逃亡
「敵襲です。モンスターが現れました」
兵士は、息をきらしながら言葉を発した。
突如今いる所はパニックにおちいった。
「俺が先だ」
「私が先よ」
「いくらでも金をだすだからとおせ」
そして誰も海のことに目もくれず去っていった。
だが心が不安定になった海には、そんなこと関係なかった。
ただただそこに立ち尽くすしかなかった。
「いつまでそうやってるんですか、逃げますよ」
聞き覚えのある声が、携帯から響いた。
海は、われにかえり携帯をポケットから取り出した。
「ルナか、お前俺が、つかまってる時だまりやがったな」
海は、もう一度かかってきたら言おうとしていた言葉を口にした。
するとせっぱつまった様子で
「そんなことより今は、逃げてください、今のあなたじゃ勝てませんよ」
海は、頭をかきながら仕方なく指示に従った。
海が、走っていると外の光景は、ひどいものだった。
建物は壊れ、人々は泣いたりわめいたりしていた。
そんな中を海は、通り過ぎていく。
すると声が聞こえてきた。
「助けて」
その声は、こわばっており悲鳴にも聞こえた。
海は、声のするほうに行くと少女が、山くらいありそうなゴーレムに襲われていた。
本来の海ならば指示通り逃げるのだが、その少女を自分の妹と重ねてしまった。
俺はそれをほっとくことができなかった。
「ちょっと海⁉」
ルナの声にも耳をかたむけず、少女のもとへ向かった。
「きゃああ」
少女は、ゴーレムにつかまりそうになっていた。
「まにあえぇぇぇぇぇぇ」
海は、少女を突き飛ばした。
だがそのかわりに海が、つかまってしまった。
「ぐ、はな・・・・・・せ」
物凄い力でにぎられたため体の骨がくだけるような音がした。
「うわぁぁぁぁぁ」
海は、その痛みに叫んでしまった。
そしてゴーレムは、海をひきつけると口を開けた。
「おいおい、それはしゃれにならねぇーって⁉」
そして海は、ゴーレムに飲み込まれた。