスに行かないか、そんなの決まっている。
「いや、事情がありまして」
SSクラスの調査に決まってるだろう。何を我慢してDクラスに滞在する必要がある。という事は心の奥底にしまっている。
帝斗の顔にも上行きてーといった戸惑いの表情が確認出来る。おい、自称リーダー様よ。
その後、ジョレンは普通に帝斗と同じ魔気が使え、プリッツェナも同様。
帝斗は黒魔法専門に扱うが、ジェレンは炎魔法、プリッツェナは風魔法だった。やはり圧倒的なのが、黒魔法。何せ自分の命を削って繰り出す魔法なのだから強いのは当たり前だろう。しかし、命を削るというのは些かやりたくない行為だ。黒魔法が大きければ大きいほど命は大きく削られるという。なので、上級者のだいたいは命を削られない身代わりのアイテムを使うといった自分に支障のない工夫をしているらしい。運悪ければ、命を落とす人も居るとかで、ちょっと自分が試すにはリスクが高い。




