表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラブヘブン!?  作者: オペラオー
8/8

07積極的な女の子はいいけど、相手が鈍感だと途端に犯罪っぽくなる

サブタイトルを話数表示形式から各話個別タイトル形式に変更しました。


 学校である。

 どうやって辿り着いたかは聞かないでほしいのである。

 校門前でセー子が突然これ見よがしに腕を組んで(極めて)きたり、昇降口でルキアが突然おんぶをせがんで(眠気100%)きたりしたけど私は元気である。




 ……元気じゃねーよばーかばーか!!

 あいつら許さねえ!特にセー子。なにが万事バンバンジーだ!全然協力してくれてねーじゃんか!!

 そんなわけで昼休みの現在僕は、


「よっ、ついにお前らカップルになったの?」

「いや、ていうかあの無口系清楚っ子だれだよ」

「男女16にして交際するべからずって習わなかったのかオォン!?」


 

 はいまわりがうるさいです。

 そりゃね。こうなるよね。僕わかってました。

 四面楚歌とはまさにこのことだろう。朝ひっついてたのを数人に目撃されただけだったのになぜか学年じゅうに知れ渡ってるのは恐ろしいと思った(小並感)。

しずPもキョンもシバも俺と二人がなんでもないのは(たぶん)わかっているはずだが、この機会に煽るだけ煽っておきたいのだろう。この騒ぎに便乗するどころか積極的に言いふらして回っていた。いい根性してるじゃねえか!ちなみにシバだけは本気で悔しがってた。ざまぁ。

 ともかく、おかげで噂は加速度的に広まってしまい、何ということでしょう、居場所がありません(当然)。

 


「と、とりあえず昼は別の場所で食うか……」

「おーどこ行くん?中庭?」

「晴れてるし屋上でもいいんじゃない?」

「お前らもついてくるのか……」


 僕今すっごいおこなんですけど……?この人生ゲームやった後みたいな友情崩壊状態で平然と一緒に飯を食おうとする胆力を見習うべきなのか怒るべきなのか。

 しずPとキョンは特に気にした風もなく、弁当を持って僕の席のそばで待っている。シバ?彼は学食だから誰にも気づかれずにこの時間には消えます。空気かな?

 さすがに毎日食堂でぼっち飯は涙がちょちょぎれてしまうので僕たちも少し遅れて食堂へ向かうのが通例になっている。


「シバくんが可愛そうだからとりあえず学食行かない?」

「おっけー」

「せやな」

「行かせるかっ!!」

「グェボッ!」


 またしても人ならざる声をあげてふっとばされる僕。はい、もう彼女以外いませんね。


「ふぅ。世界は救われたわ」

「おう待てコラ。説明してくださいコラ」

 

 説明しよう。泣く子も黙らせるセー子さんに対してお伺いを立てるときはどんなに相手に非があっても下手に出なければならないのだ!ヤンキーもびっくり!


「お弁当っ!」

「? 持ってるけど?」

「ふおりゃぁぁあ!」

「なにすんねーーん!!」


 わけも分からず見せたお弁当を問答無用で窓の外に放り投げられた。ノーモーションからの堂の入った全力投球。お弁当箱の行方、僕でなきゃ見逃しちゃうね。


「ってそうじゃねーよ!おい何してくれんだコラ!!昼飯がたった今消失したぞ!」

「そう……。不思議なこともあったものね。」


 コノヤロウ乙女にあるまじき窃盗&器物損壊を不思議なことで片付ける気か?つーか何がしたいんだよ!出るとこ出てもいーんですよ奥さん!


「ふぅ。ともかく世界は再び救われたわ。さぁケン、一緒にお昼食べましょ」

「オマエ喧嘩うってんのか!?」


 どういう思考回路線してんだコイツは。当然だが僕が食べるはずだったお弁当は明日の彼方へと消えていった。もうない。やっぱ喧嘩うってますよねコイツ?(震え血管)

 目の前の軽犯罪者を相模湾に沈めようかと考え始めたところで、セー子が突然手のひら大の巾着を差し出してきた。


「ナニコレ、誠意(おかね)?」

「……弁当、ケンの」

「?」



 『これより第一回木引くん脳内会議を開催しまぁす!!』

 『承認』『承認』『承認』『承認』

 『いやそういうのじゃねーから!議題は突如乱心した幼馴染による毒殺からどうすれば命を守れるかです!さぁ各自張り切って案を出そう!出ないと死んじゃうゾ☆』

 『不承認』『不承認』『不承認』『不承認』

 『そんなに死にてぇかオラァァァ!!もっと気張れ!生に執着しろ!』

 『吾可生也』『嘗胡蝶之夢也』『人生如夢幻也』『隣芝青』

 『流暢な漢文で諦めんなや!あと最後もっと勉強しろ』




「……ねえ、いらないの?」

「いります」


 ハッ!?気がつけば受け取ることになってしまっていた。何を言ってるか(ry

 一連の言動から考えて確実に毒物及び劇物取締法違反のブツを受け取って、僕は内心冷や汗が止まらない。毒って、どれぐらいなら食べても死なないかな(諦観)。

 セー子は僕が甘んじて受け取る意を表明した時点で小さくガッツポーズなんかしちゃって。暗殺計画も八割型完了したからかな?

 

「じゃあ、あ、空き教室行きましょ?鍵もかかるとこで、二人きりで…」

「………。」


 ッベー-!!わりと本気で暗殺しにきてんじゃんッベー--!!

 え、なんで?何を怒ってるんだろう?セー子のドラ○エの主人公の名前「鬼作」に変えてもとのセーブデータところまで進めたのがバレた?それともあいつの部屋からこっそり下着盗んだのが……?


「ほ、ほら、行くわよ!」

「はぇ」


 セー子は言うなり俺の手を取って教室を出て歩いていく。呆けたままの僕は彼女の腕に引かれて何処かの空き教室へと連れて行かれる。


 ドナドナド~ナ~ド~ナ~………。




 そんな哀れな僕を物陰から見つめる人が一人いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ