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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
第1章 まだ平穏

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同窓会の朝─出席番号25番「山口茶兎」①

YOH同窓会TIP

YOHには国民向けのモバイルYOH、事業者向けのビジネスYOH、政府向けのガバメントYOHの3種類がある。

政府向けのものが一番高性能とされるが、その性能は国家機密。

2035年1月15日 時はやや戻り朝6:02

姫野県


八津浜港


「来たぞ。大漁旗は──掲げてない、か。」


そう僕「山口茶兎やまぐち さと」は、一緒に来た男友達である松井幸司郎まつい こうしろうに声をかける。


あ、言っておくけど僕は男だ。中性的な顔立ちと男性にしては小さめで女性にしては大きめの背の高さ。


そして、陽国の男性らしくはない「僕」という一人称で「僕っ娘」と間違えられることもある。

しかし、僕は僕なりに一定の礼儀正しさというものが「僕」という一人称にあると考えて「僕」と言っている。


なんだか話がややこしくなってきたな。

ふぅーと息を吐き思想を追い払う。それから、返事のない右側の幸司郎に目を向ける。


松葉づえを右に抱えながら左手上に表示されているモバイルYOHのホログラム画面を凝視している。

まったく、こいつときたら。


「おい!こーしろー?こーしろー!?」


「アヤチャン カワイイ アヤチャン カワイイ」


あーだめだ。

こいつ小学校で同じクラスでアイドルやってる「佐藤阿弥さとう あや」(出席番号は12番だった)にまたベタ惚れしてる。


「おいってば!」といい、強引にホログラム画面を消しにかかる。


「うお!何するんだよサト!」


「こーしろーがゆーとに会いたいって言ったんだろ!来たぞ!ゆーと!」


言い終わると同時に、ゆーと──出席番号2番だった五百旗頭いおきべ 悠斗ゆうと──が船長代理を務める船が警笛を鳴らす。

どうやら向こうもこちらに気づいたようだ。


「相変わらずのようでなによりだな、釣れていないようだけど。」


まだ、ゆーとの船とは距離があるため、隣のこーしろーに声をかける。


「ん、ああ。にしてもあいつ朝に強すぎくないか?今アヤちゃんの動画で無理矢理覚醒してないと眠っちまいそうだよ」


阿弥の件についてはわからないが、ゆーとが朝ツヨツヨ人間なのは確かだ。


「まあ、りんから見れば真逆な奴だったよな昔から。」


ゆーとは、クラスに一人はいる冬でも半袖短パンタイプで、なんならクラスで一番先に登校しているクラスの元気印だった。

なので、友達が多いやつ。

事実、同級生にクラスメイト(あや)にガチ恋勢のこーしろーもこうして同窓会の前に直接会いに来ている。


ちなみに、こーしろーはリモート参加の予定だ。


理由は、かっこつけたくて無理に始めたフットサルの試合で右足を骨折したから。

新しいことにチャレンジすることは好ましいが何故かどこかズレるのがこーしろーである。

まあ、そこが面白いことなのだが。


話がこーしろーにズレてしまった。ゆーとに話を戻そう。

今、彼は親父さんの跡を継いで漁師見習いをやっている。もともと筋肉質で海が大好きなゆーとにとっては天職だろう。ただ、忘れてはいけないことを彼は忘れている。


そう、彼は


<同窓会の出欠希望出してない>


本当に許せない。

2週間前が期限だったはずなのだが、ゆーとだけ出してないのだ。


DMで催促しても、「おう!明日な!」と返信が来たのが10回くらいあった。

電話をしようともそもそも職業+超健康型なので僕が仕事が終わるときから鬼電しても彼はもう寝ている。

そして、朝どんなに早く鬼電してもゆーとは漁に出ていて出ないのだ。


なので、今日、幹事を務める──ただ学級委員長をやっていた流れでやっているだけ──が直接聞きに来たわけだ。

会場側には話をうまい事をつけていてゆーとの参加の有無にかかわらず何とかなるように手配している。


そうこうしているうちに、ゆーとの漁船が接岸作業を完了させた。

聞きに行こうか今日の出欠を。


続く

この小説は配信アプリREALITYにて

前髪ナル さん

ゆうマロっち さん

に応援されています。

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