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第1話 魔王の大切な人



「魔王様、このものの余命は幾日も残っておりません」


「助かるための薬草はすべて、人間たちの住処にしか………」


 命をかけて 君をすくう

 世界のすべてが手に入ったとしても


 その時 君が隣にいないなら

 それ以外のものは必要ないから


 暗い世界に光を地底に閉じ込めた

 黒い箱の中に一人で入り込んだ


 たった一つの 自分という価値あるもの


 それだけがあればいいと

 昔は思っていた


 けれどそこに君がやってきて

 固く閉ざした蓋をこじ開けた


 外の世界には たくさんのすばらしいものがあると

 君がそう 教えてくれたんだ


「死んだら許さんぞ」


「俺をかばって毒の矢なんぞ受けおって」



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