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01

初めまして。伊夜と申します。

昔、違うところで投稿してたのをリメイクしてます。

どこかで見かけてもパクリじゃないです。

下手ですが、読んで貰えると嬉しいです^^

今日も私の好きな音楽を奏でて、働きものは“仕事”をする。



 ポケットの中のケータイが鳴った。

 最近、買って貰ったばかりの赤色のケータイを取り出すし、画面を確認する。

 親からのメールだった。

『今日は遅くなる』

 顔文字も絵文字もない、シンプルな文面。用件はそれだけらしい。


 特に特徴もない寂れた街の商店街。淡いオレンジ色の夕焼け空。

 商店街に街灯みたいに生えている桜は、既に散り、緑色へと変化している。

 それなのに、『サクラ祭り!』という旗はまだ店先に置かれている。

 ポケットへケータイを滑り込ませようとしたとき、右隣を歩いている西街美亜(にしまちみあ)が口を開いた。


「ほんとう、夏樹(なつき)ってケータイ大事にしてるよねぇ」

「そう? でも、物は大切に使わないといけないじゃん」


 私は“お気に入り”のケータイを右手だけで弄りながら、美亜に笑顔を向ける。

 美亜は苦笑いを見せる。どうやら、呆れられているらしい。


「だってさ、みんなほとんど中学からケータイデビューしてるのに、私だけ高校からだよ!? いままで遅かった分、取り戻さないとって思わない?」

「そうー?」

「中一から持ってる美亜には分かんないよー」

「だろうね。彩名はケータイデビューっていつ?」


 美亜はあきれ顔を崩さずに左隣を歩いている小道彩名(こみちあやな)に顔を向けた。

 不機嫌そうに唇が一文字を描いている彩名はいかにも鬱陶しそうに美亜に視線だけを向けて、「中二」とだけ短く叩きつける。

 その返答に、美亜は傍から分からないぐらいにひっそりと、眉をひそめる。

 彩名はおとぎ話に出てくるお姫様みたいな可愛い顔立ちなのにとても素っ気なく、いつも人を見下すような態度を取る。

 よく美亜は影で彩名の事を「傲慢王女」と馬鹿にして言う。

 でも、私は彩名がそこまで嫌いじゃない。素っ気ない態度はただ不器用なだけ。私は彩名と幼馴染みだから、彩名がどれだけ不器用か知っている。

 私と美亜は彩名と一緒に行動することが多い。多分、クラスのみんなは私達が仲良し子良しであると思っているだろうが、美亜と彩名の仲はそうでもない。

 それなのに、美亜が彩名が仲良くしている理由はきっと、私が彩名と居ることと、彩名が良いとこのお嬢様だからだろう。


「でもさ。彩名は結構早くケータイ持ってそうなイメージあるかも! だってさ、」


 美亜が大声を出しながら、左手の人差し指をたてた。

 すれ違った買い物帰りのおばさんがしかめ面で美亜を流し目で見つめた。

 美亜は気づいていないようで、大声で続きを喋る。


「お嬢様じゃん」


 ちらりと、彩名を伺うと彩名は露骨にしかめ面で美亜を見つめていた。

 彩名は自分が「お嬢様」と呼ばれるのを極度に嫌う。


「お嬢様だけど、どそれがケータイ持つのと何か関係ある?」


 絶対零度の態度で突っかかる彩名。

 実は彩名はかなりけんかっ早い。


「金持ちって普通そうじゃないの?」

「あなたって普通普通普通普通って気味悪いぐらいこだわるよね」

「ちょっと――――」


 これ以上は喧嘩になりそうなので止めに入ろうとした。

 その途端に右手のケータイが私の大好きな音楽を奏でる。メールがきたようだ。

 まるでその音が停止スイッチだったかのように、美亜と彩名の動きが止まり、同時にこちらを見つめた。

 あまりにも二人のタイミングが合ってたのついつい吹き出してしまう。

 美亜はあからさまに不機嫌そうな顔をし、彩名はそっぽをむく。


「メール来てるよ」

「はいはい」


 笑いながら携帯の画面を見つめると、見慣れないアドレスからのメールが一件。

 開けずに削除しよう。

『知らないアドレスからのメールは受け取らない方がいい』とケータイを契約するとき、親が言っていた気がするから

 そう思い、削除のボタンを押そうとした。

 でも―――――。

 はじめてきた、知らない人からのメール。

 ただの間違いメールかもしれない。盗み見たい衝動が込み上げてくる。

 警戒心より、好奇心のほうが大きかった。

 私はなんの迷いも無くメールを開いた。

 


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