2話 誕生日はいつ?
「おいしぃー!」
ハルを部屋に入れジュースを出してやった。
5時間外にいた。倒れられたら社会的に困る。
現実逃避したいが聞かなければいけないことがある。
......にしても帽子の下にあった、金髪やくりっとした瞳があの女にそっくりだ。
間違いなくあの女の娘だろう......
「パパのいえひろいね、あとでぼうけんしてもいい?」
捨てられたばかりというのに楽しそうに......なにも分かってないのだろうか。
それにしてもパパか、いやな響きだ。
「いくつか質問するから上手に答えられたらな」
「わかったハルがんばる!!」
「名前はなんていうんだ?」
名前が分かれば色んなことが分かる。
「はるかぜはるなだよ、みんなからはハルってよばれてるの」
「はるなはどんな漢字で書くんだ?」
「わかんない、、、でもすうじの一と十はかんじでかけるよ、すごいでしょ!」
どうだと言わんばかりに小さな体で胸を張った。
春菜や春奈か?それともあの女と同じ字で陽菜か......
「前はどこに住んでたんだ?」
「ここからうーんととおいところ」
「どこの都道府県とか市町村とかは分かるか?」
「トドウフケン?チチョウチョン?ハルわかんないよ」
幼女には難しい言葉だったか......
「住んでた町の名前はどうだ?」
「んーん」
丸い顔を横にブンブンと振った。
「ハァーーー」
思わずため息がでる。
「もしかしてハルっておばかさん?」
少し涙ぐんだ顔で不安そうに聞いてくる。
ここで機嫌を損ねては面倒なので機嫌をとっておく。
「ハルの歳なら普通だろ数字を漢字で書けるだけ偉いぞ」
「ハルえらい、、、ふふ、ハルはえらい、、、ふふん!」
小さな両手を口元に持ってきて嬉しそうだ。
「通ってた幼稚園の名前は分かるか?」
「えーとサクラほいくえんだよ」
一応後で調べるがどこにでもありそうな名前だな。
「「............」」
母親の連絡先やここまでどうやってきたのか等色々聞いたがハルからの情報だけではあの女の居場所を突き止めるのは無理そうだ。
「パパもう、たんけんちていい?」
質問を始めて30分くらいだが、そろそろ集中が切れるころか......最後に1番聞きたくて聞けなかった事を聞く。
答え次第では、すぐに子捨て案件として通報し、厄災を退け、明日から何事もなかったように勝ち組人生に戻れる。
「.......ハル誕生日はいつだ?」
俺が生涯で性行為をしたのは一度だけ、人生の汚点だが......誕生日が2月から4月じゃなけゃ俺とハルは100%他人だ。
「んーとね、んーと」
ほんの数秒が長く感じる
「さんがつさんにち、ヒナマツリのひだよ」
くそが.......だがまだだ
「歳はいくつだ? 4歳くらいか? それとも意外とおねぇさんで6さいか? そうだろ? そうだと言ってくれ?」
頼む......
「5さいだよ」
あっーーー!!!!!
「バタン!!!」
力なく机の上にうつ伏せになった。
たった一度の誤ち......愛や情などに騙され学、コネ、金というこの世の真実から目を逸らした罪を神は許さないということか.......
「だいじょうぶパパ?」
「......探検でもなんでもしてていいからしばらくほっといてくれ」
「へんなパパ、ハルたんけんたい、ちょうさにいってきまーす」
楽しそうに書斎の方に走っていった......
あいつからしたら俺は会ったばかりのおっさんなのに嬉しそうにパパだなんて呼べるな......アメリカ人の血か? 何にしてもへんな奴だ。
これからどうするか......5歳の子供がいることが茜にバレたら婚約破棄は避けられない。
茜の父親の逆鱗に触れることにもなる......
夏川財閥の父親のコネがなければ俺はただのイソベンに振り出しに戻る......
いや、財界の雄である茜の父親を怒らせてその程度で済むはずがない。
上流社会での俺の人権は永遠になくなる。
一生安い依頼料で学、コネ、金なしの貧乏人相手に頭を下げて暮らすのか.......糞食らえだ。
だが、血縁上はほぼ確実に俺の娘.......どうする、どうすればいい。
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