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生徒会としての仕事

 グレジオの襲撃によってドワスガル魔法学校は一時的に休校となり、生徒は全ての授業と課外活動を中止して寮への帰宅を強制される。アルトの活躍によってテロリストとも言うべき闇魔法士達は捕縛されたが、主犯格であるグレジオは逃げ出したため、完全に危険は去ったわけではないことからの処置だ。

 その事件に巻き込まれてしまったアルトは校長室へと呼び出され、オブライアン校長をはじめに生徒会長リンザローテなどの前で経緯を説明した。


「…そうですか。グレジオはワタシを狙っていたと」


「ええ。生徒を人質にし、校長先生を呼び出すつもりであったようです」


「彼は退学処分を下したワタシを恨んでいたのでしょうな。それで、このようなバカげた行動をして……」


 オブライアン校長は瞼を閉じて記憶を辿り、グレジオについて色々と思い出しているようだ。


「グレジオは問題児で、とても素行の悪い生徒でしてな。S級であるからと大目に見ていたのですが、さすがに看過できない事が続いたために処分したのです。それが闇魔法士にまで身を堕とすなど……ともかく、今は安全の確保が最優先です。リンザローテ君、生徒会の方も動いてくれていますな?」


「ええ。先生方のサポートを行い、寮周囲の警備にも参加しております」


 問いかけにリンザローテはそう返答する。彼女が率いる生徒会は学校の治安維持にも一役買っており、こういう場合でも大人である教師に交じって見回りをするなど駆り出されていた。


「グレジオもそうですが、ヴァルフレアも気になりますわね。アルトさんの話を聞く限り、彼はワザとアルトさんの妨害をしたように感じます。もしかして、あの二人は裏で通じているのではないでしょうか?」


「ふむ……ですが確たる証拠があるわけではありませんし、推測の域を出ませんね。ヴァルフレア君にも証言をしてもらう必要はあるでしょうがね」


 どうやらリンザローテはヴァルフレアの戦闘介入に違和感を抱いており、それはアルトの抱いた疑念と同じものであった。すなわち、ヴァルフレアがグレジオを庇うためにやったのではないかというものだ。

 だが、オブライアン校長は歳相応の慎重さである。リンザローテに簡単には同調せず、後でヴァルフレアからも直接訊き出す必要があると言葉を返した。


「さて、おそらくグレジオは遠くへ逃走しているとは思いますが、学校の敷地範囲内に隠れている可能性もあります。現在、ワタシの指示で最寄りの街や駐屯地に救援要請を行っていますが、最短でも軍や警察が到着するのは明日になるでしょう。それまでは我々で警戒態勢を敷かねばなりません。アルト君、申し訳ないがキミにも手伝っていただきたい」


 ドワスガル魔法高等学校は他の街や村から離れた場所にある。そのため、王国の主要な公共インフラが充分に供給されておらず、それはアルトの故郷であるボラティフ地方と似たようなものだ。

 このことから軍や警察が常駐しているわけでもないので、有事の際は自分達である程度凌がなければならないのである。不用心にも思えるが、平和な時代が続いていたために必要とされなかったのだ。


「アルトさんを生徒会のメンバーとして迎え入れる予定でありましたので、仕事体験としては丁度いいですわね。じゃあ、わたくしに付いてきてくださいな」


「分かりました」


 昨日リンザローテに誘われたアルトは、本来であれば今日は生徒会加入のために生徒会室へと赴く予定であった。

 しかし、想定外の事件を受け、いきなり実務を行う事になったが戸惑いも躊躇いもせずアルトは頷く。


「なるほど、アルト君が生徒会に加わるのならば助かりますね。年々人員が減っていますし、S級である彼が模範的な立場を示す側に回ってくれれば、他の生徒にも良い影響を与えられるでしょうしな」


「はい。アルトさんの人間性は入学初日の一件からも素晴らしいものだと分かっていますし、魔法力も戦闘力も申し分ありません。生徒会にとっても、学校にとってもプラスになると思いますわ」


「やはり、あの時に彼を退学処分にしなくて良かったですな?」


「え、ええ。例の件に関しては猛省しています……そんなわたくしの過ちを許してくださる器の大きな優しい方でありますし、生徒達の問題にも親身になって対応してくれることでしょう」


 そうも期待されるとプレッシャーを感じてしまうが悪い気はしない。単純ではあるが、褒められたり持ち上げられれば気力も湧いてくるというものだ。

 オブライアン校長やリンザローテを落胆させないためにも、アルトは最初の仕事に取り掛かる。

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