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15話 ダーツ大会と癒しアイテム!



素蓋すぶたさん! 今日はダーツ大会ですよーっ!」


 ティフシーが巨大な矢のようなものを持って、オレの部屋に飛び込んできた。


 一瞬、夜盗が襲いにきたのかと思った。


 こんな可愛い夜盗に襲われるなら、悪くないけどな!


「ティフシー、手に持ってるそれ、なに?」


「ふふっ。これはU3000シリーズのファンタスティックアップルモデルですよ!」


 そんなことは聞いてない。


 まじで、その血塗られた矢のような赤い凶器はなんだ!?


 可愛いけど怖い!

 

 笑顔がヤンデレっぽく見えるんですけど!


「それは弓矢じゃなくて、ダーツなのか?」


「そうですよ! 私のマイダーツです。素蓋さんはダーツやったことあります?」


「もちろん、あるよ」


 オレはこう見えて、家にマイダーツを持っていたこともあるほどのダーツ好きだ。


 スコアだって、三投で平均百は出せる。


「でもそのダーツは見たことないな。リーチがえげつないっていうか、開始線からマトに届くよね」


「届かないですよっ。的は十メートル以上離れてますから!」


「十メール以上!?」


 これはオレの知ってるダーツじゃないな。


 十メートルも離れてたら、当てるですら至難の技だぞ!


「オレの知ってるダーツは違うよ。指先で持てるくらいの大きさで、的も小さいんだ」


「えっ、それはどの筋肉を鍛えるスポーツなんですか?」


 話がかみ合わないぜ!


「筋肉は鍛えないよ。ただ的を狙って、点数を稼いでいくゲームだからね」


「え、なんで筋肉を鍛えないんですか?」


「そ、それは」


「ねぇ、素蓋さん? それは本当にダーツなんですか? 別の遊びじゃないですか? だって、筋肉を鍛えないスポーツなんてないですよね?」


「ティフシー、落ち着いて。なんかヤンデレっぽくなってるよ!?」


「ヤンデレってなんですか? それは新しいトレーニングですか? ふふっ、私は落ち着いてますよ。どうしたんですか? なにか怖いものでも見たような顔してますよ?」


 うん、このダーツ持ってると、普通のことを言ってるだけなのに、ヤンデレに聞こえるな。


 このスポーツ、やる前から危険な香りがするんだけど!?



  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 


「ハッハッハ! では、ダーツ大会を始めるぞ~ッ! マッスルは温まってるかい!?」


「イイェエエエエーッ! いつでも始められるぜぇえええええ!」


「この日をずっと楽しみにしてきたわ! もう、早くやりたくて仕方ないわ!」


 マッチョたちや美女たちが、巨大なダーツを掲げて盛り上がっている。

 

 バトルロワイヤルの会場にしか見えないぞコレ。


「ハッハッハ! 準備万端のようだな!!! では、マイダーツを持ってきてない人は、前に集まってくれ~っ! 好きな武器を選んでいいぞ!」


「バトルロワイヤルかっ!」


 いまサラッと武器って言っただろ!


 オレはこの世界のダーツなんて持ってないので、仕方なく前へいって、かごの中をのぞいた。


「コレでいいかな~」


 よくわからないので、一番小さくて軽そうなダーツを選んだ。


 子供用の傘みたいなサイズだ。


「あっ」


 近くにいた女子がオレのダーツを見て、声をあげた。


 黒髪の清楚な美少女だ。


 顔はおっとりしていて、目はパンダみたいに垂れてる。


 ふにゃっとした可愛い顔だけど、服装はきっちりしたドレスシャツに黒スカート。


 おっぱいはおっとりフェイスからは想像つかないほど大きくて、フワフワしてる。


 顔から体まで、ぜんぶ柔らかそうな感じだ。


「あ、ひょっとしてこのダーツ、使いたかった?」


「は、はい。ごめんなさい。でも、私は他のにしますから、大丈夫ですよ~」


 美少女は手を前に出した。柔らかそうなおっぱいがプルプルと揺れる。


 エロい! しかも癒される~っ。


 このダーツでおっぱいツンツン突いてみたいぜ。


「コレ使いなよ。オレは適当に取っただけだから、特にこだわりないんだ。あんまり違いもわからないしね」


「ホントですか! ありがとうございます! あ、私エレナっていいます~」


「オレは素蓋だ。よろしくな!」


 自己紹介を終えたオレは、適当に他のダーツを手に取った。


「素蓋さん、それにするんですか?」


「まあね。どれもそんな変わらないでしょ」


「いえ、けっこう個性がありますよ~」


「そうなの?」


 と、手に取ったダーツを確認すると。


 ダーツの先が、三つ叉に分かれていた。


「牧草地を耕す道具か!」


 こんなの使えるわけないだろ!


 と心の中でつっこんでいたら、エレナが首をかしげた。


「あ、それは一度に三箇所に刺さるダーツですよ~! 投げるのがすごく難しいんですけど、当たれば得点三倍ですよ?」


「めちゃくちゃ強いな!」


 ダーツの根幹が揺らぐぞ。遊◯王カードだったら、三ヶ月で禁止になるレベルのチートアイテムだろ。


「でも、そっちの長いのはもっと人気ですよ~!」


「え、これ?」


 手に取ると、こんどはまともな槍だった。


 まともな槍ってなんだ? 

 

 感覚が麻痺してきたけど、ダーツとしてはコレもまともじゃないからな。


「それは『勇者の槍』シリーズのダーツです。二つくっつけると、飛距離が二倍になるんです~!」


「割に合わないなっ!」


 こっちは二本で一投なのかよ!


 合体のロマンを差し引いても、デメリットしかないだろ!


「あ、それならそっちのピンクのはどうですか?」


「これ? すごい派手だなぁ」


 エレナが指さしたのは、魔法少女が使いそうな、派手な矢だった。


 羽はフワフワしてるし、矢の先っぽはハート型だ。デザインは萌えっぽい。


「それは『口ンギネスの槍』というんですよ。シトを一撃で倒せると言われてます」


「ビジュアルが違うからって、なにを言っても許されるわけじゃないぞ?」


 この萌えアイテムにそんな殺傷力ないだろ。


 カ◯ル君のファンが黙ってないぞ。


「ヘイ! ちょっと失礼するよ、ボーイ? 一人でダーツを三つも使わないだろう? 僕はそいつを使いたいんだ!」


「あ、悪いな。これ使ってもいいよ」


 マッチョな青年が話しかけてきたので、オレは三つ叉のダーツをあげた。


 正直、使うとしたらアレだったんだけど、まあいいか。オレの技術テクニックがあれば、他のダーツでも使いこなせるだろう。


「ねぇ、ボーイ? 私そのロンギネスの槍使いたいんだけど。二本持ってるならくれない?」


「ん、まあいいけど」


 今度は美女が話しかけてきたので、オレはロン……萌え系デザインのダーツを渡した。


「ハッハッハーッ! みんなダーツを選んだようだな! ではさっそく始めるぞーっ!」


「えっ、ちょ、ま」


 オレの手元にあるのは、『二つ合わされば飛距離が伸びる勇者の槍』というクソアイテムの、片方だけだ。


 ハンデが重すぎるぞ!?


「ハッハッハーッ! では、ペアになって、順番に投げてもらうぞ~っ! 一番高い点を出したら優勝だ!」


「ルールがすごくシンプルッ」


 全員一投しか投げないのか。単純だけど、同点がたくさん出るんじゃないか?


「素蓋さん。よかったら、私とペアになってくれませんか?」


「おーっ、一緒に組もうエレナ」


 オレはエレナの癒やし系の顔とおっぱいを見ながら答える。


 たぶん今回優勝はできないけど、美少女と組んでまったり楽しむぜ! 


「ハッハッハ! ではまずはボン・ジョンボビからだ!」


「イェアアアア! イッツマイライフッ!」


 さっそく一組目のイケメンマッチョが投げた。


 マトのど真ん中にヒット!


 いきなり高得点だ!


「ハッハッハーッ! なんと! ボン・ジョンボビがさっそくミリオンヒットォオオオオッ! 得点はな、な、な、なんと! 五十点だァアアアアアアアアアッッ」


「意外とまともな点数だな!」


 点数はオレの知ってるダーツと一緒なのか!


 ってことは、最高得点は六十点だ。二十点のトリプルゾーンが、真ん中よりも点数が高い。


「次の挑戦者はメッジ&スレアス! 男同士のガチのペアだァアアアアアアア!」


「言葉が足りてないだろ!」


 ガチで優勝狙ってるペアだ。けっしてBLな感じではない。至って健全なペアだ。


「アイ! ラブ! マッスルッッッッ!」


 うん、たぶん健全なペアだ。


 さっそく一人目のメッジが投げると、三十点だった。まあ平凡な点数だ。


「フンヌァアアアアアアアアアアッッッッッ!」


 二人目のスレアスが二十四点だ。


 合計五十四点。

  

 ガチと言ってたわりに、たいしたことないスコアだな。


 と、思ったら。


「な、なんとーッ! スレアスの投げたダーツが、マトを覆ってしまったーッッッッッ!」


「えっ!? どういうこと!?」


 よく見ると、スレアスの投げたダーツは、傘のように広がっていた。


 つまり、マトに刺さってから、傘のように開く仕組みだったんだろう。


 こうなったら、あの傘を突破しない限り、他のダーツは刺さらない。


 チートだな! めちゃくちゃ強いぞアレ!


「ハッハッハーッ! 最後は、エレナ&素蓋ペアァアアアアアッ!」


 結局、スレアスのあとに投げた人たちは、スレアスのダーツが邪魔で、マトに刺さらなかった。


 最高得点はスレアスたちの五十四点。


「うーん、きついな」


「素蓋さん~! こうなったら、私のダーツと、素蓋さんのダーツを合体させましょう! そうすれば飛距離が二倍に伸びます~!」


「それしかないかな。ダメ元でくっつけてみよう」


 正直、飛距離が伸びても、威力が足りない。


 オレのパワーでは、鋼鉄製のスレアスの傘……じゃなくてダーツを貫通できるほどの威力は出せない。


「ハッハッハ! 素蓋は『勇者の槍』シリーズのダーツを使うようだーッ! パワーはまったく出ないぞ! どうするッ!? ラストの一投、カモーンッッッッッッ!」


「どうするって言っても、普通に投げるしかないんだよな」


 オレは負けを覚悟で、ダーツを投げた。


 ダーツはマトを大きく外れ、一直線に飛んでいく。


「ハッハッハ! 素蓋は狙いを外したようだ! 得点はゼロだ!」


「えっ、ちょっと待って! まだ飛んでるわよ!?」


「ほ、ホントだぞ! いったいどこまでいくんだ!?」


 オレの投げたダーツは、十メートル先のマトを超え、百メートル以上飛んでいた。


 ダーツの特性と、オレの技術テクニックによる、完璧な投げ方のおかげだ。


 トスッ!


 ダーツはオレの狙い通りの場所に刺さった。


 会場の隅に放置されていた、予備のマト。


 床に転がっていたマトの、二十点のトリプルゾーンだ。


 ルール的にセーフなら、六十点だ。


「ま、ま、まさかッッッッッ!」


 会場が静かになり、気まずい沈黙が流れた。


 やっぱり、別のマトに当てるのはダメだったか。


 仕方ないな。今回はさすがに、オレの負


「ウォオオオオオオオオオオオオ! なんというミラクルスーパーマッチョだぁあああああああああああああああああああ!」


 マッチョの司会が叫び、会場がドッと沸くほどの歓声が起きた。


「彼は一体何者なの!? 『勇者の槍』シリーズのダーツを百メートル以上飛ばしたわよ! あれ、合体させても十メートルちょっとしか飛ばない『ウケ狙い』のダーツなのに!」


「まさか、あの『ウケ狙い』のダーツで、百メートル以上離れたマトに当てたというのか!? 一体どれほど指のマッスルを鍛えていれば、そんな芸当ができるんだッッッッッ!?」


「かっこよすぎるわ! 『ウケ狙い』のダーツをあんなにセクシーに投げるなんて! ユーモアもあるマッチョなんて、最高に素敵よ! 彼のダーツで、私の胸の中心を狙って欲しいわ!」


『ウケ狙い』連呼しすぎだろ!


 たしかに最初から使えないと思ってたけど!


「エレナ、『勇者の槍』シリーズは強いって言ってなかったっけ!?」


 オレにあのダーツを勧めたのはエレナだ。


「言ってませんよ? 私は『人気がある』って言ったんです! 私も素蓋さんが『勇者の槍』をあんなに飛ばせるなんて思ってませんでした~!」


「そうだったの!?」


 たしかに、思い出してみると、『人気がある』って言ってた気がするな。


 まさかウケ狙いで人気だったとは……。


「素蓋さん、かっこよかったですよ~! セクシーなユーモアマッスルです~!」


「ま、まあね~。エレナ、ハイタッチッ!」


 と、オレが手を挙げた瞬間。


 エレナはパンダのようなほんわかフェイスで、オレに近づいてきた。


 偶然、オレの手がエレナのおっぱいにポヨンと触れる。


 ふわふわした柔らかい感触。


 けっこう強くぶつかったのに、包み込むように衝撃を吸収してしまう、魔法のようなおっぱいだ。


 もしもエレナのおっぱいが枕だったら、オレは人生の九割を眠って過ごせるだろう。


 このおっぱいは、最高の癒やしアイテムだ!


「あの、素蓋さん~!」


 エレナは顔を真っ赤にして、オレを見上げた。


「そんなふうに触られたら……気持ちよくなっちゃいます」


「えっ!?」


「もう、そんなユーモアはだめですよ~!」


 この後、エレナはふわふわオレを叱ってきたけど、なぜかオレはめちゃくちゃ癒やされた。

 


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