転生したので今度は自分で見つけたい
少しの間体調不良で書けなかったので、復帰前に書いてみました。未だに文章苦手ですが良かったら読んでください
私は島 優人。幸せな人生がもうすぐ終わるみたいだ。
大きな病気やけがもなく最期は妻や子供、孫に看取られて幸せだと自信を持って言える。
でも、ひとつだけ気になっていることが有る。それは私は良かったが妻が幸せだったのかどうか……
長女が小学生ぐらいになった時だったか……
「ねえママとパパはどうして結婚したの?」
と聞かれた時に一瞬答えに悩んだ。出会いは親の紹介でお見合いだったのだが、
それ自体が悪くもなく……というか私の人生の大半が親の言う事に従っていただけなのだと。
子供の時から親に言われた通りに勉強し勧められた学校に通い卒業。就職先もそうだ。
だが私は運が良かったのかその勧められた道が、私にとって最良であったと思う。
でも妻はどうだったのだろうか?別に見合いの時に断れない事情があるとかは無かったので
彼女の意思で結婚相手として選んでもらえた……と思いたい。
でも私は不器用で、お礼の言葉である”ありがとう”等は積極的に言ったが、その、恥ずかしくて気持ちとかを素直に伝えた事も無い。
こんな爺さんが恥ずかしそうに気持ちを伝えるのに需要は有るか知らないが
もう少し素直に気持ちを伝えていても良かったかもしれないな・・・・・・
何か深い落とし穴に落ちていく感覚がする。多分これが死か……もう少しだけ耐えれるかな?
「・・・ありがとう私と共に長い時間を共に生きてくれて。君が居てくれたから僕は幸せだったよ」
最後まで言えた自信はないが少しでも伝わっていたらいいな。
ってあれ?私もう死んでない?なぜ今考える事が出来る?
そう思っていたら、突然目の前が明るくなり何か人の様な物が現れた。
なんか子供の漫画を借りて読んだ時にこういう場面が有ったような……
とりあえず声を掛けてみた
「あの神様ですか?……ってそんな訳ないですよね」
「まあ似たようなものだ。偶然君達を見ていて異世界に向かうのに都合が良さそうなので声を掛けた」
「あの漫画や小説とかで良くある異世界転生ですか?私みたいな良くも悪くも特徴のない人間に?」
「別に魔王を倒せとかではなく、君は親に言われた以外の人生に興味は無いか?」
「正直ありますが、幸せになれる自信が有りません。このままいい思い出と共に終われるのが最良かと」
「……では異世界に行けば君の妻である・・・が少しでも幸せになれるかもしれないと言ったら?」
「戦争しろとかではないのですよね?あと本でよく見るのですが魔法とかは使えますか……」
「興味があったか。よかった。協力してくれるのなら、魔法を使えるようにしよう。他には有るか?」
「本当に妻が少しでも幸せになれるならそれ以上は求めません」
「では異世界に向かうが、そこで君の新たな出会いの邪魔になってはいけないので現在の君の妻の記憶は過去に遡り消去する。再び生まれ、そうだな5歳の誕生日に前世の記憶を思い出すようにしておく。できたら楽しい人生を送ってくれ。協力してくれてありがとう」
この後本当に深い落とし穴に落ちて行く感覚がして、私の前世が終わった。
僕はユート今日5歳になった……のだが、日付が今日に変わった瞬間に過去の記憶が脳の中に溢れてきて激しい頭痛も有り……凄く気持ち悪いです。
結局この後は眠れなかった。
今日は睡眠時間も短く眠かったが5歳になって生まれて初めての誕生日を祝ってもらえるとの事だったので気合で起きていた。五歳までお祝いが無いと言うのはそこまで生きられない子供が多いかららしい。
まあ暗い話をしても余計に疲れるだけなので、今日は豪華な食事でも食べられるのかな?とか考えていると両親に呼ばれた。
両親の所に向かうと、二人は笑顔で僕を抱きしめ「誕生日おめでとう。元気に育ってくれて嬉しい」と言ってくれたが、その後父だけ真面目な顔になり
「こんなことを小さいお前に言っても分からないかと思うが、貧乏騎士爵である私には三男であるユートにそんなにお金を使う事が出来ない。次の10歳の誕生日も出来るだけ頑張るが……」
自分の前世の年齢の半分より若そうな父親にそんな事を言われると辛いな……
「祝ってもらえるだけで嬉しいですよ。無理はしないで下さい。それよりもお二人が元気でいてくれる方が大事なので」
言ってから気付いた。昨日までパパ、ママって呼んで敬語も使ってなかった事に。
両親も驚いた顔をしている……どうしようか
「お父……パパ、出来たら僕は勉強がしたいです」
「勉強をか?いいぞパパとママが教えるよ。そうか……勉強したいから難しい言葉使ったのかな?凄いぞパパ驚いたよ。今日はパパがユートにプレゼンを貰った気分だな」と言って父は笑った。
その後近隣の仲の良い男爵家もお祝いに来てくれたのだが、男爵の連れてきた子を見た瞬間僕の心臓が忙しく動き出し顔が熱くなってきた……何だこれ?僕はどうしたのだろう??目が離せない……何かの病気……で無いと思う。これが恋なのか?一目惚れってやつか?分からない。
自分で自分の事が分からないが、周りの人には気付かれたみたいで男爵は此方を楽しそうに見ながらその子の紹介してくれた。
「ユートだったか?誕生日おめでとう。うちの娘のエナガだ……凄く気に入って貰えたみたいだな、君が男爵家以上の長男なら婚約出来たのに残念だ」
「は、初めまして。ユートです。あの……婚約とまでは言いませんので出来たらエナガ様とお話をする許可を頂けませんか?」
「会話する程度なら許可など要らんよ。何だ一目惚れでもしたのかと思ったが違ったか……残念」
「そこは普通なら、お前なんかに娘はやれんって言うのでは?」
「お前本当にまだ5歳か?いやまあそうなんだがな。娘を気に入って貰えると嬉しいではないか。でも結婚は駄目だぞ……そうだ20歳までに男爵に成れるなら結婚も認めてやるぞ。いや、なんか君は面白い。騎士爵でいい20歳までに成れたら結婚を認めるぞ」
「ではお互いが気に入って私が騎士爵以上になれたら結婚できるのですね」
「君は娘の気持ちも考えてくれるのだな?」
「長い時間を共に過ごす事になるのですから当然の事かと」
男爵は僕の両親に向かって言った
「どういう教育したら5歳でここまで言えるんだ?良かったら養子に欲しいぞ本気で」
両親は苦笑いしていたので僕が答えた
「僕たちの気持ちも有りますし、出来たら僕は自分の欲しいものは自分の力で手に入れたいです」
それから5年が経過し10歳の誕生日を迎えた。
この世界は良くあるゲームや小説のような中世ヨーロッパ風では有るのだが、昔この世界が滅びそうな時に異世界から勇者が現れ世界を救ったそうだ。その勇者が多分日本人だったみたいで和風な名前の人も多い。うちの名字も”リク”騎士爵家でエナガ様は”ソラ”男爵家だ。何か少しだけ勇者の血縁らしい。それとこの世界の魔法なんだが……残念な事に勇者以外は魔法は使えないみたいだ。
何故あの時魔法が欲しいと思ったのかは分からないが、転生時に魔法は使えるようにしておくと言われた……もし魔法を使えたら僕が勇者となってしまう。
そんな事は希望してないし誰にも教わる事も出来ないので無い物と思っている。
エナガ様とは仲良くしている。会える日は少ないのだが会うたびに惹かれている。
多分ここまで好きに成れる人は他に居ないと思う。
なんていうのか一緒に居るだけで心が満たされる?安心できる?……言葉にするのが難しい。
でも一緒に居る為には貴族に成るしかないが貴族って簡単に成れるものでもない。と悩んでいたらエナガ様は16歳から王都にある王立高等学校に通う予定だと聞いたので僕もできたらそこを目指したい。
王立高等学校は別名高校と呼ばれ家庭教師が居る貴族や裕福な家でも入学が難しくほぼ平民な僕みたいな人が入学できたら奇跡だと言われるほどの学校だ。でももし卒業出来たら将来は安泰だといわれる。
もしかしたら下級貴族になら成れるかもしれない。
確実ではなくても確率が上がるならそのための努力は惜しまない。そこから受験のための勉強と何か有った時用に運動と……後で考えるとよくあれだけ努力で来たなと思うほど頑張った。
その結果奇跡は起きた。
更に五年後の15歳の誕生日
「エナガ様合格おめでとうございます。ユートは合格と誕生日おめでとう!」
エナガは笑顔で答えた
「ありがとうございます。正直に言うと私と違い家庭教師も居ないユートは無理だと思っていました」
「僕も正直自信はなかったよ。でも出来たら一緒の学校に行きたかったし」
男爵は此方を見ながら言った
「正直ここまでできるとは思わなかった。無事卒業出来て働くところが無かったら私の所で働かないか?そうなったら娘との事も考えてやるぞ」
「ありがとうございます。とりあえずは無事卒業を目指します!」
そして高校に無事に入学できたが……入学式が終わりクラス分けしたのだが、成績順で分けられ、僕はこの国の第一王子であるローレル様と同じ1組だった。エナガ様は2組で僕を見て恥ずかしそうにしていた……かわいい……。で、その無言で見つめ合ってる所をローレル様に見られていた。
教室に入ると直ぐにローレル様から
「先程隣の組の男爵令嬢と仲が良さそうだったが……君貴族だったか?」
「ロ、ローレル第一王子、初めまして。私は騎士爵家の三男のユートと申します」
「騎士爵で三男だと卒業したら平民か……家は裕福か?」
「残念ながらどちらかと言うと貧乏です」
「家庭教師は何人雇っていたのだ?」
「そんな余裕も有りませんので。独学です」
「独学で1組か……最後に教えて欲しい。先程の男爵令嬢が好きなのか?」
「……はい。好きです。身分差は有りますが」
「そうか。本の中の物語みたいで良いな!身分差のある恋か……ある意味私にはできない。そうだ!今日から私の雑用係をしてくれ……ではなく命令だ。今日からお前は私の雑用係だ。分かったな」
「出来たらお金が無いので授業時間以外は働きたいのですが……」
「俺を誰だと……雑用係として雇うのだから給金は出す。王家がケチだと言われるのは嫌だからな」
「ありがとうございます!」
「お前……雑用係と言われて喜ぶのか?」
「王子の雑用なのですから光栄ですよ」
この後何故か王子の近くに居る護衛達の見る目が優しくなった。
この日から毎日難しい授業、終わったら王子の雑用として最初は王子と一緒に勉強、雑談。
ある日飲み物を入れようとしたら王子が触れるものには触るなと言われた。疑われるのも嫌なので飲食する物には近付かないようにした。でもこんなので給料もらっていいのかな?
1年もすると学校内での僕は平民ではなく王子の雑用係として認識されていたのでいじめとか差別はなかった。二年目のクラス分けも無事に1組。二年連続で下級貴族以下が1組なのは快挙らしい。
でも王子の雑用係だからか誰も文句は言って来ない。今年もエナガ様は2組だった……。
「今年も同じクラスだな!今年も雑用頼むぞ……少し増えるけど」
「増えるのですか?」
「心配するな。給金は増やすから」
「そうではなく……今まで貰い過ぎていたのでこれ以上は……」
「王家がケチだと思われたらお前の責任になるぞ。受け取っておけ。身分差の恋するなら金も必要になるかもだろ」
「一生……ではなく、ありがとうございます」
一生ついて行きますと言いかけた……。見た目だけでなく性格も良いとか……
今年から雑用に書類の整理が追加された。一応見た物を外部で話さないという契約をして給料が増えた。
今年から実家に仕送りが出来そう……。
そして処理する書類の種類も少しずつ増えた頃、3年生となった。
今年無事に終わらせれば成人して卒業……あと少し頑張ろう!
今年は王子と共にエナガ様も1組だった。初のエナガ様との同じクラス……でも雑用あるから話せる時間は短かった……。
何故か王子はエナガ様に興味あるみたいで僕に色々聞いて来た。
ある日王子がエナガ様に話しかけているのを見てしまった。
周りの人たちも何を話しているのか気になって妙に室内が静かだった。
「あの騎士爵家の三男が君の事気に入ってるみたいだが、正直君は彼の事どう思っているんだ?」
「ユートの事ですよね?彼の気持ちは昔から聞いてます……が私は男爵家の人間ですので家の為の相手と結婚します……でもその相手が彼なら……その嬉しいです」
「片思いではなかったのだな!そうか!良いものを見せてくれてありがとう。俺から君たちに卒業後プレゼントが有る。その分今は雑用してもらってるが卒業後まで待ってくれ。婚約の予定とかはまだ大丈夫か?」
「父がユートを気に入っているので20歳までは待ってくれるそうです」
「なんか思ってたよりあいつ凄いな」
エナガは無言で顔を赤くしていた。
3年生になり卒業前に視察という名の旅行があった。今年は王子も参加するので比較的仲の良い隣国との国境付近に決まった。
移動に4日、国境付近に基地が有りそこで1泊するだけの安全な旅行のはずだった。
しかしどこからか王子が居るとの情報が漏れたらしく基地に1泊する日を狙われた。
此方の基地には王子の護衛含めて100人の兵しか居ないが多分敵は1000人以上で包囲している
基地と言ってもお城のようなものでは無くどちらかと言うと兵舎と柵しかない。
何時間耐えられるだろうか?王子だけでも馬で逃がすか……と護衛達が話してる時僕は王子に近付き言った
「ローレル王子……私を信じて敵を倒すように命令してくれませんか?」
「何か方法が有るのか?」
「自信は有りませんが……このまま王子もエナガ様も失いたくありませんので」
「お前にはまだ働いてもらう予定だ。生きて帰って来れると約束できるか?」
「できます……ん」
「出来るのか?出来るんだよな?敵を倒して無事に帰って来れたらお前は多数の貴族を救った事になる。男爵以上に成れるぞ!」
「け、結婚する前に死ぬ気は有りません」
そう言ったらエナガ様が
「戻ってきて貴族になれたら私と結婚してください。貴方が死んだら私も死にます。だから私の為にも生きて帰ってきてください。……私の気持ちを……責任取って下さい!」
途中が聞こえなかったがエナガ様には生きて欲しい。
「分かりました!生きて帰ってきます」
といったら王子が
「俺の命令より優先か……」
と少し笑顔になった。
王子からの命令も有り外に出られた。遠くから敵が近付いてくるのが見えた。思ったより近い。
確か前世で魔法は妄想?違うか想像力?だとか言ったなまあ魔法のない世界の人間が正しい事言ってるか知らないが。
でもやるしかない。人を傷つけるの嫌なのだが狙われてる以上全員無事なんて無理だろう。
とりあえず空から何か落とせば驚かないかなと思い巨大な岩を敵との間に落とした。
「敵との間に岩を落として!」と言ったら本当に出来た。
加減なんか分からないから見える範囲の敵の居る方向に落とした。
反応が何も無いため数人の兵士が偵察に行くと敵は武器や怪我した人を残して逃げ出したみたいだった。
……勝った?!
もう正直に言うと立って居るのも辛い位の疲労を感じていたが報告をする為王子を探した。
王子も僕を探していてくれたみたいですぐに会えた。
「王子……敵は撤退しました。私も無事です」
「ユート様、貴方は勇者だったのですね?」
「様っ?!」
「勇者と言ったら王家と同格になります」
「私は只の王子の雑用ですよ。敬語はやめて下さい。偶然好きな人たちを守るのに魔法が発動しただけです」
「勇者になるのは嫌なのです……なのか?」
「偶然奇跡が起こっただけと言う事にはできませんか?」
「正直難しい。皆見てた」
「……勇者になったらエナガ様と結婚できますか?」
「出来るというか早くしないと俺の妹たちからも求婚されるぞ」
「えっと……どういうことですか?」
「勇者って基本王家と同等の扱いになるのだが知らないのか?」
何か思っていた以上に大事になってる……
「出来たら俺の妹と結婚してほしいな。ユートの近くに居たら楽しそうだし」
「雇ってもらえるなら飽きるまで近くで働きますよ」
「そうか。出来る限り協力する。それより男爵令嬢が早く話したいみたいだぞ」
「ありがとうございます」
僕は近くで待ってたエナガ様の近くに行った。
「エナガ様無事に戻りました」
「ユートが……ユート様が勇者だったのですね」
「僕は自分を勇者だとは思いません。戦ったりはしたくないので。それと様はやめて下さい」
「ユート……無事に帰ってきてくれてありがとう」
その言葉を聞いた時安心したのか気を失ってしまった。
翌日に目覚めた時王子の馬車の中に居て驚いた。普通の馬車に乗り換えようとしたら王子が
「ユート……君はこのまま城まで来てもらう。理由は分かるな?」
「雑用……ではないですよね。私の身分に関してですか?」
「そうだ。一応な、皆には今回の事を家族を含め他の人には話すなと言っておいた。約束を守れないと勇者を敵に回したと判断するって言うと皆聞いてくれたよ」
「それは脅したと言いませんか?」
「まあ1年ぐらいは何とかなるだろ。だからな、早く結婚しろ」
「け、結婚?!」
「君が勇者だと知られたら王家を含めた上級貴族から結婚を希望される。男爵令嬢では他の貴族から反対されるだろう。だから皆が知る前に結婚してしまえばいい。君たちの家族には本当の事を話せば協力してくれるだろう」
「王子ありがとうございます。一つだけ質問が有りますがいいですか」
「何だ?」
「何故そこまで協力してくれるのですか?」
「何故か?……そうだな。俺はな勉強や将来の結婚相手など全て決められた道しかなかった……いやそれ以外も有ったのかもしれないが王家に生まれた以上自由に選べるものが少なかったのだ。毎日覚える事ばかりだったが、休憩時間にだけは好きな本が読めた。偶然適当に買ってきてもらった本の中に王子と男爵令嬢が恋する本が有ってな……そんな事現実にはないだろって思っていたのだが、猛勉強して高校に入学したら同じクラスにほぼ平民で家庭教師も居ないのに合格したというお前が居た。正直最初はお前を敵だと思っていた。クラス内の順位がなぜ発表されなかったか知ってるか?あれお前が成績1番だったからだ。苦しんでいる俺がなんで自由にできる平民に負けるのかと。でもお前と話をしてみるとお前は男爵令嬢と結婚するため貴族になりたいと……それを聞いたら少し応援したくなってな。お話と現実は違うことは分かっているが俺にはお前が物語の主人公に見えてな……こいつの近くに居たら退屈し無さそうだと思ったのが理由だ」
「ありがとうございます。でもこんな私が物語の主人公なんて……それは多分面白くない物語ですね」
「まあ本人には分からないだろうが、俺は気に入ってるぞ」
その後王と面会し、何か平民だと危険だからと言う事で即日男爵になった。その時に新たな家名を聞かれたので、”シマ”でお願いをした。
今はエナガと共に実家に向かっている。ソラ男爵も僕の実家まで来てくれているらしい。
「エナガ……こんなこと聞くのは本当は良くないのかもしれないが……本当に私と結婚して……いや違うな、私の事を好きですか?」
「貴方と何度も会って話しているうちに、あなたとの時間が私にとって大切で落ち着く時間になりました。それに……小さい時からずっと好きでいてくれて優しくて努力家のユート以上の男の人を私は知りません。それに貴方とは……説明が難しいのだけど生まれる前から好きだった気がするの」
「それって、前世ってやつかな?」
「そうかも。なんかね、昔から少しづつ思い出すことが有るの。……変かな?」
「変だとは思わないよ。私にも前世の記憶があるから。でも思い出せない事が多いけどね」
「……え?今何か頭の中に声が聞こえた……。二人が結ばれたので記憶の一部を返しますって」
「頭痛とかない?大丈夫?エナガ……」
「シマ エナガ……また私鳥なのね。可愛いから好きだけど」
「大丈夫?」
「前世の記憶が急に増えた。前世では私、島・・・って名前だったみたい」
「ごめん聞こえなかった。もう一回いいかな?」
「前世の名前は島つぐみ。つぐみって鳥の名前で……」
今度は聞こえた。って言うかまさか?
「俺……じゃなくて私は、島 優人」
「知ってるよ。ユートだよね?」
「そうなんだけどそうではなく、優しい人って書いてゆうと。日本の兵庫県出身!」
「そうなんだ!同じ兵庫県出身……ってえ?もしかして、前世の?」
その時また何か人の様な物が二人の前に現れた
「二人ともおめでとう。転生しても同じ人と結ばれるとは君たち相性良かったんだね」
僕は先程思った事を聞いてみた
「これって本当に偶然なんですか?」
「疑われても仕方ないとは思うが近くに転生させた以外は何もしていない。顔も体格も前世とは全然違うだろ」
エナガが質問した
「先程前世の記憶が増えましたがあれは?」
「転生後前世の夫婦の記憶が有ったら恋愛も難しいかと思い、君たちの記憶は消していたのだが、もう消す必要も無さそうなので戻した」
「二人ともお互いを思っていたのに言えずに人生終わらせたので少し実験したんだ。でも思ってた以上に二人の相性は良かったみたいだな。もう二人の前に現れる事は無いと思うが幸せにな」
実験?実験って言ったよね。まあいいか再び会えたのだから。
神様らしきものは消えた。
「前世ではな、その気持ちを伝えるのが恥ずかしくって言えなかった。でも生まれ変わったのだから、気持ちは正直に伝えるよ。前世ではつぐみが居てくれたので最期まで幸せでした。この世界に来て君に惚れた理由が何となくわかったよ。一目惚れではなく前世から好きだったんだと。今はエナガを愛してます。僕がエナガを幸せに……いや違うな。エナガと共に生きたいです。最期の瞬間まで」
「ゆうと……あのね。あなたが積極的になってくれるのわ嬉しいわ。でもね、そんな事急に言われたら何て言ったらいいのか。これだけは間違いなく言えるけど、前世の私も幸せでしたよ。私も愛してます」
二人とも顔が赤くなりその後は実家に着くまで無言だった。
実家に着くと男爵の前に行き
「エナガとの婚約を認めてください」
「あの時の約束を間違えた……子爵以上なら認めると言っておけばよかった」
「約束は約束です。でも望むのなら子爵を目指しますよ」
「君が……いやユートが言うと本当に出来そう……というより勇者が望めば侯爵にでも成れただろ」
「そうなってたらエナガとは結婚できなかったかもしれないので」
「そこまで娘の事を思ってくれるのは嬉しいが……貴族としては大丈夫なのかな?」
「何とかしますよ。エナガと幸せに長生きしたいですから」
「まあ困ったら相談に来てくれたらいい」
男爵は良かったが実家の方が微妙だった。
「あの……ユート男爵……」
「お父様、私に対して敬語とかやめて下さい。結婚するために男爵に成っただけですから」
「ユート……なんか俺よりユートの方が年上に感じるんだが……」
「!そ、そんなこと……ないですよ」
「そうだよな。俺の息子が男爵!そうだお祝いしないとな。今日は急だったから食事程度しか出来ないが」
「お父様……男爵よりエナガと婚約出来た事の方が嬉しいのですが……」
「結婚はどうするんだ?」
「出来たら成人したら出来るだけ早くしたいです」
「まあそうか。出来るだけ早くにするよう協力しよう」
この後二人は結婚し王都の城の近くに住むこととなった。
王子から「俺の妹と結婚するか近くに住むか」という二択を出されたが
「あれもう雑用係は終わりですか?」と聞くと
「勇者に雑用って……そうだ俺の護衛として働いてくれないか?」
「わかりました」こうして私の仕事が決まった。
その後も喧嘩なども有ったがユートはエナガと協力し幸せに生きて行きました
需要有るか分かりませんがエナガ(つむぎ)の方の話も後日書きたいなと思ってます。