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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
第1章 まだ平穏

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同窓会の朝─出席番号15番「関ゆい」②

YOH同窓会TIPS

マイアバターの試験運用は若年層向けに2027年4月から開始された。

当初は顔を映したくない子供向けに「アバター登校」という形だった。

2035年1月15日 姫野県某所


美容室 SHINE YOUR HAIR


そこに現れたのは<中学生の時の顔立ちをした凛>


(あー、これ多分モバイルYOHの<アバターモード>をオンにしたつもりで来てるな。)


(凛の機械オンチもここまでとはねぇ)


多分、凛は<何かしらの事情>おそらく、二度寝か何か。

で人生初のモバイルYOHの標準搭載機能<アバターモード>をONにしてきた。

その勇気は素晴らしいものなのだが、、、


「あら、えらいきれいな中学生が来たと思ったら、あなた跡部さんのとこの子じゃないかえ?」


と高橋さんにも言われる。


そう、<アバターモード>はスキャンした当時の顔を基に顔の表情を形成される。

多分、寝ぼけながらやった凛は当然<モード更新>をしていないはずだから──


「最後に会った時も中学生じゃなかったかえ?」


そう、多分だけどモバイルYOHが国民全員に配布されたときの容姿

──跡部凛15歳が高橋さんの目の前に立っていることとなる。


ちなみに、高橋さんは私と凛が通っていた中学校の近くに住んでいる。


私は高橋さんと当時からの仲が良かった。なので、親友の<中学生の凛の姿>はよく覚えている。


「え?」


と不思議そうに黙り込む凛。──正確には中学生の姿──が首を横にかしげる。


ちょっと気まずいが凛に教えてあげて損はないだろう。

いや、教えてあげないと多分この子一生引きずる。


「凛、あのね」


そこから私は具体的に説明する。


モバイルYOHの<アバターモード>は、登録時点の理想的な顔立ちを再現してくれるモード。

中の本人が笑えば、アバターも笑う。

眉間を寄せれば眉間を寄せる。


そのような一見便利なモードであるが、落とし穴がある。

さっきも言った通り、アバターは初期では<登録時点を基にした理想的な顔立ち>ということだ。


「つまり、凛は今15歳の顔立ちになってるって訳」



そこまで順を追って話すと一気にアバターが赤面する。要は、凛本人も顔を赤らめている

「ちょっとYOH!<アバターモード終了>!」


と凛が言う。

ただ、この子の幼馴染を伊達にずっとやってきたわけじゃない。

この子が今日<アバターモード>を使ってきたということは、、、


「あら、凛ちゃん。急に髪の毛がボサボサになっちゃって」


ずっと何のことかさっぱりわからないような顔で聞いていた高橋さんがそのように言う。


「やっぱり寝起きスッピンだよねー」


流石は小学校の時から「一日の最初は凛の足音(チャイム)から」と男子からいじられまくった凛は寝起きスッピンできたらしい。


「え、え、ええ?」


現れた汗が滴る本人─おそらく遅刻ギリギリで走ってきたのだろう

──小学校の時からここは本当に変わらない──はさらにうろたえている。

今の汗はおそらく緊張から来る汗も入ってるだろう。


ここは助け船を出した方がよさそうだ。


「高橋さん。いやぁ今日はありがとうございましたー。あ、飴玉もう一個あります?」


「あるよ、あるある。ほれ、ゆいちゃん朝から切ってほしいなんていう我が儘聞いてくれたから」


と黄色い包装の飴玉をもう一個高橋さんから受け取る。


それを凛に渡しながら、


「私と凛はちょっとこれからいろいろあるんで、ここらで失礼していいですかー?」


「あら、そうだよね。やだ、私ったら。それなら──」


「ありがとうございました!またお願いしまーす!」


と言い、高橋さんを半場押すような形で大典を促す。

と、同時に、凛の腕をつかみ、美容室の中に引きずり込む。

凛はこけそうになっていたが、これ以上黒歴史を更新させるわけにはいかない。


続く

この小説は配信アプリREALITYにて

前髪ナル さん

ゆうマロっち さん

に応援されています。

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