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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
第6章 第一回投票

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説得

YOH同窓会TIPS

配信者ライフセーバーとしての京磨けいまは、15時から2回目の配信を行っている

2035年1月16日 姫野県 18:28


某居酒屋


□渡辺 京磨けいま


満足いくまでバットを振れた俺は校門の方へ向かう。

今回の素振りに何かの意味があったか?と聞かれるとプロとしてはほとんど無意味だったというしかない。


だけど、ゆーととのやり取りのあと、一種の覚悟のようなものが決まった。

それに運動ができて一種の息苦しさからも解放されたような気がした。


覚悟を決めて第三小学校の校門を潜る。

そうして、居酒屋へと戻った時、クラスメイトの多くの視線が集まっていることに気が付いた。

だが、怯まずに堂々としている。


時刻はまもなく18:30。

茶兎さとが指定した「配信者ライフセーバー側の配信を見る」時刻の期限が迫っていた。


迷わずに自分の元居た位置、ゆーとの隣まで来て腰を落とす。


「それじゃあ、時間だ。みんな聞いてほしい。」


約束の時間になった瞬間に茶兎さとが席を立ち話を始める。


「みんな誰かの配信に行ったと思う。ただ残念なことに配信者ライフセーバー側全員が配信をやっているわけじゃなかった。」


その言葉に全員がうんと頷く。

人間の体力は有限だし、昨日の今日で配信をやってくださいといっても戸惑うことは必至だからしょうがないだろう。


ただ、向こうだって命がかかっている。

ただボーっと過ごしていたわけではないはずだ。


「限られたクラスメイトの限られた時間、配信をやっていたわけだけどその中で誰か何か思うことがあれば何か共有してほしい。」


その言葉に佐藤 阿弥あやが手を挙げる。

茶兎さとがどうぞ、と発言を促すと


「やっぱり京磨けいまくんが怪しいと思った。」


「その根拠は?」


京磨けいまくんの配信は、クラスメイトを野球選手として見立てるような配信だったから。なんか怪しいなって」


「申し訳ないが──」


「ちょっといいか」


茶兎さとの言葉を遮っていたのは隣に座っているゆーとだ。


「あやの方の佐藤は何か勘違いをしていないか。けいまはどう考えたって人間だ。」


「なんか証明でもあるの?」


明らかに俺から隣にいるゆーとにヘイトが向いているのが分かる。


「俺も理論派だって訳じゃない。それもあるから一旦状況を整理させてくれ。」


そう言いつつゆーとは居酒屋の真ん中のスペースに向かって歩く。


「この人狼ゲームには、俺ら投票者プレイヤー配信者ライフセーバーの2つの役割がある。そうだろう?」


それは周知のとおりだ。だから俺たちはこうやってみんなの配信を見に行くような仕事を割り振られている。


「そして、すべてのプレイヤーが人格をコピーされている。そして、どちらかのサイドに自分のAIがいるって訳だ。」


それが人工音声やつが言っていたルールだった。


「そして、あやの方の佐藤。お前は混乱していないか?」


「…混乱?」


「配信者の京磨けいまが野球ゲームをしていた。それがなぜ怪しいと繋がる?」


「…そんなのなんとなく。」


「なんとなくじゃダメなんだ!」


そのものすごい形相に一歩阿弥あやが身を引く。

既にゆーとは真ん中を超えて女子が集まるエリアまで入っている。

俺は嫌な予感がしてゆーとの後を追う。


「いいか、この投票では選ばれたやつが死ぬ可能性がある。」


女子に手を上げようとする勢いのゆーとを落ち着かせるためにその興奮する右肩に手を置き制止する。

俺を守るために必死になってくれるのはありがたいがここで感情的になっては意味がない。

援護する庁に後ろから茶兎さとが仲介に入る。


「つまり、ゆーとが言いたいのは、京磨けいまが野球ゲームをやっているだけでは根拠に足らないといったところだろう?」


やや激高気味のゆーとだがそうだ、と頷く。

そこで発言したのは山田 百合りりぃ


五百旗頭いおきべくんの言う通り、もし人工音声やつの言うことが本当なのであれば両方ともにAIであることには変わりはない。

だから、誰がAIかっていうよりかはAIの特徴について整理するべきだと思う。」


「なるほど、興味深い意見だ。そのまま続けてもらってもいいかい?」


あくまでも議長役の茶兎さとだが、自分よりも良い進行係がいるときに執着しないのがいいやつの証拠だ。

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