変態と書いてプリッツェナと読む
(あ、やべ…やっちまった)
女らしくしようと誓ったのに、軽く破ってしまった。
背負い投げを決めた私を唖然と見る皆。
皆さんごめんなさい。私の本性は見ての通りです。
「む…胸が…柔らっぶほぉ!!…ガク」
「うおっ、プリッツェナを失神させた!!」
余計な事を言いそうだったので蹴りを決めました。スパッツと腹巻きの組み合わせは冬にはとても暖かいというのにコイツ鉄壁防御とか言いやがって。いや、言いかけた…が正しいけど。
「癒麗ちゃんって…何者?」
ここまで言われてしまったら言うしかない。この変態のせいでバレてしまった。いや、元は私の短気さがこういう結果を招いたことは仕方がないことなのだが。
はぁ…と頭を抱えつつ大きくため息を吐いた後、皆と視線を合わせる。
「私は前では極道の若頭してたの。母親が組長で私が若頭。…どうも短気で癖がよく出ちゃうんだけど…」
「若頭ぁ!?す、すげぇ…」
感心したように感嘆する皆に私はポカンとなった。やっぱり、前の学校と違ってここの星の子たちは好奇心旺盛なのかな?私が若頭と知れば、恐れて逃げていくっていうのに。春夏秋冬組は結構有名な組だったし、無理もなかったとは思うけどね。
「わ、若頭という事はいつかは組長になる予定だったんですか?」
興味津々と言えばいいのか、シロナは身を乗り出して聞いてきた。
「まあ、一応」
「すごいです!」
その目はキラキラと輝いていた。こっちの方が凄いって言いたいよ。そんなにキラキラとした目で食いついてくるなんて。
とりあえず、と向き直ると私は偽りなく、ニッと笑ってみせる。
「改めて、春夏秋冬癒麗よ。運動は得意っちゃ得意ね。よろしくね」
『あ、姉貴!!』
やはり姉貴は変わらないそうです。
なんだろう、そういう雰囲気出てるのか何なのか知らないけどだいたい第一印象が姉貴なんだよね。
説明は終えてDクラスに戻ることになった。
「とりあえず明日は試験だが…お前ら完璧だよな?」
「わ、私は無理ぃ~」
「わ、私もです」
リラは全身でふるふると揺らし否定しまくっているに対し、シロナは申し訳なさそうに俯きながら言った。
シロナはいいとして、リラなんて開き直っている。このままじゃあれはダメだ。
帝斗は溜息を付きながら頬杖を付いてニヤリと怪しい笑みを浮かべながら二人に言い放った。
「安心しろ、お前らには全く期待してない。だから偵察を任せたんだろ?C~SAクラスは偵察できるからな」
トドメのようにハッと鼻で笑っていた。随分と容赦がない…と言いたいところだが、私だったとしても多分こうしていた。
「ひどーい!!そこまで言う―!?」
「でもリラちゃん。私達が努力してないんだから反論なんて出来ないよ」
帝斗の鼻で笑ったのに癇に障ったのか、リラは大きい音を立てて立ち上がり帝斗に矛先を向けるが、シロナはそれを静めようとする。
「シロナが正論だ。そんな事言われて悔しいんだったら頑張ればいいはずだろ?」
そう言う帝斗にリラは何か言いたげそうにしながら静かに床に座った。正論すぎて何も言えなかったんだな。
「おい、ジョレン。やる気無くてまた0点ってことはないよな?」
「んー、まあ…多分なぁ…」
床に寝そべるジョレンに見下ろしながらそう問いかけるとやる気なさげな声が帰ってくる。
「………満点取ったらなんかやるよ」
そう帝斗が言えば、ジョレンは目を光らせてようやく帝斗に視線を向ける。
「んー?マジ?じゃあ風船ガム買ってくれたらやる」
「いいぜ」
―え、餌づけされとるー!!
風船ガムでいいのか、風船ガムで。めちゃくちゃ安い交換条件だな。
「それとエド。お前は徹底的にやることだ。そこの変態にでも教えてもらえ」
「はぁー?やだー勉強なんて嫌だー」
エドは教科書を投げ出してじたばたと床でゴロゴロしていた。
(子供かコイツは)
そういう目線を送る私に皆もやれやれと呆れていた。視界にプリッツェナが写った。浅葱色の透き通った髪に黄金の瞳をしたなかなかの美形だというのに、鼻からは鼻血を大量に流しており、ティッシュを鼻に突っ込んで止めている。非常に残念なイケメンだ。
変態復活していた。
もうあだ名が「変態」に確定しており、且つ印象が変態なので何も改変することもないだろう。




