6年3組
YOH同窓会TIPS
越智 歩緒生が集合場所にいないのは川本 アリスに感づかれている
2035年1月17日 10:30
白い部屋
□関 ゆい
その時は突如として訪れた。
寝すぎたな、と思って軽い朝ごはんを取っていた時に目の前に閃光が表られたのだ。
反射的に目を背けて、両腕で防御の体制をとる。
次の瞬間、私は額に何か冷たいものが触れられる感覚に陥った。
「オッケーです。『関 ゆい』は人間です」
聞きなれない声。
恐る恐る目を開けると黒髪ツインテールの同年代の女性が立っていた。
それを認識した瞬間、部屋が赤く染まる。
『外部からの異常な接続を検知しました』
聞きなれた人工音声からの声。
「次のターゲットの元には行けないことを確認っと」
そう呟いた彼女は辺りを見渡す。
ちょうど部屋が赤くなった部屋が白くなったところだった。
「ねえ、座るところないかしら?」
突然のことに何も言えないでいると、ああそうか。と目の前の人物は一人で頷く。
「私は、元3組の鈴木 樹里。このクラスの桜澪の双子の妹。」
そうだった。キラキラネームで名高い鈴木君は今時珍しい双子だった。
基本的に双子は同じクラスにはされない慣習があったはずなので、妹さんの方は今回の騒動に巻き込まれなかったこととなる。
「えっと、座るところは──ちょっと待って。オーダーする。」
あまり高いものじゃなくていいからねっと前置きをする樹里を差し置いて私は背もたれ付きの椅子を白いテーブルにオーダー。ちょうど向かい合わせになるように設置する。
「突然のことでごめんね。驚いたでしょう。」
驚きながらも精一杯のことをやろう、と思って追加で茶菓子でもオーダーしようかと思ったが、気にしないでと樹里が断りを入れてくる。
「改めて。私は鈴木 樹里。今回の一連の騒動に関して政府にこの電脳世界にアクセスすることを志願した民間人。」
「えっと、あ、関 ゆいです。──その、騒動ってのは…」
「言わずもがな、今回の人狼ゲームのこと。」
「じゃあ鈴木さんは私たちを救助しに来てくれた…ってこと?」
そういうと鈴木さんが顔を曇らせる。
「残念ながら直接的には助けることは出来ない。というのが答えになる。
政府は様々な手法で今回の件に介入しようとしている。」
「今回の主犯は?」
「YOH──政府はそう結論付けた見たい。表立っては言えないけど。」
その言葉に愕然とする。シンギュラリティを起こしたYOH。
今まで友達感覚で使っていた人工知能がここで反逆?
そもそも、絶対に人間を攻撃しない万能AIに私たちは競わなければならないってこと?
「政府から権限を使ってあなたの過去の経歴を見させてもらった。
美容学校は筆記も実技も一位。主席通過。
だから物分かりは良い方だと思ってる。そして、人類が無謀な戦いをしていることも。」
鈴木さんの言葉はスッと入ってくるようで入ってこない。
「あまり絶望しないで。政府は抗うことを捨てたわけじゃない。
実はルール説明開始、つまりおとといの時点で政府は緊急事態宣言を出してる。
そして秘密裏に昨日、人間であると確定させられた配信者に
特別予算と称して投げ銭をする法案も立法府で可決、即時施行された。」
「だけど、政府だってどの配信者が人間かわからないんじゃないの?」
「いい質問だね。そこで、跡部首相は昨日の相互投げ銭企画に目を付けた。
あれに参加するのは人間だけだ、と。
念のため、あの時首相自ら各金融機関に2段階認証の強化の確認を行ったみたい。」
「ということは政府は、あの企画参加者を全員人間だとみているの?」
「可能性が極めて高い。そこで終わってる。だから私が立候補して確かめに来たの。」
確かめに来た?
「順番的にはなんだっけ。言い出しっぺの山田さん、宇都宮さん、山口くん、村上さん。その次にあなた。関さんって訳。ここまでは全員人間だったよ。」




