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お嬢様のお世話係。  作者: 悠莉
2/5

莉緒とかいうやつ

「何あいつ!?信じらんない、私は自由きままに過ごしたいのに、1日中そばにいられちゃかなわないわ!!」


あの莉緒とかいうやつ、私よりたった2つ上の19歳と聞いた。



ーーお兄ちゃんだと思って、きちんと言う事を聞くんだな。



さっきの父様のドヤ顔がまた脳内で再生されるわ…


「しかもなんなのあの莉緒とかいうやつの目…人を馬鹿みたいに見下して…!!」



口から出る言葉を制御せずに吐き出す。


父様と莉緒とかいうやつのところから走って逃げてきたので、誰も聞いていないと思っていた。


誰かが聞いていたとしても別にかまわないわ、とりあえず叫びたい…



「ーー見下してて悪かったなぁ?」



本気で驚いた。


莉緒とかいうやつ、私の後からついてきてたなんて気配なさすぎて気付きもしなかった。


お、落ち着きなさい…聞かれたのはいいのよ、本心なんだから…


そんな私を一瞥してからつかつかと歩み寄ってくる莉緒とかいうやつ



「それより俺の言う事はちゃんと聞けよ?なぁ?“お嬢様”」



顔が近づく。


負けたみたいで嫌なので視線は逸らせない。


この男はしばらくたってもなにも言わない。細く笑みを浮かべたまま私の目をのぞき込んでくる。


ずっと見ているとそのまま蒼い瞳に吸い込まるような感覚になり、意識が遠のく…


目が逸れた、と思った瞬間、不意に耳に息を吹きかけられる



「ーーっ...は!?」


「ちゃんと言う事聞かねぇんだったら…“躾”しないとなぁ?」



低い声が耳もとで響き、息がかかってくすぐったい。


鳥肌がたった。



「ありえない…っ」



あの馬鹿父様め…人選ミスしすぎだって!!


私の耳たぶにゆっくりと舌が這う。


押しのけようとした途端、背中に手が回って逃げられなくなる



「その間抜けな表情…思いっきり快楽に歪む顔も見てみたいよなぁ?」



低い声が耳元で妖艶に響く。同時に、背中の下から上に指が辿った。


「ーーっぁ」


ゾクッとして体が震え、変な声が出る。


「…可愛いとこあんじゃんか?」


ククッ、と嫌味な笑い声を立てられ、カッとなった私は、



パチンッ



頬を軽く抑えて私から離れ、口角を上げたまま見つめてくるこの男には、殺意すらわいてくる。


「あんた、いい加減にしないとーー」


「莉緒って名前があんだけど?」


「なんで私が呼ばなくちゃなんないのよ!?」


「…可愛い」


「話聞いてんの!?何がしたいのよ莉緒、は!!!」


「ーー結局呼んでくれんじゃん」


「っ…るさいなぁ!」


「おら、部屋まで案内しろよ」



案内しろとか言ってきた割には先を歩く莉緒。


その背中が大きくて。


身長も高くて、悔しいけど顔も良いじゃない?


どういうことなのよ



「…大ッ嫌い」


聞こえるように呟くと、莉緒は振り向かずに「へぇ…」と声を出す。


「俺は好きだけど?お前みたいなやつ」




…ぜんぶ莉緒のペース。私は巻き込まれるだけ。


私のお転婆を治すのも、こいつにとっては簡単なことなのかもしれないと思ってしまった。




ーー私の部屋そっちじゃないけど。




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