出会い
ある国のある村に、ライという男の子が両親の仕事を手伝いながら、暮らしていました。彼の仕事は、学校に家で取れた野菜や果物を運ぶことでした。野菜や果物はたくさんありますから、ライはリアカーを引いて毎日学校まで行きました。
ある日、ライは学校の帰り道で一冊の絵本を拾いました。汚れていましたが、拭いてみると何とも綺麗な絵が描いてあります。ライは、この本にどんなことが書いてあるのか知りたくなりました。しかしライは学校に行っていません。そのため、文字も仕事で使う文字しか読めませんでした。
「この本が読めたら、きっともっと面白いんだろうなぁ。こんなに素敵な絵が描いてある本なんだもん」
ライは読めるところだけ読んで、あとは毎日絵を楽しんでいました。学校に通っている子ども達は、たくさんの本を持っています。しかもそれをすらすらと読んでいるのです。ライは自分が持っているたった一冊の絵本に満足しながらも、彼らが羨ましくてたまりませんでした。
ある国のある町には、バンというこの国ではお金持ちの両親の元で育った男の子がいました。彼は毎日学校へ行き、帰っては予習・復習をするという生活を送っていました。勉強漬けの毎日が彼にとってとても苦痛でした。
そんなある日、バンは一人の男の子が自分たちのことを羨ましそうに見ているのに気が付きました。いつも、給食の野菜や果物を届けに来る男の子です。手には一冊の絵本を抱えています。
「なんなんだ?」
今日のバンは、テストでいい点数が取れずイライラしていましたので、つい男の子にちょっかいをだしてしまいました。
「おい!なんなんだ。さっきから、こっち見て」
バンに話しかけられた男の子・ライはビックリしました。しかし、バンの身なりを見るとこの学校の生徒だと分かり、少し安心しました。
「君たちみたいに勉強したいんだ。この本、拾ったんだけど、読めないから」
ライがバンに見せた絵本は「青い鳥」という絵本でした。
ライの素直な態度にバンは毒気を抜かれてしまい、思わず「教えてやろうか?」と言いました。
「本当?ありがとう。僕、ライっていうんだ。よろしくお願いします」
「いいよ。あぁ、俺バン。よろしく!
じゃあ、お前の仕事が終わったら、ここに集合な。」
二人はそう約束すると、お互いの家に向かって帰っていきました。
「明日から、勉強を教えてもらえるんだ!」
「変な約束したなぁ。まぁ、文字教えるだけならいっか」
ライは、勉強ができることを喜んでいました。一方のバンは、勉強の息抜きだと考えていました。