1話
なるべく早く投稿出来るようにしたいですが、ですが。…すんません、色々迷いまくってなかなか出来ないかもしれません。
それはおよそ100年前。
その身一つで万の敵を討った少女。
少女が欲したものは、
揺るぎない地位か。
何者にも脅かされない力か、富か、権力か。
その答えを知るものは、今はもう少ない。
一度軋んでしまったものはけして戻らない。
世界が軋んで、歪んで、元に戻らない。
♦♦♦
鼻につくのは、俺たちの体から発せられる汗と血と死臭と。奴らの体から発せられる独特の―――腐敗臭。
「零瑠!上だ!」
視界を奪う土煙に、目も眩む様々な色の閃光。
肌を焼く熱に、肉を立つ刃。
ここは―――戦場。
「サイがやられた!…っ撤退だ!撤退しろ!」
いつからか分からないほど前から戦い続ける日々。
今は一体いつなんだろう。
一体いつからここに居るんだろうか。
今日は果たしていつなのだろうか。
昨日なのだろうか、明日なのだろうか。
俺は一体いつから―――
「て、撤退…、逃げろ!!」
♦♦♦
青暦30xx年。
ここは鬼たちが住まう世界、地界。
紫色の空に灰色の大地の広がる世界。
鬼たちは三つの種族から成り、それぞれが異なる能力を持ち、それを生涯の使命として生きる。
法と結界を司る明族
癒しと植物創造を司る蘭族
そして戦闘種族、秦族
背負う使命、能力、価値観、食文化、住む地域、寿命さえ異なる彼らは基本的に他種族との交流を好まずに生きる。
他種族に対する仲間意識というものは基本的に持っておらず、在るのは互いに対するさめざめとした感情。
しかし、そんな彼らを結びつけるのは、完全に統一された言語に、異なるからこそけして代用の効かない種族特有の能力。
不毛の大地に唯一生命を宿す力を持つ蘭族。彼らが居なければ、衣服•住は勿論の事、口にする為の植物さえもけして、育たない。
さらに”治癒”の力。能力の差は大小あるとしても、蘭族はその意思の力で、外傷から病までを癒す。
法を司り刑の執行人でもある明族は社会の上層に立ち、彼らが世界のルールを決め、遂行する。
また彼らは強力な結界術を持ち、地界は巨大で一つの結界に覆われ、平穏を保つ。
秦族、彼らは総じて早熟であり、正式な成人は12歳とされているが、10を満たない子供であっても高い身体能力―――相手を殺傷し得る力を持つ。多くの者が戦場で生きる道を選び、それを誇りとして生きている。
異なる能力に、決められた使命。それが揺るぎない鬼の世界、…だった。
「もういやだ!誰か、……誰か!!」