敵か味方か
YOH同窓会TIPS
梅山市内のほとんどの車は「何かしらの理由」で使えない。
2035年1月15日 11:00
丸鶴市→高梅市 路上
□越智 歩緒生
「そんな敵っぽく出てこなくてもよかったじゃん」
そう言いながら私はひざ元においてあるレタスとハムのサンドイッチをほおばる。
因みに、運転席には相変わらず私が座っている。
「喧嘩早いとは思ってはいなかったがぁ、なかなか動ける方ではあったんじゃないか?」
「本当に命狙われてるって思ったんだからさぁ」
私のことを背後から押さえつけたのは渡部 るるだったようだ。
「るる」っていう可愛い名前しているくせに性格は短期でややけんかっ早い。
ヤンキーとまではいかなくても一中ではそこそこ問題児までにはなっていた。
その後はあまり知らないけど。
どうやら、るるの奴も街中で使える自動運転車を偶然見つけたらしい。
正確に言うと、半自動運転。運転アシストモードと言えばわかりやすいだろうか。
るるの場合は、AT限定免許は持っていなかったので、私の車を追尾するモードにしていたようだ。
どうせ後ろなんて見ないだろうし、って思ってバックミラー見てなかったからな。
いつもの癖で見てしまう、っていうほど自力で運転もしていなかったし。
「んで、あんたは今日のゲームに参加しなくてよかったわけ?」
「参加する気が合ったらあの車でお前を追ったりしねぇよ。」
「へぇ、そんで、なんでついてきたの?」
「昨日、渡辺の奴と面白い話してたから、もしかしたらやってくれると思ったんだ。そしたら、予想通りって訳だな。」
昨日──確かに私は京磨と街を抜け出そうって話をしてた。
あれ、盗み聞きされてたのか。
背後に人の気配なんて感じなかった。
「高校の時、一瞬ワルやってたんだよ。その時に尾行のやり方は習得した。」
私の考えを読んだかのように答えるるる。
ただの問題児かと思ってたが、最低限のことは考えられるんだな。
例えば、このサンドイッチ。
彼曰く、昨日から準備していたものらしい。
事実、るるの装備は大きめのリュックサック。
見てみたらほとんどが食料だった。
「一応聞いておくけど、あんたに目的地ってあるの?」
「ハぁ?あるわけねぇだろ?俺はあの窮屈な空間で変な顔して話し合いするのが嫌だったんだよ。」
「そこは私と一緒なんだ。」
今まで絡んだことのないクラスメイト。
隣に座ってどこを目指すと決めているわけでもない。
これから私たちはどこへ向かうのだろうか。




